課題から解決法を探索する「ものづくり工学マトリクス」

 市場、顧客要求の多様化、IT技術の進展、アジア諸国の技術力向上などの社会情勢変化により、日本の製造業は以前にも増して高度な製品を短期間に開発、生産する必要に迫られています。この要求を実現するために、多種多様な技法、手法が提案されており、それらを総括する研究も各所から報告されています。[1][2][3]

 しかし、技術者、経営者の期待は、あくまでも課題の解決であるにもかかわらず、技法の普及、利用そのものが目的化する事もありました。そこで筆者は、製造業の課題を索引とした手法の逆引きによる課題解決を下表1に示す「ものづくり工学マトリクス」として体系化し、その試みを学会、シンポジウムにて発表してきました。 [4][5][6] [7] [8]

 ここでは以下の4ステージに関する業務課題を14グループの解決技法群に整理しています。

  1. 製品企画
  2. 研究開発・設計
  3. 生産技術、製造
  4. 販売後の品質保証

 このマトリクスでは、ものづくり課題を縦軸に、解決技法を横軸に配置し、課題が技法の主目的である場合や大きな効果が期待できるセルに〇、一次的な目的ではないが副次的な効果が見込まれるセルには△を記しています。

 このマトリクス活用にあたっては、何らかの課題が生じた場合に、表の左課題列で類似の項目を探し、そこから右にセルを追っていくと必ず複数のマークに当たるので、課題に合わせてマーク列上の技法を組み合わせて解決策を検討します。

 選択にあたっては、課題の個別特性に加えて、与えられた解決期間、組織の能力などを考慮する必要があります。

 実は「ものづくりドットコム」Webサイトのコンセプトは、この「ものづくり工学マトリクス」をWeb形式に展開したものであり、〇△の2段階ではなく10段階設定が可能なため、よりきめ細かに判断することができるようになっています。

参考文献:

[1] 特集「TQMツールボックス」、品質、Vol.32, No.3, P4-P69(2002)

[2] 林利弘:開発・設計技術者の視点からMOTを考える、「経営システム」、Vol.14, No.1, (2004)

[3] 日経ものづくり編:『革新のための7つの手法』、日経BP出版センター(2006)

[4] 熊坂治:「ものづくり課題解決における品質工学の役割」、第17回品質工学研究発表大会予稿集、p.14-17(2009)

[5] 熊坂治、菊池史子、福島章雄:「ものづくり課題解決体系におけるTRIZの役割」、第5回日本TRIZシンポジウム予稿集、p.59 (2009)

[6] 熊坂治、伊藤雅行:「品質マネジメント側面から観たものづくり工学マトリクス」、日本品質管理学会第40回年次大会研究発表会要旨集p.17-20(2010)

[7] 熊坂治、伊藤雅行:「ものづくり効率化技法の活用と有効性調査報告」、日本経営工学会平成23年度春季大会予稿集p.40-41(2011)

[8] 熊坂治:「課題解決技法体系におけるTRIZの位置付け」、第7回日本TRIZシンポジウム予稿集、p.41 (2011)


この記事の著者

熊坂 治

ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。

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