三現主義と5ゲン主義(その1)

更新日

投稿日

 ものづくり現場の体質強化のためには、先ず現場の実態をきちんと把握する必要があります。これは、単に一度や二度現場を見ただけでは、事実を把握できません。現場は、日々変化するからです。

  この現場の実態把握の仕方については、良く巡回している人とたまにしか現場に入らない人とで、おのずと違いが出て来ます。また、着眼点やポイントも持たず、ただぐるぐる回って見るだけでは、問題や課題は見つけられない場合も多いですね。そうなると、現場を歩く時間も無駄な気がしてしまいます。

 最近では、国内のものづくり現場がどんどん東南アジアに出て行く、いわゆる国内空洞化する中で、国内に居る人達が、“現場を見る”と言う経験も経ず、海外拠点の管理職として赴任することも珍しくなくなりました。現場を見る機会のなかった人が、海外のものづくり拠点に赴任し、本当のものづくり現場の責任者になっても、実際には現場に入らない、入れないと言うことをしばしば耳にします。現場に入る価値が分からないからです。現場に入っても、何が問題なのか、誉めて良いのか、叱って良いのかわからないと言うことから現場に足が向かなくなります。そして、気持ちの中で、手が空いたら入ろう。1日くらい入らなくても、と言い訳けしているうちに段々入らなくなり、やがて全く入らなくなってしまいます。

 最近では、情報の電子化が進んでいますので、赴任先の事務室で、歩留まり、品質や生産状況等がPCで瞬時に把握でき、また時差を考慮しないで日本との情報共有も簡単にできる時代になりました。現場に入らず、キーボードを叩いたり、パワーポイントで各種資料を作るだけで毎日が終わると言う話も聞きます。これで仕事が進んだ気になってしまうのでしょう。それでは国内でやっていることと変わりなく、もしかすると赴任しなくても良いかも知れませんね。

 赴任前の人達に、「なぜ東南アジアに工場を作るんでしょうね?」と聞いてみると、「日本国内に比べ、コストメリットが格段に違うからです」と一様に言います。  私は、「その考えは、間違ってはいません。でも、東南アジアに出ても、その工業団地には、同じように日本から進出した企業や、海外からの企業も含めライバルが沢山いるはずです。日本と現地を比較するのではなく、その進出先で勝たなければいけないんです。そこでしのぎを削るんです。今、業績が良いのは、それまでに赴任した人達の長年の努力の積み重ねであって、そこに胡坐をかいていると、それまで良かった体質が音を立てて崩れます。そうなってからでは立て直しはできませんよ」とちょっと脅かしたり、厳しい指摘をします。その危機感が欲しいからです。

 TOP、管理監督者が入らない現場はどうなるのでしょう。  端的に言いますと“現場は荒れ放題”になり、具体的には歩留まり、品質、安全など色々な面で問題が表面化してきたり、現場の士気が下がる、緩むと言うことになります。こういう工場をたくさん見て来ました。

 品質問題が出始めると、その都度引き締めているはずなのに、次から次に発生します。事故・災害も...

 ものづくり現場の体質強化のためには、先ず現場の実態をきちんと把握する必要があります。これは、単に一度や二度現場を見ただけでは、事実を把握できません。現場は、日々変化するからです。

  この現場の実態把握の仕方については、良く巡回している人とたまにしか現場に入らない人とで、おのずと違いが出て来ます。また、着眼点やポイントも持たず、ただぐるぐる回って見るだけでは、問題や課題は見つけられない場合も多いですね。そうなると、現場を歩く時間も無駄な気がしてしまいます。

 最近では、国内のものづくり現場がどんどん東南アジアに出て行く、いわゆる国内空洞化する中で、国内に居る人達が、“現場を見る”と言う経験も経ず、海外拠点の管理職として赴任することも珍しくなくなりました。現場を見る機会のなかった人が、海外のものづくり拠点に赴任し、本当のものづくり現場の責任者になっても、実際には現場に入らない、入れないと言うことをしばしば耳にします。現場に入る価値が分からないからです。現場に入っても、何が問題なのか、誉めて良いのか、叱って良いのかわからないと言うことから現場に足が向かなくなります。そして、気持ちの中で、手が空いたら入ろう。1日くらい入らなくても、と言い訳けしているうちに段々入らなくなり、やがて全く入らなくなってしまいます。

 最近では、情報の電子化が進んでいますので、赴任先の事務室で、歩留まり、品質や生産状況等がPCで瞬時に把握でき、また時差を考慮しないで日本との情報共有も簡単にできる時代になりました。現場に入らず、キーボードを叩いたり、パワーポイントで各種資料を作るだけで毎日が終わると言う話も聞きます。これで仕事が進んだ気になってしまうのでしょう。それでは国内でやっていることと変わりなく、もしかすると赴任しなくても良いかも知れませんね。

 赴任前の人達に、「なぜ東南アジアに工場を作るんでしょうね?」と聞いてみると、「日本国内に比べ、コストメリットが格段に違うからです」と一様に言います。  私は、「その考えは、間違ってはいません。でも、東南アジアに出ても、その工業団地には、同じように日本から進出した企業や、海外からの企業も含めライバルが沢山いるはずです。日本と現地を比較するのではなく、その進出先で勝たなければいけないんです。そこでしのぎを削るんです。今、業績が良いのは、それまでに赴任した人達の長年の努力の積み重ねであって、そこに胡坐をかいていると、それまで良かった体質が音を立てて崩れます。そうなってからでは立て直しはできませんよ」とちょっと脅かしたり、厳しい指摘をします。その危機感が欲しいからです。

 TOP、管理監督者が入らない現場はどうなるのでしょう。  端的に言いますと“現場は荒れ放題”になり、具体的には歩留まり、品質、安全など色々な面で問題が表面化してきたり、現場の士気が下がる、緩むと言うことになります。こういう工場をたくさん見て来ました。

 品質問題が出始めると、その都度引き締めているはずなのに、次から次に発生します。事故・災害も出始めると、ブレーキがかかりません。それらの対応のために費用が発生し、折角得られた利益が薄くなる、あるいはそれらの原因で赤字になると言う悪のスパイラルにはまる場合もあります。

 そこで、日常的に現場を良く見ましょう、と言うことです。現場を歩くことは、何も無ければ時間の無駄なような気がしてしまいますが、こんな地味な地道な努力の積み重ねが、品質問題や事故・災害を減らしたり、人間関係を良くしたりします。

 現場を見ることが三現主義の第一歩です。現場へ行って、現実、現物を見るのです。その上で、原理・原則で考える5ゲン主義に発展させていきましょう。

 その2

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め...


「クリーン化技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クリーンルーム用の接着テープと安全通路テープ

 今回はクリーンルーム内で使用するテープ類について説明します。  1.接着テープ  クリーンルームの清浄度を維持するために、クリーン化4原則...

 今回はクリーンルーム内で使用するテープ類について説明します。  1.接着テープ  クリーンルームの清浄度を維持するために、クリーン化4原則...


現場診断・指導について(その8) クリーン化について(その68)

  今回から設備診断について説明します。   「現場診断しましょうか」と言っても「自分たちでやるから外部の方の診断は不要です...

  今回から設備診断について説明します。   「現場診断しましょうか」と言っても「自分たちでやるから外部の方の診断は不要です...


クリーン化について(その128)人財育成(その29)現場観察とは

  前回のクリーン化について(その127)人財育成(その28)の続き、“現場へ足を運ぶことの大切さ”の続きです。 ...

  前回のクリーン化について(その127)人財育成(その28)の続き、“現場へ足を運ぶことの大切さ”の続きです。 ...


「クリーン化技術」の活用事例

もっと見る
クリーンルームでの油性ペン、プリンター、発塵問題

       今回は、クリーンルームの考察事例として、油性ペン、プリンター、発塵問題について解説します。   1. クリーンルームでの油性ペン、...

       今回は、クリーンルームの考察事例として、油性ペン、プリンター、発塵問題について解説します。   1. クリーンルームでの油性ペン、...


クリーンルームのレイアウトを考える

 クリーンルーム内には、設備、作業台など色々なものを設置するので、予めレイアウト設計をします。高い清浄度を必要としないクリーンルームは、物の流し方、つまり...

 クリーンルーム内には、設備、作業台など色々なものを設置するので、予めレイアウト設計をします。高い清浄度を必要としないクリーンルームは、物の流し方、つまり...


クリーンマットを使ったある社長の行動事例

 クリーンマットは、靴や台車の汚れを取ることが目的ですが、汚れたものを剥いで捨てるだけの繰り返しではもったいないです。クリーンマットは、綺麗さのバロメータ...

 クリーンマットは、靴や台車の汚れを取ることが目的ですが、汚れたものを剥いで捨てるだけの繰り返しではもったいないです。クリーンマットは、綺麗さのバロメータ...