中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その64)

 前回のその63に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 新規取引先を選ぶときのポイント

6、システムや仕組みの整備状況

 会社・工場としての基本的な仕組みやシステムを持っているか、それがきちんと機能しているかを確認します。特定個人の能力で管理されているのは好ましくありません。仕組みとして動いていることが重要です。

 会社全体として、どの程度仕組みが整っているか確かめる場合は、IS09001の内容に基づいて見ていくと漏れなく確認できると思います。必要な仕組みやシステムに致命的な欠陥や機能不全がないかをチェックします。先方がIS09001を取得していない場合でも、それに準じた管理をしてもらう必要があります。

【個人の力で品質が確保されていた中国企業】

 中国企業の場合、まだまだ仕組みやシステムがしっかり整っていない工場も多くありますが、そんな工場でも生産したものの品質が特定の個人の能力で確保されているケースもあります。このような場合、何らかの事情でその人が退職した時が問題です。

 ある日系企業が自社で企画・設計した電子機器を中国企業に製造委託をしました。当然のことながら事前に工場監査を行い工程の管理状況や品質実績を確認し、満点ではないものの生産委託可と判断しました。量産を開始してからも生産品の品質は、そこそこ満足できるものでしたので、別製品の生産委託も追加するなど継続した取り引きを行っていました。

 ところが、ある時期から品質が悪くなり始め、指摘しても一向に改善されませんでした。しかし、今までの実績から生産委託は継続していました。

 なぜこの生産委託先の中国企業は、品質が悪くなったのでしょうか?

 日系企業の担当者の話によると、品質がそこそこ良かった時は、生産と品質を統括していたスタッフがいて、その人がポイントを押さえ管理していたそうです。ところがそのスタッフが経営者と意見が合わず会社を辞めてしまってから、品質が悪くなってきたとのことでした。

 そのスタッフが生産や検査でポイントを押えることで、品質が確保されていたのです。まさに仕組みではなく個人の能力で管理が行われていた訳です。その人がいなくな...

って、しばらくはその管理が行われていたものの、時間が経つうちに管理不十分となり品質が確保できなくなったと考えられます。

 取引先企業が特定の個人の能力に頼っている傾向がある場合は、そのあたりに十分注意することが必要になってきます。

 次回は、新規開拓・工場のどこを見ればよいか。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載

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