富士フイルムの成功事例 特許活用によるイノベーション創出(その4)

 

【特許活用によるイノベーション創出 連載目次】

 

 前回ご説明した、下記のステップを実例を上げて説明します。

STEP1 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
   ↓
STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出
   ↓
STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
   ↓
STEP4 テーマの選定とシナリオ作成
   ↓
 実行

◆ 富士フイルムの成功事例

 ご存知のように富士フイルムはコダックの沈没に対して、写真事業からの転換に成功しています。その説明はたくさんの記事があります。今回は、富士フイルムのIR情報から考えてみます。

 https://www.fujifilmholdings.com/ja/investors/pdf/other/ff_presentation_20160329_001j.pdf

 この中に、以下の図が有ります。

 

 これは、銀塩写真での基盤技術である粒子の分散技術をもとに、写真フィルムから化粧品にその技術を展開したいという図になっています。ここで、上記の各ステップと対比して見ていきます。

STEP1 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする

 富士フイルムのコア技術として分散技術というのが有ると思います。実際には、自社の特許を分析して抽出する必要がありますが、ここでは「分散」をキーワードとします。
  
STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出

 ここでは、銀塩写真の分散技術を「化粧品」に展開しているので、ターゲットとする分野を「化粧品」とします。ここのキーワードは、進出したい分野、伸びが期待される分野、規制などが変わりチャンスがある分野など、様々な観点で選ぶことができると思います。
  
STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み

 国内特許を請求項のキーワードで「写真」☓「分散」として検索すると、約9000件の特許が出てきます。同じように、「化粧」☓「分散」で検索すると約5000件の特許が検出されます。
すなわち、化粧品分野に...

おいて、何らかの分散技術が必要であることを示唆しています。

 この5000件の特許をさらにキーワードで絞り、自社の技術が生かせる分野を探しいていく作業を行います。
  
STEP4 テーマの選定とシナリオ作成

 上記の作業から目指す市場が決まれば、技術をいかに開発して、技術的な差別性を利点に如何に市場に参入していくかということを考えるステップとなります。

 次回も別の事例をご紹介します。

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