予定されるISO9001とISO14001改定への準備

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 ご存知のように、本年ISO9001とISO14001が改定されます。両規格ともに、 2015年9月発行予定で作業が進んでいます。皆さんの組織では、この改定に対してどんな想いで取り組まれる予定でしょうか?
「またまた、厄介なことだなあ~。」との気持ちを抱いておられる関係者の方もきっといらっしゃるものと推察します。

 しかし、実は多くの会社にとって、今回改訂への取り組みは絶好の機会だと私は確信しています。なぜなら、今回の改定には、次の3つが志向されているからです。

(1)組織の目的、戦略とマネジメントシステムとの統合
(2)日常の事業プロセスへのマネジメントシステム要求事項の統合
(3)各分野(品質、環境、情報セキュリティ、食品安全など)マネジメントシステムの統合

これまで、多くの組織が、「ISOなんて、手間ばかり増えて役に立たない」と声を発する原因は、“形骸化システム”、“2重化システム”、“過度なシステム”が組み込まれていることに起因するものです。
当の組織も、薄々または明確に、このことを分かってはいるものの、マネジメントシステムを変更するのも、スリム化するのも、一苦労を要するので、なかなか踏み切れず、モヤモヤ感を抱きつつのマネジメントシステム運用を強いられています。

 上述したように今回の改訂では、規格側から「そんな強いられてのISOマネジメントシステムなんてするなよ」と認証取得会社に歩み寄ってきた形にも感じられます。この機を逸しては、たぶん永遠に今の状態を引きづったまま、ISOとのお付き合いをしてしまっていくことになるでしょう。

 そこで、モヤモヤ感を抱いている組織は、今回、モヤモヤ感の解消に向けて、躊躇なく思い切って変え、そして有効に機能していることを実感している組織は、組織の目的に沿い戦略と整合性を持った、組織の中に唯一あるマネジメントシステムへとさらに進化させることを提案します。

 これらの実行は、次のような良き相談者が寄り添い要領よく導けば、それほどの労力を必要とするとは思えません。

(1)ISOの本質を理解している
(2)多くのマネジメントシステムに関わっている。
(3)組織が欲する顕在化したニーズはもちろんのこと潜在化したニーズにも耳を傾けられる。

 そして、私がISO9001:2008の中で最もこだわりをもって追求していきたい要求事項は、「組織の要員が,自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し,品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを認識することを確実にする。」です。成果に結び付けるには、“ひとりひとりのマインドと行動に、如何に反映させていくか”ということに尽きるからです。

 またISO云々はともかく、組織ニーズに応じて次のような連動を図りましょう。

       ・経営数値/コス...

 ご存知のように、本年ISO9001とISO14001が改定されます。両規格ともに、 2015年9月発行予定で作業が進んでいます。皆さんの組織では、この改定に対してどんな想いで取り組まれる予定でしょうか?
「またまた、厄介なことだなあ~。」との気持ちを抱いておられる関係者の方もきっといらっしゃるものと推察します。

 しかし、実は多くの会社にとって、今回改訂への取り組みは絶好の機会だと私は確信しています。なぜなら、今回の改定には、次の3つが志向されているからです。

(1)組織の目的、戦略とマネジメントシステムとの統合
(2)日常の事業プロセスへのマネジメントシステム要求事項の統合
(3)各分野(品質、環境、情報セキュリティ、食品安全など)マネジメントシステムの統合

これまで、多くの組織が、「ISOなんて、手間ばかり増えて役に立たない」と声を発する原因は、“形骸化システム”、“2重化システム”、“過度なシステム”が組み込まれていることに起因するものです。
当の組織も、薄々または明確に、このことを分かってはいるものの、マネジメントシステムを変更するのも、スリム化するのも、一苦労を要するので、なかなか踏み切れず、モヤモヤ感を抱きつつのマネジメントシステム運用を強いられています。

 上述したように今回の改訂では、規格側から「そんな強いられてのISOマネジメントシステムなんてするなよ」と認証取得会社に歩み寄ってきた形にも感じられます。この機を逸しては、たぶん永遠に今の状態を引きづったまま、ISOとのお付き合いをしてしまっていくことになるでしょう。

 そこで、モヤモヤ感を抱いている組織は、今回、モヤモヤ感の解消に向けて、躊躇なく思い切って変え、そして有効に機能していることを実感している組織は、組織の目的に沿い戦略と整合性を持った、組織の中に唯一あるマネジメントシステムへとさらに進化させることを提案します。

 これらの実行は、次のような良き相談者が寄り添い要領よく導けば、それほどの労力を必要とするとは思えません。

(1)ISOの本質を理解している
(2)多くのマネジメントシステムに関わっている。
(3)組織が欲する顕在化したニーズはもちろんのこと潜在化したニーズにも耳を傾けられる。

 そして、私がISO9001:2008の中で最もこだわりをもって追求していきたい要求事項は、「組織の要員が,自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し,品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを認識することを確実にする。」です。成果に結び付けるには、“ひとりひとりのマインドと行動に、如何に反映させていくか”ということに尽きるからです。

 またISO云々はともかく、組織ニーズに応じて次のような連動を図りましょう。

       ・経営数値/コストとの連動
       ・CSR(社会的責任)との連動
       ・現場リーダーの役割認識及び行動との連動
       ・現場生産性向上/品質向上への具体的行動との連動
       ・現場基盤である5Sとの連動   等

 今回の改定は、組織目的の達成に向けて機能しうるマネジメントシステムへとブラッシュアップさせる絶好のチャンスです。

・なんとなくモヤモヤ感を抱いている組織は、モヤモヤ感の顕在化を
・明確にモヤモヤ感を特定している組織は、モヤモヤ感の解消を
・一定の機能を実感している組織は、目的・戦略との統合、及び日常事業プロセスへの要求事項の統合を

 各組織様のご発展をお祈りしています。

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この記事の著者

本多 貴治

トヨタ方式/IEとISO9001からの学びをベースに中堅・中小企業のマネジメント/現場改善を支援~プロフェッショナルとしてkaizenをプロモートし、日々実践、結果プロフィットを創出します。

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