市場ニーズの意図を翻訳とは

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 マーケティング商品アイデアを考え出していくとき、決まってお客様のニーズを調べていきますが、その時に注意すべきことがあります。それは、そのニーズの意図するところを明らかにしていくことですが、多くの場合それが上手くできていません。というのも、お客様はニーズを抽象的に発信しているからだと思います。
 
 これは、こちらが良く分かっていることだろうと思い込んでいるからでしょうか?というよりお客様も具体的に表現することが出来ないのでしょう。そしてこれらの抽象的なニーズを額面通りに受け止めて商品開発に活かそうとするととんでもない方向に進んでしまうとか、きちんとニーズに応えることが出来ないといったことが生じてしまいます。
 
 例えば、こんな話がありました。ある大手メーカーの空調システム事業部の営業さんがお客様のところに行って「天井に取り付ける装置をもっとコンパクトにしてほしい」と言われ、そのまま開発部隊に指示を出してコンパクトな商品(30%のダウンサイジング)を開発させ、やっとの思いで開発した商品を売りに出したところほとんど売れませんでした。
 
 一方専業メーカーのコンパクト商品はよく売れました。専業メーカーの商品はコンパクトであっても意味と構造が違い、モジュール設計を施して各ユニットをコンパクト化し、キット販売にしたのです。はてさてこれはどういうことなのでしょう?
 
 専業メーカーさんは「コンパクトにしてほしい」というこの言葉の意味を考え(仮説)お客様にお伺いした(検証)という。その仮説とは、コンパクトとはどういうことなのか?ということを“作業性を良くしたいということなのか”“施工コストを下げたいということなのか”“メンテナンス性を上げたいということなのか”…といろいろと具体的に考えてみました。
 
 そして、それらの仮説を基にお客様の真意を尋ねていくと「元々カセット型の装置なのでもっと小さく軽く出来れば自分たち(工務の者が一人で)で取り付け工事が出来、施工費もかからず、メンテもしやすくなると思っているのです。」という意図するところを引き出すことができた、と言うのです。
 
 そこでキーワードは“コンパクト”ではなく“軽くて一人でも持てて取り付...
 マーケティング商品アイデアを考え出していくとき、決まってお客様のニーズを調べていきますが、その時に注意すべきことがあります。それは、そのニーズの意図するところを明らかにしていくことですが、多くの場合それが上手くできていません。というのも、お客様はニーズを抽象的に発信しているからだと思います。
 
 これは、こちらが良く分かっていることだろうと思い込んでいるからでしょうか?というよりお客様も具体的に表現することが出来ないのでしょう。そしてこれらの抽象的なニーズを額面通りに受け止めて商品開発に活かそうとするととんでもない方向に進んでしまうとか、きちんとニーズに応えることが出来ないといったことが生じてしまいます。
 
 例えば、こんな話がありました。ある大手メーカーの空調システム事業部の営業さんがお客様のところに行って「天井に取り付ける装置をもっとコンパクトにしてほしい」と言われ、そのまま開発部隊に指示を出してコンパクトな商品(30%のダウンサイジング)を開発させ、やっとの思いで開発した商品を売りに出したところほとんど売れませんでした。
 
 一方専業メーカーのコンパクト商品はよく売れました。専業メーカーの商品はコンパクトであっても意味と構造が違い、モジュール設計を施して各ユニットをコンパクト化し、キット販売にしたのです。はてさてこれはどういうことなのでしょう?
 
 専業メーカーさんは「コンパクトにしてほしい」というこの言葉の意味を考え(仮説)お客様にお伺いした(検証)という。その仮説とは、コンパクトとはどういうことなのか?ということを“作業性を良くしたいということなのか”“施工コストを下げたいということなのか”“メンテナンス性を上げたいということなのか”…といろいろと具体的に考えてみました。
 
 そして、それらの仮説を基にお客様の真意を尋ねていくと「元々カセット型の装置なのでもっと小さく軽く出来れば自分たち(工務の者が一人で)で取り付け工事が出来、施工費もかからず、メンテもしやすくなると思っているのです。」という意図するところを引き出すことができた、と言うのです。
 
 そこでキーワードは“コンパクト”ではなく“軽くて一人でも持てて取り付け工事もできる大きさ”であることがわかり、開発部隊と相談したところモジュール化してキットで提供すれば十分ニーズに応えることもできるし、修理も簡単で販売促進にもつながるとなり、開発を行ったということです。
 
 これらのニーズ探索の一連の行為を「ニーズの翻訳」と私は言っています。マーケティングのポイントの一つでもあり、出来ているようで出来ていないマーケティングの落とし穴でもあります。良い商品を開発しているところはここが上手くできる“しくみ”を持っているようです。 
 

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この記事の著者

城田 靖彦

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