Advanced 40の発明原理: 11 事前保護原理(バックアップ、リスクを考えておく:Beforehand cushioning)

 前回の10 先取り作用原理に続いて解説します。今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
 

1. 事前保護原理の概要

 最悪の場合を考慮した、リスク対応策の考え方です。「09先取り反作用原理」に近い考え方でもあります。部品やシステム等の故障を安全側に制御するフェールセーフ(fail safe)設計の考え方でもあります。例えば、PCのファイルデータを、DVDやクラウドにバックアップする意味になります。
 
                                                    
TRIZ
図1. 11事前保護原理のイメージ図
 

2. サブ原理の種類と図解事例

a.物体の信頼性が潜在的に低い場合、それを補償するために緊急のバックアップを導入する考え方

(1)エアバッグは、衝突時の衝撃を和らげるため、衝撃を感知したセンサからの信号がコントロールユ
        ニットを経由して、ガス発生装置を点火させ、ガスにより瞬時にバッグをふくらませます。
 
                                  
TRIZ
図2. 自動車のエアバッグ(参考文献:国土交通省HP)
 
(2)PCのデータを間違って消去してもいいように、予め、他のノートPC、USB、DVD、クラウドなど
       にバックアップします。
 
                                        
TRIZ
図3. 電子データのバックアップ法
 

3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例

   ・飛行機の酸素吸入器
   ・障害対応のデュアルシステム
   ・コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)
 

セミナー「EVをはじめとした次世代自動車の最新動向とリチウムイオン電池原料の今後」

13:00 ~ 16:30 

東京・品川区大井町 きゅりあん 5F 第4講習室

43,200円

4. 40の発明原理の主な活用法

 a.慣習的に使われている方法

 問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは,40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
 

b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法

 矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」,悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと,矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
 
参考文献
  1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
  2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
  3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
 

この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため、差別化技術力、自律人財創出を支援します。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため、差別化技術力、自律人財創出を支援します。

無料会員登録でさらにあなたに特化した情報を手に入れましょう。

①「40の発明原理」の関連記事が掲載されたらメールでお知らせ

②専門家「粕谷 茂」先生に記事内容について直接質問が可能

③他にも数々の特典があります。