今回は、ビックデータの活用について解説します。
1. ビッグデータの活用
「ビッグデータ」はそれ単体では、単なる巨大なデータの塊であり、何の役にも立ちません。ビッグデータを処理して活用する術が整って初めて活用することができます。キーワードを組み合わせると、以下が成立すると考えています。
IoT = センサネットワーク + ビッグデータ + クラウドコンピューティング + 人工知能
つまり、ビッグデータはIoTの構成要素の一部と考えています。IoTの本質は「世界の至る所に大量のセンサーをばらまく」ことに尽きます。その結果、無線ネットワーク経由で、莫大な量のデータがインターネットにアップロードされることになります。この莫大な量のデータこそが「ビッグデータ」です。
- インターネットにアップロードされたビッグデータは、然るべき目的のためにクラウドサーバで処理されます。(クラウドコンピューティング)
- ビッグデータを扱う目的で多いのは「大量データを統計処理することで、ある一定の法則性を探り出す」ことです。(データマイニング)
この法則性を探り当てることに成功すれば、ビジネスで大いに優位に立つことができます。極論すれば、この法則性に従ってビジネスを行うだけで、収益アップするのを約束されたようなものです。
近年、「データサイエンティスト」と呼ばれる職種の専門家が就職市場で人気を集めています。シリコンバレーの名だたるIT企業も高い給料を払って求人しています。その理由は、上述したとおり、彼らはビッグデータ(から探り出せる法則性)の価値を十分に理解しているからです。
更に進んで、「データサイエンティスト」(人間)の代わりに、「人工知能」(コンピューター)に、ビッグデータの統計分析をやらせてみようと言う動きがあります。ここまで来ると、IoTの上流から下流までの間に人間が介在しなくなる世界になります。となると、人間がやるべき仕事(裏を返せば、人工知能ができない仕事)は「ビッグデータの活用法を自分なりに考えてみる」ことくらいしか残されていません。
2. ビッグデータが指す範囲(定義)
ビッグデータの種類の話をするには、まずは、「ビッグデータ」が指す範囲(定義)を明確にする必要があります。結論から言うと、「ビッグデータ」は明確な公式定義がないBuzz word(流行言葉)という側面があります。ですが、一般的には、下記の"4V"を充足するデータを「ビッグデータ」と呼んでいます。
という訳で、上記の"4V"条件を充足するデータであれば何でも「ビッグデータ」となります。このように「ビッグデータ」が指す範囲が余りにも広いことから理解しづらい面もありますが、身近な具体例を挙げると下記のようになります。
- 機械に搭載したセンサーから収集したデータ (いわゆる、IoT)
- 検索エンジンの検索履歴
- オンラインショップの購買履歴
- POSデータ
- SNSなどの書き込みログ
- 動画サイトにアップロードした動画
- クレジットカードの決済履歴
- アフィリエイトサイトのクリック履歴
3. ビックデータの活用
ビッグデータの活用事例は、概ね、ある一定のパターンがあり、次のようなパターンです。
(1) 工業製品にセンサーを搭載して、IoTシステムを構築する。
その目的は、故障の予防保守、商品の位置把握(GPSと連動)、消費者の購買活動の分析、などです。有名な企業では、コマツ、ヤンマー、ロールスロイス、JR子会社(自販機ビジネス)、Amazonなどが挙げられます。故障しそうなタイミングをある程度予測できるようになり、故障する前に予防保守できます。商品の位置を把握することで、物流の最適化を図ることもできます。最近の自動販売機などでは、消費者の購買履歴データを分析し、時間帯や場所に応じて、品揃えを最適化します。売上機会の増大、コスト削減、顧客満足度向上などの様々なメリットが見込めます。
(2) 事業活動により得られるデータを統計分析して、人間では気づけないポイントをフィードバックすることで、自社の製品やサービスの付加価値を向上する。
ビッグデータのメリットは、膨大なデータを統計処理することで、人間では気づけない(処理しきれない)ポイントを洗い出すことが可能なことです。分かりやすい事例は、ECサ...