
ポリ乳酸の成形加工時に役立つ結晶化制御と添加剤の知識
冷却・固化不良、寸法安定性不良、成形サイクルの遅延、室温放置下での形状や物性の経時変化、耐熱性や耐衝撃性などでお困りではありませんか?
受講可能な形式:【Live配信(アーカイブ配信付)】のみ
日時
【Live配信】2025年11月14日(金) 10:00~17:00
【アーカイブ配信】視聴期間:11月17日(月)PM~21日(金)
■アーカイブ(見逃し)配信付き
※アーカイブは原則として編集は行いません
※視聴準備が整い次第、担当から視聴開始のメールご連絡をいたします。
(開催終了後にマイページでご案内するZoomの録画視聴用リンクからご視聴いただきます)
セミナー趣旨
本セミナーでは、ポリ乳酸の耐熱性などの向上に必須の結晶化速度の解析手法やポリ乳酸固有の技術的課題解決のための各種添加剤の選択・配合設計指針を成形加工分野毎に分かり易く解説する。これまで産学両分野で約30年間、ポリ乳酸の基礎・応用研究から技術・事業開発までを世界に先駆け成し遂げた講師による渾身のセミナーである。
習得できる知識
・プラスチックの成形加工性の物理的意味と各種成形加工法の特徴
・結晶性高分子の結晶化理論、結晶化挙動の解析と結晶化速度パラメータの算出法
・ポリ乳酸の耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性等を向上させる添加剤の選択・配合設計指針
・ポリ乳酸の成形加工分野別の最新製品・市場開発動向
セミナープログラム
1.1 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
1)石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
2) 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環(炭素循環)へのリンク
3) 生分解性バイオマスプラへのパラダイムシフト
1.2 ポリ乳酸の基本特性
1) 熱可塑性脂肪族ポリエステル…結晶性高分子(Tm:130~190℃、Tg:58℃)
2) 安全性、食品衛生性、抗菌・防カビ性
3) 環境低負荷特性…LCAによる客観的・定量的評価
4) 生分解性バイオマスプラ
①生分解機構…非酵素分解(加水分解)型
・2段階2様式の特異的な生分解機構…生分解性と耐久性の両立
・分解(開始・速度)制御機構内包…短期使用から長期耐久性構造材料まで
②自然環境(土壌、海水・淡水)下や生体内での完全生分解性
③使用後の再資源化(リサイクル)
・バイオリサイクル…堆肥化(好気性下)又は生ごみ発電(嫌気性下)
・ケミカルリサイクル…熱分解による原料ラクチドへの還元
・マテリアルリサイクル
2.熱可塑性プラスチック(特に結晶性高分子)の成形加工性
2.1 成形加工の物理的意味…溶融体の室温下への冷却固化・賦形過程におけるガラス化又は結晶化
2.2 成形加工法と支配因子
1) 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力⇔分子量、架橋密度依存性
① 高粘度…押出成形(フィルム、シート)、発泡成形、ダイレクト・ブロー成形
② 中粘度…繊維、射出成形
③ 低粘度…不織布(スパンボンド、メルトブローン)、薄肉射出成形
2) 冷却固化過程…Tg又は結晶化速度⇔冷却速度、変形速度依存性
① 室温<Tgの場合…室温下への冷却だけでガラス化 ⇒ Tg
② Tg<室温の場合…室温下への冷却過程で結晶化が必須 ⇒ 結晶化速度
2.3 添加剤
1) 溶融押出過程…溶融粘度、溶融張力調整剤
① 増粘剤…エポキシ基含有反応性改質剤、架橋剤(有機過酸化物)
② 流動性改良剤、粘度低減剤…ポリグリセリン脂肪酸エステル(界面活性剤)
③ 分散安定剤
2) 冷却固化過程…結晶化促進剤(第3章で詳述)、微細構造形成調整剤
① 不透明耐熱化…分散型造核剤、結晶化速度促進剤
② 透明耐熱化…溶解型造核剤、結晶化速度促進剤
③ 寸法安定性(低熱収縮率、経時変化防止)…結晶化促進剤
④ 耐衝撃性…可塑剤、耐衝撃性向上剤
3.成形加工工程における結晶化挙動と制御技術
3.1 成形加工工程における結晶化の分類
1) Melt Crystallization(メルトから室温下への降温冷却過程における結晶化)
…押出成形、射出成形、ダイレクト・ブロー成形
2) Cold Crystallization(室温からの加熱昇温過程における結晶化)
…真空・圧空成形、発泡成形、インジェクション・ブロー成形
3.2 等温結晶化挙動
1) 結晶化速度式G=G0exp(-ED/RT-KTm/RT(Tm-T) の物理的意味
① 第一項:セグメントの拡散過程…温度と正の相関
② 第二項:核形成過程…温度と負の相関
2) 最も結晶化速度の速い結晶化温度Tc(Tg < Tc <Tm)の検出法
3) 結晶化速度パラメータ…ts, t1/2, te, kの算出法
3.3 非等温結晶化…冷却速度が結晶化温度や結晶化度に及ぼす影響
3.4 結晶化速度を支配する因子…一次構造・共重合比、分子量、結晶化促進剤
3.5 結晶化促進剤の分類
1)造核剤(結晶核形成促進)①固体分散型 ②溶解型(透明耐熱性)③架橋剤
2)結晶成長促進剤
3)マルチ機能改質剤…結晶核形成と結晶成長促進
3.6 結晶化速度が遅い場合に顕在化する問題点
1) 冷却・固化未達…Tg<室温の場合、ゴム状態のまま
2) 耐熱性不足:低い熱変形温度…結晶不在
3) 力学的特性不良…低強度・弾性率
4) 寸法安定性不良…高い熱収縮率
5) 成形サイクル…遅延
6) 二次結晶化…室温放置下での経時変化(形状、物性)
4.ポリ乳酸の成形加工分野別の製品・市場開発動向
4.1 押出成形…繊維・不織布、フィルム・シート
4.2 射出成形、薄肉射出成形
4.3 サーモフォーミング…熱盤成形、真空・圧空成形
4.4 発泡成形…押出発泡、ビーズ発泡
4.5 ブロー成形…ダイレクト・ブロー、インジェクション・ブロー
□質疑応答□
セミナー講師
高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。繊維学会功績賞、日経BP技術賞、その他を受賞。
「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」(CMCリサーチ)「生分解性プラスチックの素材・技術開発―海洋プラスチック汚染問題を見据えて―」(NTS)、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」(シーエムシー出版)、「生分解性ポリマーのはなし」(日刊工業新聞社)、その他多数
セミナー受講料
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定価:本体55,000円+税5,500円
E-Mail案内登録価格:本体52,200円+税5,220円
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