夢商品開発七つ道具とは(1) 【快年童子の豆鉄砲】(その37)

 

◆夢商品開発七つ道具とは(1)

1. はじめに

今回から、下表、表2-1の「喫緊の課題」の11番目「将来を支える商品開発ができない」の発生要因「市場創造型商品開発能力不足」に対する解決手段「夢商品開発七つ道具」の説明に入らせて頂きます。

 

表2-1 中小企業が抱える喫緊の課題12と課題発生要因17に対する解決策の概要

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その36)へのリンク】

2.「夢商品開発七つ道具(Y7)」開発の契機

1)はじめに

筆者のライフワークテーマ「100年企業を目指す中小企業の理念経営体系」の結論である「理念経営体系図」は、下図の図23-1にお示しした通りなのですが、問題は、企業の将来を支える「挑戦管理エリア:ブルーオーシャン戦略」のカギを握る「比類なき創造的開発による画期的市場創造型夢商品の開発供給」のための具体的ツールの準備です。

 

図23-1 理念経営基本体系図

 

その準備に悪戦苦闘しているときに、縁あって遭遇したのが、ズバリそのニーズに答えようと準備中の「創造的魅力商品開発七つ道具(M7)」だったのです。

 

ただ、後述する理由のため、M7をそのまま採用することが出来ず、修正を加え「夢商品開発七つ道具(Y7)」としてご提案することになったのですが、基本的コンセプトをそのまま採用していますので、M7の説明から入ります。

 

2)「創造的魅力商品開発七つ道具(M7)」開発の背景

この「M7」は、QC界を風靡した「新QC七つ道具(N7)」の提唱を主導された納谷義信氏(故人)が、パラダイムシフト下の21世紀における企業の勝ち残り戦略を支えるツールとして新たに提唱を計画されたものなのですが、残念ながら原稿作成までで提唱にまで至らなかったものです。

 

納谷氏のM7提唱に対する思いは、卓越した商品開発プロセス紹介を通じてTQMの新たな展開の提案を意図して出版された共著書「創造的魅力商品の開発」(納谷嘉信、諸戸脩三、中村泰三共著:日科技連出版1997年)の中にある「創造的魅力商品開発の成功確率を高めるシステムの存在すること、しかもそれらのシステムが複数個存在することを強く確信している」(P12)に込められており、その思いを「M7」という形で世に問うことを共著者に提唱して賛同を得て集まった原稿が150ページになったのです。

 

ところが、取りまとめる人がおらず困っているとの話を聞き、7つの内の一つに、筆者オリジナルの「PDCA-TC法」が含まれていたこともあって原稿を送って頂き拝見したところ、その内容に惚れ込んで取りまとめを志願し、取りまとめたのですが、諸事情があって出版に至らなかったのです。

 

3)「創造的魅力商品」の定義

M7の説明に入る前に、「創造的魅力商品」の定義を確認しておきたいと思います。

 

先ず、「魅力商品」については、前述の「創造的魅力商品の開発」(以後“前書”とする)の冒頭のページ(ⅲ)に下記のように定義されています。

 

「社会的満足度(Social Satisfaction:SS)、顧客満足度(Customer Satisfaction:CS)、社員満足度(Employee Satisfaction:ES)の実現を前提として、単一または複数の高度な“魅力品質要素”を具備する新商品であって、新規性、競合における優位性が高く、経営への寄与も大きい商品」

 

そして「創造的」については次のように述べられています。

 

「その単一または複数の魅力品質要素が世界初またはそれに近いものであって、顧客がそれを購入して、感動と喜びを示すものである」「創造的」についての原文は「・・・を示すものでありたい」という願望の形になっているのですが、内容そのものでいいと思いますので上記の表現にしました。

 

あと、魅力商品の説明に出てくる“魅力品質要素”というのは、1984年に狩野紀昭東京理科大教授らが、商品の品質要素を「魅力的品質要素」、「一元的品質要素」、「当たり前品質要素」に分類したものの一つなのですが、「夢商品」のコンセプトを理解する上で重要ですので、詳しくご説明しておきたいと思います。

 

先ず、それぞれに対する定義は下記のようになっています。

 

表110-1 製品の品質要素の種類

 

この「魅力的品質要素」こそが、今まさに、顧客が求めているものと言えますので、この魅力的品質を、世界初レベルの高さで具現した創造的魅力商品開発の成功率を高める手法として開発されたのが、これからご説明する「創造的魅力商品開発七つ道具(M7)」なのです。

 

ただ、M7を活用して、他の品質要素と一線を画す商品開発を進めるには、それぞれの品質要素の特質を、開発に関わる関連要因との関わり具合で把握しておく必要がありますので、その点について次弾でご説明いたします。

 

次回に続きます。

 

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