寝床はひらめきを生むゆりかご

1.すがすがしく目覚めたベッドの上で、相対性理論を発見したアルベルト・アインシュタイン

寝床でアイデア発想
 アインシュタインが相対性理論を発見したのは、ベルンの特許局に技師として勤めていた26歳のときでした。ある朝、目を覚ました彼は、すがすがしい気分でしばらくベッドにいた時に、突然「ある人が同じ時刻に2つの事象を観測したとしても、それは他の人にとって同じ時刻とは必ずしもいえない」というひらめきが生まれたのです。

 それまでの物理学には全くなかったこの発想によって、画期的な相対性理論が誕生しました。

2.激しい台風に襲われた夜、別荘の寝床で「中間子理論」を構築した湯川秀樹

 昭和9年9月、室戸台風が四国を直撃した夜、新進気鋭の物理学者だった湯川秀樹博士は、神戸・六甲山にある別荘にいました。

 激しい嵐の音に寝つかれないまま寝床であれこれ考えているうちに、ハッとひらめくものがありました。それまでボンヤリと頭の中にあったテーマが、突然はっきりした輪郭をもって浮かんできたのです。これが、後にノーベル物理学賞を受賞する中間子理論の誕生の瞬間でした。

 湯川博士自身はその時のことを「うん、あの台風が間接的にきいとるね。頭にグワッ、グワッときた」と話しています。

3.寝床のなかで思いついて、「フロンティア電子理論」を創案した福井謙一

 科学者や芸術家たちには、眠りにつく前のひとときに、ひらめきを得るケースが少なくありません。後にノーベル賞を受賞した福井謙一博士は、寝床で横になっている時に「フロンティア電子理論」を思いつきました。「分子軌道のいちばん外側の軌道上にある電子が化学反応に重要な役割を果たす」として、世界中から注目された理論です。

4.突然の物音で目を覚ましたら、難題の解決法が現れたフランスの数学者ジャック・アダマール

 フランスの数学者アダマールは、長いあいだ、ある問題を解決することがどうしてもできずにいました。ところがある時、、大きな物音で目が覚めた瞬間に解決法が頭に浮かんだのです。しかもそれは、彼がこれまでアプローチしてきたのとは全く別の方向からの解決法でした。

 睡眠中に無意識の中でこれまでの研究内容を別角度から見直していたのかもしれません。

5.ウトウト状態でのひらめきを、ただちに書きとめて重要発見としたオーストリアの薬理学者オットー・レーウィ

 オーストリアの薬理学者オットー・レーウィは、ある夜インスピレーションを感じて目が覚め、すぐに枕元に用意していた紙にメモして、安心してまた寝ることとしました。
 ところが、起きてみるとメモに書きなぐった中身が読めません。自分の記憶を掘り起こそうとしたが、どうしても思い出せず、くやしい思いをしました。

 次の夜、幸いにも同じインスピレーションが現れたので、彼は急いで起き上がり今度はしっかりした字でメモをとりました。このメモのおかげで「神経衝動への化学的介在の証拠」が見つかり、この分野のその後の研究に貢献することになったのです。

 皆さんも寝る時には枕元にメモ用紙を用意しておきましょう。

出典:「ひらめきの法則」 髙橋誠著(日経ビジネス人文庫)


この記事の著者

髙橋 誠

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