ウィスカに関する故障理論と故障メカニズム・対策~ウィスカの歴史を紐解き故障理論に戻って歯止め策を考える~※事前質問を受付ます【会場/WEB選択可】WEB受講の場合のみ,ライブ配信/アーカイブ配信(7日間、何度でも視聴可)
ウィスカ(Whisker)は、鉛フリー化や新素材の採用が進む現代電子機器の信頼性を脅かす“再燃トラブル”です。錫・亜鉛・鉛フリーはんだなど、各種ウィスカの発生原理を歴史的経緯から紐解き、内部応力・拡散・電気化学反応などの理論をもとに故障メカニズムを体系的に解説します。さらに、実際の発生事例や最新の抑制・対策技術を通して、“再発を防ぐための本質的歯止め策”を習得できる特別セミナー!
【会場/WEB選択可】WEB受講の場合のみライブ配信(アーカイブ配信(7日間、何度でも視聴可)付き)
セミナー趣旨
ウィスカは古くから錫めっき、亜鉛めっきで起こることが知られていた。代表的なものは錫めっきであるがこれを抑制するために鉛を添加することもまたよく知られていたことである。経験的には電気めっきでなく、溶融錫めっきにすることや素地金属によってはバリアめっきを施すこと、光沢剤の使用を控えることなどは関連して実施されていた。
部位別にみれば、めっき、コネクタだけでなく、チップ部品でもおこっている。チップ部品では単層の銀-パラジウム電極が電極食われで3層構造になり、電極の消失はおさまったものの副作用としてバリアめっきに銅めっきを使うとウィスカが発生するようになった。コネクタでは接触圧力が作用して接触点にウィスカが起こることはあまり知られていない。これは接触圧力という圧力を外部から供給しているだけに過ぎない。
これらは、ウィスカの発生に関して深い追求がないまま経験則でおえたことがのちの環境負荷対策で鉛が規制対象になると錫めっきからは鉛がなくなり、はんだから鉛がなくなると、副作用としてウィスカが起こってきたものである。よくよく考えると、部位や構造、工法などが違っても、これらには錫と銅の組み合わせ、内部応力の発生といった共通点がある。
ウィスカは決して新しいトラブルではない。これは真因追求をないがしろにしてきた反動が過去への回帰、同じことの繰り返しとして起こってきただけといえる。
本セミナーでは、ではこの歴史を紐解き、整理し、またウィスカに類似の現象に枠を広げ、ウィスカの発生メカニズムを追求して理論を再確認、副作用が起こらないように画像や図解、データをできるだけ取り入れて解説をしていく。
テキストに関して
本セミナーのテキストは、PDFテキストの配布となりますが、製本版のテキストを購入いただくことも可能です。
写真付きで、豊富な事例がリストアップされています。
製本テキスト資料:19,800円(税込)(別途テキスト送付先1件につき、配送料 1,100円(税別) / 1,210円(税込) を頂戴します)
※購入希望の方は、お申込み時に備考欄に「製本テキスト購入希望」と記載してください。
受講対象・レベル
故障解析技術者
試験技術者
設計並びに部品評価技術者
部品検査技術者
クレーム処理に関わる技術者 など
必要な予備知識
電気めっきの理論・技術を知っているとより理解は深まります。
習得できる知識
1)ウィスカの理論と関連知識
2)ウィスカの種類と共通点・相違点
3)ウィスカが発生する条件と対応策 など
セミナープログラム
ウィスカの種類
(1) 真性ウィスカ・非真性ウィスカ・非金属あるいは類似の現象
(2) 内部応力ウィスカ・外部応力ウィスカ
(3) めっき・コネクタ・はんだ・チップ部品・金属ペースト・接着等の部位別傾向
(4) 電気めっき・溶融めっきの工法別傾向
(5) 追従性よいめっき・平坦性よいめっきの工法別傾向
(6) めっきのメカニズム
(7) 融点と再結晶化温度から見た傾向
(8) 拡散係数から見た傾向
(9) 熱処理の有無から見た傾向
2. 理論
(1) めっき酸化膜欠陥説
(2) 合金体積膨張説
(3) 腐食体積膨張説
(4) エレクトロマイグレーション説
(5) 接触圧力説
(6) 熱応力説
3. 歴史
(1) 電気めっきとウィスカに関する変化点
(2) はんだとウィスカに関する変化点
(3) チップ部品の電極形成に関する変化点
(4) 接着封止に関する変化点
4. 錫めっきウィスカ
(1) 故障モード・発生状況傾向
(2) 故障メカニズム
(3) 故障条件
(4) 対策
5. 亜鉛めっきウィスカ
(1) 故障モード・発生状況傾向
(2)故障メカニズム
(3)故障条件
(4)対策
6. 鉛フリーはんだウィスカ
(1)故障モード・発生状況傾向
(2)故障メカニズム
(3)故障条件
(4)対策
7. コネクタ接触点ウィスカ
(1) 故障モード・発生状況傾向
(2) 故障メカニズム
(3) 故障条件
(4) 対策
8. 硫化銀ウィスカ・毛髪銀
(1) 故障モード・発生状況傾向
(2) 硫化銀・硫化銀ウィスカ・毛髪銀
9. プラスチックウィスカ
(1)故障モード・発生状況傾向
(2)非晶質樹脂と接着剤硬化剤による環境応力劣化
質疑・応答
セミナー講師
技術コンサルタント 伊藤 千秋 先生
オムロン株式会社 品質保証部長,部品技術部長等歴任後現職
制御機構部品の品質保証を15年,自動車電装部品の品質保証23年経験,品質・信頼性一筋のプロフェッショナル
この間,日本科学技術連盟 信頼性開発技術研究会 委員長などを歴任
セミナー受講料
(消費税率10%込)1名:49,500円 同一セミナー同一企業同時複数人数申込みの場合 1名:44,000円
テキスト:PDF資料(受講料に含む)
受講料
49,500円(税込)/人
関連セミナー
もっと見る関連教材
もっと見る関連記事
もっと見る-
なぜネオジム磁石に重希土類(Dy/Tb)が必要か? 資源リスクを克服する「粒界拡散技術」を解説
【目次】 現代社会の高度な機能は、高効率なエネルギー変換技術によって支えられており、その中核にあるのが「最強の永久磁石」と称されるネ... -
驚異の多孔質構造が変える社会環境、MOF(金属有機構造体)の構造・機能、その市場とは
【目次】 現代社会は、地球温暖化対策のための二酸化炭素(CO₂)回収、クリーンエネルギーとしての水素貯蔵、医薬品の高効率な運搬、そして環... -
高精度・高効率を実現する粉末冶金とは?3Dプリンティングとの関係、技術進化と応用を解説
【目次】 現代の製造業が直面する課題、すなわち「高性能化」「軽量化」「コストダウン」を同時に解決する鍵として、粉末冶金(Powder... -
常識を覆す新素材、光・音・熱を操るメタマテリアル革命とは?
【この記事のポイント】 メタマテリアルは、自然界にはない性質を持つように人工的に「構造」を設計された物質。 光、音、熱などの波を自在に操り、「...





