作業標準書について(その3)

 

作業標準書について、前回のその2に続いて解説します。
 

6.作業標準書の使い方

 

(1)作業標準書は現場リーダーと作業者が使用。

 
 作業標準書は現場リーダーが作業者に作業の説明する際の極めて重要な資料です。また、現場リーダーの説明が終了した後でも現場に掲示してあれば、文書化してありますので作業者が容易に作業の内容、ポイントを確認できます。 
 

(2)作業改善、不良低減、コストダウン、安全災害撲滅をする時に使用。

 
 作業の改善を全員がアイデアを絞って検討する際に極めて貴重な資料となります。
 

(3)お客様への工程説明用として使用。

 
 クレーム等が発生した際、お客様に安心して再購入して頂くための重要な資料となります。
 

7.標準時間(ST)と作業標準時間

 
 生産工程では生産計画の立案、結果の評価に当たり基準となる尺度を『標準時間』として設定しています。『標準時間』は『標準作業』から測定され、 『標準作業』は『標準作業書』から規定されます。従って、作業標準書が作成されないと標準時間は決まらないことになります。

 

 

(1)標準時間の定義

 
 標準時間とは適正に習熟した作業者が定められた方法、条件の下で正常な作業ペースで仕事をするときに必要であると定められている作業時間です。下表が、標準時間の体系です。
 
         
 

8.作業標準書の変更・更新管理

 

(1)作業標準書の変更・更新の必要性

 
 得意先の要望による設計変更、コストダウンの為の加工方法の変更等の要因により作業標準書は常に更新しなければならず、その更新システムが構築されていなければよいものづくりはできません。
 

(2)作業標準変更のための様式と手続き

 
 下記のように変更管理を徹底させます。
 
・変更ルートの明確化
  変更管理の主部門を決定変更、通知の情報ルートを決める。
・現場・管理事務担当者の決定
  受け取り、保管、差し替えの事務担当者を決定し、指導する。
・職場全員に連絡
  職場全員に作業標準の変更を簡潔に通知し、該当担当者には変更連絡書を基に詳細に説明する。
 

9.装置産業の作業標準書

 
 化学工場、ライフライン事業(電力事業・水道事業・ガス事業など)等の設備、機械を主体した産業を装置産業と呼び、作業者が主体として完成品を生産する組立産業とは大きく異なり、装置の管理が製品品質を大きく左右します。標準作業書としてはオペレーター用の設備操作用・標準作業書と設備管理用・標準作業書があります。
 

(1)設備操作用・標準作業書

 
 装置産業ではオペレーター(作業者)の役割は装置への材料投入、製造条件設定、監視、サンプリングであり、この内容を記入します。
 
  ① 材料投入の条件の指示、注意事項
  ② 装置の初期条件の設定
  ③ 安全上に注意事項(加熱、加圧等)
  ④ 条件設定後の監視(モニター)の確認方法
  ⑤ 製品のサンプリングの確認方法
  ⑥ 異常発生時の処置方法
 

(2)設備管理用・標準作業書

 
 下表のように、設備管理とは、生産設備の日常の運転・定期点検・補修などを行い、機能維持を行うことです。
 
 
① 設備メーカー及び設備の取扱い説明書から必要とされる保守、点検方法...
を聞き、調査 その内容をイ
  ラスト、写真等で記載。
② 保守に必要な材料、部品を調査し、記載。
③ 設備異常時のメーカー連絡先を確認、記載。
④ 日常点検シートの作成
  日々の設備管理・標準作業書の確認、記録シートとして日常点検シートを作成。
⑤定期点検シートの作成
  月、年毎の設備管理・標準作業書の確認、記録シートとして日常点検シートを作成。
 
 以上で、作業標準書について、3回の連載を終わります。
 
 

  

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者