TRIZの構成と各論

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◆TRIZとは

 TRIZは、旧ソ連の海軍の特許担当者G.Altshuller(アルトシューラ)が1946年に理論体型の基本を作ったもので、技術問題に関わる革新的な解決の殆どは、過去の発明事例からの類比的発想で導くことが可能ということを見い出し、250万件以上の膨大な特許の統計的分析に基づく問題解決への科学的・体系的アプローチ技法です。TRIZの全体イメージは下図のようです。
 
                 TRIZ

  

◆TRIZの構成と各論

 

1.矛盾 ー技術的矛盾ー

 
 矛盾<あちらを立てれば、こちらが立たない>のうち、異なるファクター間での矛盾を「技術的矛盾」と言います。例えば、・丈夫で長持ちさせるには、厚いしっかりした材料が良い・・しかし、重くなってしまう。技術的矛盾を解消するには →「技術的矛盾マトリックス」を使用します。改善したい項目と悪化する項目との組み合わせで対処すべき方向を示してくれます。改善or悪化する項目は図1の「39のパラメータ」から対処すべき方向として、「40の発明原理」が得られます。
 
                 TRIZ
                                                         図1. 39のパラメータ
 

2.矛盾 ー物理的矛盾ー 

 
 矛盾<あちらを立てれば、こちらが立たない>のうち、同じファクター間での矛盾を「物理的矛盾」と言います。 例えば、・大きくあってほしいが(ある場合には)小さくあってほしい・・といった<大きさという>同じファクター間での矛盾を「物理的矛盾」と言います。
 
 ・物理的矛盾を解消するには →「分離の法則」を使用します 。
 
  1) 時間による分離  --異なる時間上で分離する--
  2) 空間による分離  --異なる空間上で分離する--
  3) 部分と全体の分離   --部分と全体で分離する--
  4) 状況による分離  --異なる状況で分離する--
 

3.物質-場 分析(SuField分析)

 
 問題をもつ対称となるシステムを
   「物質」・・・構成因子 および
   「場」 ・・・それらの間に働く相互作用
 という概念で捉え、<システムをモデル化して表現する>ことにより
  ・ 作用されるもの、作用するもの、は何か
  ・それらの間にどのような「力」で作用しているか、
  ・それらの「力」は有益に作用しているか、それとも有害な働きをしてはいないか を考える。
    ・物質-場 分析での問題解決には図2の「76の標準解」を使用します。
 
          TRIZ
                                                       図2.76の標準解
 

4.Effects

 
 特許で表されているものを中心とした実際の活用例や原理・法則・現象からの展開。例えば、アルキメデスの原理、パスカルの法則、毛細管現象 といったもの。自分の問題に役立つ事象ということから「有益機能」とも言います。この有益機能の逆引き辞書が「Effects」です。
 

5.技術進化のパターン

 
・テクノロジーの進化は無秩序なプロセスではない。
   発明家によって変わるものでもない(法則性がある)。
・生物学的・社会的システムと同様に、テクノロジーはあらゆる分野で
 特定のパターンに従って進化する。  図3の「進化のパターン」参照。
 
                TRIZ
                                                                    図3.進化のパターン
 

6.9画面法 (マルチウィンドウズ)

 
 9画面法は「対象システム」を中心に置き、対象の技術の過去も考慮し、そこから現在を通して、未来にあるべき姿を想定します。対象システムを包含する「スーパーシステム」や対象システムを支える「サブシステム」を考えます。 対象の技術の過去も考慮し、そこから現在を通して、未来にあるべき姿を想定します。図4の「9画面法」参照。
 
         TRIZ
                                                                    図4. 9画面法 
 
 

◆関連解説『TRIZとは』

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◆TRIZとは

 TRIZは、旧ソ連の海軍の特許担当者G.Altshuller(アルトシューラ)が1946年に理論体型の基本を作ったもので、技術問題に関わる革新的な解決の殆どは、過去の発明事例からの類比的発想で導くことが可能ということを見い出し、250万件以上の膨大な特許の統計的分析に基づく問題解決への科学的・体系的アプローチ技法です。TRIZの全体イメージは下図のようです。
 
                 TRIZ

  

◆TRIZの構成と各論

 

1.矛盾 ー技術的矛盾ー

 
 矛盾<あちらを立てれば、こちらが立たない>のうち、異なるファクター間での矛盾を「技術的矛盾」と言います。例えば、・丈夫で長持ちさせるには、厚いしっかりした材料が良い・・しかし、重くなってしまう。技術的矛盾を解消するには →「技術的矛盾マトリックス」を使用します。改善したい項目と悪化する項目との組み合わせで対処すべき方向を示してくれます。改善or悪化する項目は図1の「39のパラメータ」から対処すべき方向として、「40の発明原理」が得られます。
 
                 TRIZ
                                                         図1. 39のパラメータ
 

2.矛盾 ー物理的矛盾ー 

 
 矛盾<あちらを立てれば、こちらが立たない>のうち、同じファクター間での矛盾を「物理的矛盾」と言います。 例えば、・大きくあってほしいが(ある場合には)小さくあってほしい・・といった<大きさという>同じファクター間での矛盾を「物理的矛盾」と言います。
 
 ・物理的矛盾を解消するには →「分離の法則」を使用します 。
 
  1) 時間による分離  --異なる時間上で分離する--
  2) 空間による分離  --異なる空間上で分離する--
  3) 部分と全体の分離   --部分と全体で分離する--
  4) 状況による分離  --異なる状況で分離する--
 

3.物質-場 分析(SuField分析)

 
 問題をもつ対称となるシステムを
   「物質」・・・構成因子 および
   「場」 ・・・それらの間に働く相互作用
 という概念で捉え、<システムをモデル化して表現する>ことにより
  ・ 作用されるもの、作用するもの、は何か
  ・それらの間にどのような「力」で作用しているか、
  ・それらの「力」は有益に作用しているか、それとも有害な働きをしてはいないか を考える。
    ・物質-場 分析での問題解決には図2の「76の標準解」を使用します。
 
          TRIZ
                                                       図2.76の標準解
 

4.Effects

 
 特許で表されているものを中心とした実際の活用例や原理・法則・現象からの展開。例えば、アルキメデスの原理、パスカルの法則、毛細管現象 といったもの。自分の問題に役立つ事象ということから「有益機能」とも言います。この有益機能の逆引き辞書が「Effects」です。
 

5.技術進化のパターン

 
・テクノロジーの進化は無秩序なプロセスではない。
   発明家によって変わるものでもない(法則性がある)。
・生物学的・社会的システムと同様に、テクノロジーはあらゆる分野で
 特定のパターンに従って進化する。  図3の「進化のパターン」参照。
 
                TRIZ
                                                                    図3.進化のパターン
 

6.9画面法 (マルチウィンドウズ)

 
 9画面法は「対象システム」を中心に置き、対象の技術の過去も考慮し、そこから現在を通して、未来にあるべき姿を想定します。対象システムを包含する「スーパーシステム」や対象システムを支える「サブシステム」を考えます。 対象の技術の過去も考慮し、そこから現在を通して、未来にあるべき姿を想定します。図4の「9画面法」参照。
 
         TRIZ
                                                                    図4. 9画面法 
 
 

◆関連解説『TRIZとは』

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この記事の著者

三原 祐治

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