パラメータ設計は「部分最適」から「全体最適」へ

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  パラメータ設計は「部分最適」から「全体最適」へ

 

ある企業で指導している時、担当技術者からサブシステムの改善問題が提案されました。その場合の「機能性評価」をどう考えたらよいかという問題です。 企業では組織が分割されているため、担当技術者はサブシステムの機能を考えて評価を行い、パラメータ設計で最適化を図ることが普通です。 したがって従来のものづくりでは、サブシステムごとに最適化を行い、全体システムはサブシステムを寄せ集めて編集設計をすることになります。 この場合の問題...

  パラメータ設計は「部分最適」から「全体最適」へ

 

ある企業で指導している時、担当技術者からサブシステムの改善問題が提案されました。その場合の「機能性評価」をどう考えたらよいかという問題です。 企業では組織が分割されているため、担当技術者はサブシステムの機能を考えて評価を行い、パラメータ設計で最適化を図ることが普通です。 したがって従来のものづくりでは、サブシステムごとに最適化を行い、全体システムはサブシステムを寄せ集めて編集設計をすることになります。 この場合の問題点は、サブシステムの最適化が全体システムの最適化と矛盾する場合が多い事です。

 

品質工学では、テーマが決まった後でシステム選択を行いますが、消費者が満足する「目的機能」を明確にして、目的機能の「全体最適」のマネジメントを行うことが大切です。その場合、まず目的機能を満足するシステムを考えられるシステムの中から、機能や生産性を考えて選択します。その後で、システムを構成するサブシステムを考案して、サブシステムの最適化を行うのですが、その場合サブシステムの機能性を評価するのではなく、全体システムの機能性で評価することが大切です。

 

全体システムにいくつかの機能がある場合には、機能ごとにパラメータ設計を行うことになります。 機能性評価は「システムの分割」でなく、「機能の分割」で評価することが大切なのです。すなわち、全体システムは、いくつかのサブシステムから構成されていますが、それらは全体システムの制御因子に過ぎないのですから、パラメータ設計を行う場合でも機能性評価は分割された機能ごとで行うことが大切なのです。

 

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

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この記事の著者

原 和彦

品質工学を通して製品開発、設計の真髄を伝えます

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