新商品の企画方向を探るーポジショニング分析とはー

 今回は、新商品の企画方向を探る上で重要な、ポジショニング分析について解説します。
 

1. ポジショニング分析の概要

 商品企画七つ道具の手法にポジショニング分析があります。アンケートなどの顧客調査から、「顧客から見た商品の位置関係」をマップ上で明らかにします。
 
 目的は複数の商品評価によって、総合評価(購入意向や使用意向)の選好方向(理想ベクトル)を探る方法です。商品企画上の問題は、次の5点があります。
 
・顧客がどのような商品を購入したいのか。
・顧客の購入理由は何か。
・顧客は競合他社商品をどんな評価をするか。自社商品は評価されているか。
・新商品はどんな評価になるか。
・わかりやすく少数のマップで買いたい方向を知りたい。
 
 顧客の客観的データを使うのが、七つ道具の強みであり、企画者などによる主観的ポジショニング分析ではありません。
 

2. ポジショニング分析の分析手法

 分析手法としては、多変量解析の因子分析と重回帰分析を行い、ポジショニングマップを描きます。因子分析は商品に対する評価をして、ポジショニングマップを作るのが目的です。
 
 商品評価するための複数の評価用語(評価項目)と総合評価を用意します。比較する商品案(競合商品や新商品案等)を入れます。得られた商品評価の顧客データを因子分析により、少数のマップに集約します。
 
 因子分析は商品の評価項目が互いに強い相関を持った評価項目を組み合わせて少数の因子にまとめることができます。
 

【評価項目の集約例】

(1) 目新しそう
(2) 画期的そう
(3) 面白そう
    →因子に集約 ユニークさ
 
(4) 便利そう
(5) 役に立ちそう
   →因子に集約 利便性
 
 この例ですと5評価用語を2因子にまとまります。
 
 少数因子が決定すると、各評価者の因子得点を求め、因子得点と総合評価との重回帰分析を行い、選好方向を求めます。因子得点を商品ごとに平均値を計算して、因子得点を空間上に布置するとポジショニングマップができます。重回帰分析の結果、回帰係数を選好方向としてマップに描きます。
 

3. ポジショニング分析の結果の解釈

(1) 集約する因子数の決定

 すべての評価項目の相関係数を集約した相関係数行列の固有値を求めます。固有値は各因子のバラツキの程度のを示す分散に等しく、大きな方から表示されます。相関係数行列の分散の平均は1とわかっているので、固有値1以上を基準にして因子数を決めます。入浴剤の例は固有値1以上が第3因子になるので3因子に集約します。
 
  

(2) 因子解釈

 因子負荷量の絶対値が概ね0.5以上のところをマークし、因子の意味は分析者が行います。入浴剤の例の場合は、第1因子を「気持ちよい」、第2因子「美容健康効果」、第3因子「使いやすい」と意味づけしました。
 
  

(3) 因子得点

 商品ごとに因子得点の平均値を求めて、因子1と2、因子1と3、因子2と3のように組み合わせて、散布図を書けば、ポジショニングマップができます。
 

4. 重回帰分析を用いて選好方向を引く

 選好方向(理想ベクトル)は総合評価の点数と因子得点を重回帰分析をして、重回帰分析から得られた回帰係数からポジショニングマップに引きます。入浴剤のポジショニングマップでは各商品の平均値の点と矢印が引かれています。
 
 
 

5. ポジショニングマップのみかた

 選好方向(理想ベクトル)の方向は総合評価が良くなる方向を示します。選好方向にある象限の商品は、総合評価に適合した商品になります。さらに、選好方向(理想ベクトル)に近く、原点付近より方向先にある商品の方が、総合評価に対して良い評価になります。
 

【入浴剤の例】

各因子の意味 
「気持ちよい」、「美容健康効果」と「使いやすさ」を高める商品が総合評価「買いたい」を高めます。
 

因子1(気持ちよい)と因子2(美容健康効果)のマップ

・選好方向にある商品:ゆけむり天国、ミルキーバス、バスパフューム
・特によい商品:ゆけむり天国
 
  

因子1と因子3(使いやすさ)のマップ

・選好方向にある商品:バスパフューム、ゆけむり天国、ミルキーバス、ピーチの果実
・特によい商品:バスパフューム
 
 
 

因子2と因子3のマップ

・選好方向にある商品:バスパフューム、ミルキーバス、ゆけむり天国、天然ソルトのお風呂、総会気分サウナ
・特によい商品:バスパフューム
 
 
 

5. ポジショニング分析を行う上でのソフト

 ポジショニング分析を活用する上では、商品企画七つ道具活用に特化したソフト「P7かんたんプランナー」は無償で提供されていて容易に分析ができます。
 
 「p7かんたんプランナー」ダウンロード先は成城大学神田研究室ホームページにあります。http://www.kan-semi.com/
 
【参考文献】
「ヒットを生む商品企画七つ道具よくわかる編」神田範明編著
「神田教授の商品企画ゼミナール」神田範明著
 

この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

商品企画七つ道具(P7)を活用した顧客視点の商品企画コンサルティングを行います。この根幹は「顧客価値追求の仕組み」を提案致します。 企画の流れは顧客の声を的確に仮説構築(インタビュー調査)を行います。仮説案を元に顧客の声と商品の客観的な…

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