少子高齢社会に向けICTツールを活用したものづくりの考え方、作業教育の仕組み

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 現場従業員の人手不足により、現場における多様性・多様化が進んでいます。外国人労働者の増加、年齢構造の変化、女性の増加です。外国人が増えて、これまでの日本的な発想が通用しなくなり、自分たちも外国語を習得して、多様な考え方を理解する必要が生じています。
 
 又、現場の若い人たちの仕事への価値観も変わり、仕事が一番という感覚は薄れてきています。現場従業員の多様化の影響で、QCDレベルの低下が現実問題になってきました。この多様化に対応した工場での教育の仕組み、考え方、仕組みの中での個別の手段を高齢社会でのものづくりという観点から、解説します。
 

1. 労働環境の多様化は拡大

 少子高齢化社会の進展と共に、15才から65才までの労働者(労働年齢人口ともいいます)は今後10年単位で700万~1000万が減少し、2010年の生産年齢人口約8000万人から2060年後には半減(4000万人)すると言われています。 また現在でも求人しても人が集まらないと多くの企業が人材集めに苦労されていることもあり、今後製造現場でも女性・高齢者・外国人労働者など多様な労働者を活用する必要性が増してまいります。このようなことを前提に、ものづくり経営を行う必要があります。
 

2. 労働環境に合わせた作業環境の再編成

 多様な労働環境の中で、今後も安定かつ継続的に成長を続けていくためには、付加価値を発揮するコアの業務と誰でも作業可能な標準化された業務に識別し、高度な技術・技能を発揮する人材とそれ以外の人材とで役割分担を分ける必要性があると考えています。つまり、付加価値を発揮する業務は信頼のおける人材や高度技術者などに任せ、また標準化された業務は自動化やICTを活用しQCDを維持するような仕組みを構築し、外国人など多様な人材に任せるのです。
 

3. 多様化した労働環境下での作業教育

 このような多様な労働環境下に対応した教育の仕組みですが、標準化された業務に限定すると、標準化された作業マニュアルなどを多言語化したうえで電子化し、タブレット端末やスマートフォンなどに搭載するのです。電子化されているので、変更などがあっても簡単にダウンロードや更新することが可能となり、作業教育などにも活用が可能となります。もちろん作業マニュアルだけでなく、図面やトラブルシューティング・メンテナンス業務などを盛り込んだり、作業指図や実績収集などの機能を盛り込むと、更に活用の幅は広がります。
 
 このようなツールを活用した場合、作業環境や労働環境に応じた教育方法も見直し...
 
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 現場従業員の人手不足により、現場における多様性・多様化が進んでいます。外国人労働者の増加、年齢構造の変化、女性の増加です。外国人が増えて、これまでの日本的な発想が通用しなくなり、自分たちも外国語を習得して、多様な考え方を理解する必要が生じています。
 
 又、現場の若い人たちの仕事への価値観も変わり、仕事が一番という感覚は薄れてきています。現場従業員の多様化の影響で、QCDレベルの低下が現実問題になってきました。この多様化に対応した工場での教育の仕組み、考え方、仕組みの中での個別の手段を高齢社会でのものづくりという観点から、解説します。
 

1. 労働環境の多様化は拡大

 少子高齢化社会の進展と共に、15才から65才までの労働者(労働年齢人口ともいいます)は今後10年単位で700万~1000万が減少し、2010年の生産年齢人口約8000万人から2060年後には半減(4000万人)すると言われています。 また現在でも求人しても人が集まらないと多くの企業が人材集めに苦労されていることもあり、今後製造現場でも女性・高齢者・外国人労働者など多様な労働者を活用する必要性が増してまいります。このようなことを前提に、ものづくり経営を行う必要があります。
 

2. 労働環境に合わせた作業環境の再編成

 多様な労働環境の中で、今後も安定かつ継続的に成長を続けていくためには、付加価値を発揮するコアの業務と誰でも作業可能な標準化された業務に識別し、高度な技術・技能を発揮する人材とそれ以外の人材とで役割分担を分ける必要性があると考えています。つまり、付加価値を発揮する業務は信頼のおける人材や高度技術者などに任せ、また標準化された業務は自動化やICTを活用しQCDを維持するような仕組みを構築し、外国人など多様な人材に任せるのです。
 

3. 多様化した労働環境下での作業教育

 このような多様な労働環境下に対応した教育の仕組みですが、標準化された業務に限定すると、標準化された作業マニュアルなどを多言語化したうえで電子化し、タブレット端末やスマートフォンなどに搭載するのです。電子化されているので、変更などがあっても簡単にダウンロードや更新することが可能となり、作業教育などにも活用が可能となります。もちろん作業マニュアルだけでなく、図面やトラブルシューティング・メンテナンス業務などを盛り込んだり、作業指図や実績収集などの機能を盛り込むと、更に活用の幅は広がります。
 
 このようなツールを活用した場合、作業環境や労働環境に応じた教育方法も見直しが必要となります。例えば、タブレット端末を支給し、自分の好きな時間で勉強させるような環境を構築すれば、集合教育などの必要性もなくなります。また、製造現場でタブレットやスマートフォンを見ながら作業するような仕組みにすれば、採用後直ぐに現場投入が可能となります。つまり、誰でも簡単に作業できる環境を作り、作業教育そのものを無くしていくのです。
 
 以上のような作業教育は、既に実施している事例があり非常に大きな効果を上げています。但し初期投資もある程度発生するので、全ての業務に適用するのではなく、どのような業務と人材にまず適用するかが重要となります。
 

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この記事の著者

野中 帝二

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