素材の市場開発とは

投稿日

 素材の市場開発においては、既存の製品に市場喚起可能な商品価値を見出さなければなりません。その為に商品アイデアを考え出し、より価値ある商品に仕上げていくことが大切です。それにはまず製品に関わる技術と製品の特性を知ること、顧客ニーズを把握することが必要となります。
 

1.保有技術の洗い出し

 やるべきことの一つ目として、活用できる保有技術の洗い出しをします。これは商品価値を上げるために使える技術なのか、また市場の要求に応えるために十分な技術なのかを判断する際に必要になります。
 
 そして次に、素材が市場で最終製品になった時の機能・特性を挙げていきます。これは例えば、熱可塑性樹脂のペレットを製品として市場に供給していてもエンドユーザーの手元には箱状のもの、筒状のもの、蛇腹状のもの、板状のもの、シート状のものと様々な形に変わって届きます。
 
 この段階で使われ方(用途)がそれぞれにおいて違ってきています。なので、当然求められる特性も素材の本来の特性以外のものとなってきます。そのような理由から、その素材を使って出来上がった製品形態によって変化する特性を明らかにしていく必要が出てくるのです。
 
 例を挙げてみましょう。耐油性に優れた製品特性を持つ熱可塑性樹脂の新素材を使って蛇腹の筒を造ります。これを油の着いた駆動部に使用した場合、折り曲げ部(V部)には油が溜まりやすくなります。このとき耐油性に求められる品質要求が変わってきたりします。
 
 果たしてこの製品は耐油性に優れるとはいっても本当にこの駆動部を守るパーツとして使われるものになるのでしょうか?このように対象とする素材製品は何ができるのか?どんな効用があるのか?どの部分がどれだけ役に立つのか?といったことを見出すこと、知ることが大切なのです。
 

2.ニーズ検索

 次はニーズ探索です。まず、エンドユーザーの欲すると思われる潜在ニーズを掘り起こしていきます。これはほとんど仮説です。供給する素材製品を使ってどんなものが出来たらエンドユーザーは喜んでくれるのだろうか?市場トレンド調査や商品研究を通じてニーズを創造していきます。
 
 次に素材メーカーさんの顧客にあたる加工メーカー、完成品メーカーの生産工程の把握とニーズを顕在化していきます。生産過程で供給素材を変化させていくときにメーカーは工...
 素材の市場開発においては、既存の製品に市場喚起可能な商品価値を見出さなければなりません。その為に商品アイデアを考え出し、より価値ある商品に仕上げていくことが大切です。それにはまず製品に関わる技術と製品の特性を知ること、顧客ニーズを把握することが必要となります。
 

1.保有技術の洗い出し

 やるべきことの一つ目として、活用できる保有技術の洗い出しをします。これは商品価値を上げるために使える技術なのか、また市場の要求に応えるために十分な技術なのかを判断する際に必要になります。
 
 そして次に、素材が市場で最終製品になった時の機能・特性を挙げていきます。これは例えば、熱可塑性樹脂のペレットを製品として市場に供給していてもエンドユーザーの手元には箱状のもの、筒状のもの、蛇腹状のもの、板状のもの、シート状のものと様々な形に変わって届きます。
 
 この段階で使われ方(用途)がそれぞれにおいて違ってきています。なので、当然求められる特性も素材の本来の特性以外のものとなってきます。そのような理由から、その素材を使って出来上がった製品形態によって変化する特性を明らかにしていく必要が出てくるのです。
 
 例を挙げてみましょう。耐油性に優れた製品特性を持つ熱可塑性樹脂の新素材を使って蛇腹の筒を造ります。これを油の着いた駆動部に使用した場合、折り曲げ部(V部)には油が溜まりやすくなります。このとき耐油性に求められる品質要求が変わってきたりします。
 
 果たしてこの製品は耐油性に優れるとはいっても本当にこの駆動部を守るパーツとして使われるものになるのでしょうか?このように対象とする素材製品は何ができるのか?どんな効用があるのか?どの部分がどれだけ役に立つのか?といったことを見出すこと、知ることが大切なのです。
 

2.ニーズ検索

 次はニーズ探索です。まず、エンドユーザーの欲すると思われる潜在ニーズを掘り起こしていきます。これはほとんど仮説です。供給する素材製品を使ってどんなものが出来たらエンドユーザーは喜んでくれるのだろうか?市場トレンド調査や商品研究を通じてニーズを創造していきます。
 
 次に素材メーカーさんの顧客にあたる加工メーカー、完成品メーカーの生産工程の把握とニーズを顕在化していきます。生産過程で供給素材を変化させていくときにメーカーは工程をコントロールしているわけですが、その際に素材に対する要望はないかを確認します。
 
 このように素材メーカーさんのお客様は2層構造になっているので探索方法もまたニーズも潜在ニーズ、顕在化されたニーズと変わってきます。ここをしっかり捉えていくことが重要となります。
 
 市場開発における商品アイデアの創造はお客さんからアイデアを聞き出すのではなく、自社(素材)製品の特性分析、市場ニーズ調査の結果を基に開発者自らが考え出していくことになるため、このような観点での取り組みが必要になるのです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

城田 靖彦

改善活動は人財育成の場です。ポテンシャルを引き出し成果を出す活動を効果的に提案いたします。

改善活動は人財育成の場です。ポテンシャルを引き出し成果を出す活動を効果的に提案いたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
知識・経験を物理量で整理する 4要素 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その68)

 前回から「知識・経験を物理量で整理する」解説を始めていますが、今回は前回の解説を整理します。 ◆関連解説記事『技術マネジメントとは』 1. 要素...

 前回から「知識・経験を物理量で整理する」解説を始めていますが、今回は前回の解説を整理します。 ◆関連解説記事『技術マネジメントとは』 1. 要素...


講演「ものづくりプロセス革新のススメ」要旨

1.社会変化とものづくりの現状、革新の必要性  国内の製造業事業所数は平成5年には約70万件を数えましたが、15年後の平成20年には44万件余りと37%...

1.社会変化とものづくりの現状、革新の必要性  国内の製造業事業所数は平成5年には約70万件を数えましたが、15年後の平成20年には44万件余りと37%...


製品設計:ミス防止対策(その1)

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】 1.  お客様目線で行う製品設計、「未然防止の品質管理」 2.  過去のトラブル、フィー...

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】 1.  お客様目線で行う製品設計、「未然防止の品質管理」 2.  過去のトラブル、フィー...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
擦り合わせ能力を活かすマネジメントとは(その1)

  前回は、「擦り合わせ型開発」と「組み合わせ型開発」のモデルを使って、開発体制について考察しました。擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発それぞれ...

  前回は、「擦り合わせ型開発」と「組み合わせ型開発」のモデルを使って、開発体制について考察しました。擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発それぞれ...


富士フィルムにおけるコア技術の活用戦略

 本業であるフィルム事業がなくなることを経験した、富士フィルムの技術の棚卸活動は注目に値します。アスタリフトや液晶用フィルムは、フィルム事業で培ったコア技...

 本業であるフィルム事業がなくなることを経験した、富士フィルムの技術の棚卸活動は注目に値します。アスタリフトや液晶用フィルムは、フィルム事業で培ったコア技...


スペック追及は技術開発の目標ではない

 技術開発には必ず目標があります。すなわち、いつまでに何を達成するかを決めて技術開発プロジェクトは進められます。技術開発前の探索プロジェクト以外は、できる...

 技術開発には必ず目標があります。すなわち、いつまでに何を達成するかを決めて技術開発プロジェクトは進められます。技術開発前の探索プロジェクト以外は、できる...