技術士第二次試験対策:“書くこと”をキーワードとした試験対策

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1. “書くこと”をキーワードとした内容

 
 技術士の試験は択一式試験と記述式試験で行われます。この記述式試験の対策として、わかりやすい答案を書くという記事をすでに掲載しました。この記事の中では、わかりやすい答案(試験官に解答が明確に伝わる答案)を書く方法を解説しました。この記事は、“明確に伝わる”をキーワードとした内容でした。
 
 今回の記事は、“書くこと”をキーワードとした内容です。“書くこと”について様々な視点から解説します。
 

【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を紹介しています。

 

2. 600字を書く時間を把握する

 
 自分が文字を手で書く速さを知っていますか?
 
 受験生の方は、ワードやエクセルなどのソフトを使って仕事に関する文章を書いていると思います。文章を手で書く方はほとんどいないと思うのでこの質問に対する回答は“No”だと思います。
 
 記述式試験は、所定の時間内かつ所定の文字数以内で答案用紙に解答を書く必要があります。頭の中に合格できる解答があっても答案を書くためのこの条件を満足しなければ試験に合格できません。そこで、「600字を何分で書けるか」を把握してください。600字とは、記述式試験で解答を書く場合の基本単位です。
 
① 専門知識の問題:600字詰用紙2枚以内(2問)
② 応用能力の問題:600字詰用紙2枚以内(1問)
③ 課題解決能力の問題:600字詰用紙3枚以内(1問)
 
 多くの受験生の方は文字を手で書くことに慣れていないため「600字を書く時間を把握すること」は重要です。これを把握していないと、試験場で「しまった・・・解答が頭の中にあるのに解答を書く時間が足りない」ということが起きるかもしれません。このようなことがないように、受験勉強の段階で答案を書く時間、すなわち、答案用紙1枚(600字)を書く時間を確認してください。
 
技術士
 

3. 答案の概要を作成する

 
 試験場では、解答をいきなり書き出さずに“答案の概要”を考えてから解答を書いてください。答案の概要とは解答の骨組み(解答の骨子)です。
 
 解答をいきなり書き出すと解答を書いている途中で解答の流れがわからなくなり、「アレッ? 初めに考えたことと違う内容になってきた」などのようなことが起きるかもしれません。そこで、答案の概要を作成する方法を1つ解説します。
 
「わかりやすい答案を書く」という記事の中で、わかりやすい答案を書く方法として以下のことを書きました。
 
 試験では、「解答すべきことの要点は何か?」、「解答すべきことの要点に関する説明は何か?」と頭の中の交通整理をしてから答案用紙に解答を書いてください。
 
 「解答すべきことの要点」と「解答すべきことの要点に関する説明」を問題用紙の空きスペースに書き出すことで答案の概要を作成してください。書き出すのはこれらに関しての簡単な文やキーワードなどでかまいません。「解答として何をどのような流れで書くのか」がわかる程度の内容でかまいません。
 
 答案の概要を作成することで、解答を書き出す前に解答に対する事前の確認ができます。すなわち、「問題に書かれている解答すべきことに対して間違いなく解答しているか(解答すべきことに抜けがないか)」、「解答すべきことに対して適切な解答を考えているか」などが事前に確認できます。
 
  

4. 記述式試験での時間配分を考える

 
 600文字を書く時間から記述式試験での時間管理ができます。すなわち、600文字を書く時間がわかれば答案の概要を考える時間がわかります。
 
 例えば、課題解決能力の問題は2時間で1問を解きます。600文字を20分で書くとしたら2時間のうち1時間で答案の概要を考えればよいです。解答を書く時間が20分×3枚=60分だからです。専門知識の問題と応用能力の問題も同じように考えることができます。
 
 しかし、試験では、答案の概要をじっくり考える時間的な余裕がなく考えながら解答を書くこともあると思います。したがって、このような時間配分で解答を書くことができないかもしれません。しかし、文字を手で書く時間を把握しておけば、試験場でこれが必ず役立つと思います。
 

5. 誤字を書かない

 
 答案には誤字(誤った文字)を書かないでください。ただし、解答を書いていてどうしても漢字が出てこないときにはひらがなで書いてください。漢字を...

1. “書くこと”をキーワードとした内容

 
 技術士の試験は択一式試験と記述式試験で行われます。この記述式試験の対策として、わかりやすい答案を書くという記事をすでに掲載しました。この記事の中では、わかりやすい答案(試験官に解答が明確に伝わる答案)を書く方法を解説しました。この記事は、“明確に伝わる”をキーワードとした内容でした。
 
 今回の記事は、“書くこと”をキーワードとした内容です。“書くこと”について様々な視点から解説します。
 

【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を紹介しています。

 

2. 600字を書く時間を把握する

 
 自分が文字を手で書く速さを知っていますか?
 
 受験生の方は、ワードやエクセルなどのソフトを使って仕事に関する文章を書いていると思います。文章を手で書く方はほとんどいないと思うのでこの質問に対する回答は“No”だと思います。
 
 記述式試験は、所定の時間内かつ所定の文字数以内で答案用紙に解答を書く必要があります。頭の中に合格できる解答があっても答案を書くためのこの条件を満足しなければ試験に合格できません。そこで、「600字を何分で書けるか」を把握してください。600字とは、記述式試験で解答を書く場合の基本単位です。
 
① 専門知識の問題:600字詰用紙2枚以内(2問)
② 応用能力の問題:600字詰用紙2枚以内(1問)
③ 課題解決能力の問題:600字詰用紙3枚以内(1問)
 
 多くの受験生の方は文字を手で書くことに慣れていないため「600字を書く時間を把握すること」は重要です。これを把握していないと、試験場で「しまった・・・解答が頭の中にあるのに解答を書く時間が足りない」ということが起きるかもしれません。このようなことがないように、受験勉強の段階で答案を書く時間、すなわち、答案用紙1枚(600字)を書く時間を確認してください。
 
技術士
 

3. 答案の概要を作成する

 
 試験場では、解答をいきなり書き出さずに“答案の概要”を考えてから解答を書いてください。答案の概要とは解答の骨組み(解答の骨子)です。
 
 解答をいきなり書き出すと解答を書いている途中で解答の流れがわからなくなり、「アレッ? 初めに考えたことと違う内容になってきた」などのようなことが起きるかもしれません。そこで、答案の概要を作成する方法を1つ解説します。
 
「わかりやすい答案を書く」という記事の中で、わかりやすい答案を書く方法として以下のことを書きました。
 
 試験では、「解答すべきことの要点は何か?」、「解答すべきことの要点に関する説明は何か?」と頭の中の交通整理をしてから答案用紙に解答を書いてください。
 
 「解答すべきことの要点」と「解答すべきことの要点に関する説明」を問題用紙の空きスペースに書き出すことで答案の概要を作成してください。書き出すのはこれらに関しての簡単な文やキーワードなどでかまいません。「解答として何をどのような流れで書くのか」がわかる程度の内容でかまいません。
 
 答案の概要を作成することで、解答を書き出す前に解答に対する事前の確認ができます。すなわち、「問題に書かれている解答すべきことに対して間違いなく解答しているか(解答すべきことに抜けがないか)」、「解答すべきことに対して適切な解答を考えているか」などが事前に確認できます。
 
  

4. 記述式試験での時間配分を考える

 
 600文字を書く時間から記述式試験での時間管理ができます。すなわち、600文字を書く時間がわかれば答案の概要を考える時間がわかります。
 
 例えば、課題解決能力の問題は2時間で1問を解きます。600文字を20分で書くとしたら2時間のうち1時間で答案の概要を考えればよいです。解答を書く時間が20分×3枚=60分だからです。専門知識の問題と応用能力の問題も同じように考えることができます。
 
 しかし、試験では、答案の概要をじっくり考える時間的な余裕がなく考えながら解答を書くこともあると思います。したがって、このような時間配分で解答を書くことができないかもしれません。しかし、文字を手で書く時間を把握しておけば、試験場でこれが必ず役立つと思います。
 

5. 誤字を書かない

 
 答案には誤字(誤った文字)を書かないでください。ただし、解答を書いていてどうしても漢字が出てこないときにはひらがなで書いてください。漢字をひらがなで書くと稚拙な答案に思われるかもしれませんが答案には正しい文字を書いてください。誤った文字を書かないでください。
 
 ただし、これも程度の問題です。答案の中にひらがなが数多く出てくると、解答の技術レベルが高くても「技術者としての基本的な能力に欠けている」と判断されて答案の評価に影響が出るかもしれません。仕事のときや受験勉強のときに意識して漢字を覚えるようにしてください。
 
【参考文献】
森谷仁著、「技術士第二次試験 建設部門 答案作成のテクニック 5つの手順で書いてみよう」、オーム社、平成29年3月20日
  

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この記事の著者

森谷 仁

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!

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