音響メタマテリアルの基礎と最新材料・シート製品・遮音構造の開発事例と応用事例

★音響メタマテリアルの基礎理論から、Locally resonant型などの最新事例を紹介!
★音響メタマテリアルの遮音材料への応用の考え方やシート製品への展開、
★音響メタマテリアル構想の考え方や解析事例とは?

セミナープログラム

第1講 音響メタマテリアルの基礎と課題・展望と応用事例

【13:30-14:45】

大阪公立大学 工学研究科 教授 森 浩一 氏

【講演趣旨】
騒音対策は、多様な技術分野において、重要な技術的課題である。新しい「音響メタマテリアル」という原理を応用することで、従来の材料では実現不可能だったような高い遮音性能を得ることができると期待されている。メタマテリアルの研究開発は、2000年頃から開始され、最近では、自動車メーカーなどで実用化研究が進められている。しかし、その構造設計は自由度が高く、確立した設計指針が不明であるのが現状である。
本講演では、音響メタマテリアルの基礎理論と、近年の研究開発の状況を概観する。

【講演プログラム】

  1. メタマテリアルとは何か?
  2. 騒音遮蔽の基礎理論
  3. 音響メタマテリアルの基礎理論
    1. 一次元モデル
    2. 二次元モデル
  4. 音響メタマテリアルの研究事例

【質疑応答】


第2講 Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音材料への適用

【14:55-16:10】

東京工業大学 物質理工学院 材料系 助教 博士(工学) 赤坂 修一 氏

【講演キーワード】
メタマテリアル、音響メタマテリアル、遮音材料、Locally resonant型

【講演趣旨】
メタマテリアルは、電磁波や音波などの対象とする波動よりも小さな周期で構造体を配列した材料であり、波動の伝播挙動を制御することで、自然界で見られない、負の誘電率、屈折率などの特異な物理現象を示す。音響メタマテリアルは、文字通り、音波を対象としたメタマテリアルであり、共振・共鳴を生じる構造体が音波より短い周期で配列している。その構造体の構成・形状等により、Locally resonant(ばねーマス)型、ヘルムホルツレゾネータ型などに分類され、現在も新たな構造が提案されている。
本講演では、音響メタマテリアルと遮音材料の基礎、音響メタマテリアルを遮音材料に適用する考え方を解説するとともに、構造体としてバネ-マス系を用いた、Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音特性について紹介する。

【講演のポイント】
メタマテリアルや音波を対象とした音響メタマテリアルの概要を説明するとともに、音響メタマテリアルの遮音材料への適用の考え方や、講演者が行っているLocally resonant型音響メタマテリアルの遮音特性について解説する。

【習得できる知識】
・メタマテアリル、音響メタマテリアルの概要
・音響メタマテリアルの遮音材料への適用の考え方
・Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音特性

【講演プログラム】

  1. 音響メタマテリアルとは
    1. メタマテリアルとは
    2. 音波の伝播挙動
    3. 音響メタマテリアルの遮音材料への応用の考え方
    4. 音響メタマテリアルの分類と研究動向
    5. 負の有効質量密度、体積弾性率
  2. 材料の遮音特性
    1. 遮音特性の評価法
    2. 単板の遮音特性
    3. 質量則
    4. コインシデンス効果
    5. 二重壁構造の遮音特性
    6. 積層構造の遮音特性
  3. Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音特性
    1. Locally resonant(LR)型音響メタマテリアル
    2. Stubの振動特性
    3. LR型音響メタマテリアルの振動抑制・遮音特性

【質疑応答】


第3講 音響メタマテリアルシートの開発と遮音・制振材への応用展開

【16:15-16:55】

三菱ケミカル(株) Science & Innovation Center, Polymer Laboratory  博士(工学)中山 真成 氏

【講演キーワード】
音響メタマテリアル、遮音・制振技術

【講演趣旨】
近年、従来の質量則を凌駕する音響メタマテリアルが注目されているが、多くの場合、共鳴・共振を生じる構造体が多数集積した複雑な構造を有するため量産、実装、コストの面で実用性に課題がある。我々は、金属錘を内包した樹脂突起をマス-バネ共振器として設計し、それらを薄い樹脂シートを介して連結することで実用性の高いシート材を開発した。また、同様に樹脂のみからなる軽量で透明なシートの開発にも成功している。本講演では、これら2種類の音響メタマテリアルシートの設計、機能、および遮音・制振材としての応用について紹介する。

【講演のポイント】
音響メタマテリアルの実用化に向けた開発事例を紹介し、音響メタマテリアル技術を利用した遮音・制振材の具体的な実装方法や機能、並びに開発過程で必要な評価・解析方法等について解説する。

【習得できる知識】
音響メタマテリアルの開発や応用に必要な技術や知識について具体例を通して全体像を把握できる

【講演プログラム】

  1. 音響メタマテリアルシートの紹介
  2. 音響メタマテリアルシートの特長、機能、実装方法
  3. 音響メタマテリアルシートの応用
    1. 金属錘のあるシートの遮音・制振材への応用
    2. 樹脂のみからなるシートの遮音材への応用

【質疑応答】


第4講 空気は通して音を防ぐ音響メタマテリアル遮音構造の開発

【17:00-18:00】

富士フイルム(株) 解析技術センター 主任研究員 白田 真也 氏

【講演のキーワード】
音響メタマテリアル、低周波防音

【講演趣旨】
軽量かつ小型の構造で騒音を防ぐことは様々な分野で求められるが、通常の遮音材は質量則に従うため、低周波音ほど重く大きな構造が必要となる課題がある。近年、膜型音響メタマテリアル構造が数100 Hzの低周波数帯において質量則を大きく超える遮音効果を示すことが報告され、軽量小型の遮音構造として注目を集めている。
我々は、貫通孔をあけた薄い振動膜を単位構造とする音響メタマテリアルを、新規低周波騒音制御デバイスとして提案した。空気を通す貫通孔を形成したにも関わらず、低周波域において孔の無い構造より遮音性能が向上し、質量則を超える遮音性能を示す。発表では遮音特性の制御方法と、遮音の物理的なメカニズムも説明する。

【講演のポイント】
低周波音の防音と空気の流通を両立した特異な新規音響メタマテリアル構造を、物理メカニズムから解説する。

【習得できる知識】
膜型の音響メタマテリアルによる低周波遮音に関する知識

【講演プログラム】

  1. メタマテリアルの定義、光学分野と音響分野での比較
  2. 膜型音響メタマテリアルによる低周波遮音構造
  3. 貫通孔のある膜型音響メタマテリアル (Hole-Membrane-type Acoustic Metamaterials, HMAMs) の低周波遮音性能とメカニズム
  4. 近接場領域での音響の振る舞い
  5. その他、企業におけるメタマテリアル研究開発の具体的事例

【質疑応答】

セミナー講師

第1部 大阪公立大学 工学研究科 教授 森 浩一 氏
【経歴】
1999年 東京大学 工学部 航空宇宙工学科 卒業
2001年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 修士課程 修了
2004年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 博士課程 修了
2004年 東北大学 流体科学研究所 助手
2006年 名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 助手
2007年 名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 講師
2012年 名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 准教授
2021年 大阪府立大学 航空宇宙工学分野 航空宇宙推進工学研究グループ 教授
 現在に至る

第2部 東京工業大学 物質理工学院 材料系 助教 博士(工学) 赤坂 修一 氏
【著作】
1.「騒音・振動の対策と防音・防振材料の適用」、第10節 制振材料・防振材料の設計、(株)R&D支援センター(2017.7.31)
2.「遮音・吸音材料の開発、評価と騒音低減技術」、第3章・第3節 ナノファイバー系吸音材料の特性、株式会社 技術情報協会(2018.7.31)
3.「ナノファイバーの製造・加工技術とその応用事例」、第15章 第1節 ナノファイバーの吸音材料としての応用、株式会社 技術情報協会(2019.7.31)
4.「エレクトロスプレー/スピニング法とその応用―材料合成・成形・加工技術―」、第Ⅱ編 応用 第19章 吸音材料、株式会社シーエムシー出版(2021.3.1)
5.「メタマテリアルの設計、作製と新材料、デバイス開発への応用」、第8章 第4節 Locally resonant型音響メタマテリアルの遮音材料への適用、株式会社 技術情報協会(2022.3.31)
ほか
【受賞】
1.第18回CERI最優秀発表論文賞(日本ゴム協会、2016年5月)
2.第8回ブリヂストンソフトマテリアルフロンティア賞奨励賞(日本ゴム協会、2017年5月)
3.第30回ポリマー材料フォーラム広報委員会パブリシティ賞 (高分子学会,2021年10月)
ほか
【経歴】
1997年~1999年 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機材料工学専攻 修士課程
1999年~2002年 横浜ゴム株式会社
2002年~2005年 東京工業大学大学院 理工学研究科 物質科学専攻 博士後期課程
2005年~2008年 東京工業大学大学院 理工学研究科 研究員
2008年~2016年 東京工業大学大学院 理工学研究科 物質科学専攻 助教
2016年~現在 東京工業大学 物質理工学院 材料系 助教

第3部 三菱ケミカル(株) Science & Innovation Center, Polymer Laboratory  博士(工学)中山 真成 氏
【著作】
※講演テーマに関する著作
1. 中山真成, 赤坂修一, 古賀尚悟, 「金属×樹脂による音響メタマテリアルシート<静かさと軽さを両立した遮音・制振部材Reso-Core™(レゾコア)>」, 月刊プラスチックス(日本工業出版), 2022年7月号 p59-62.
2. 中山真成, 「音響メタマテリアル技術を応用した軽量・薄型・高性能な遮音・制振シートの開発」, 月刊マテリアルステージ(技術情報協会), 2022年6月号 p17-23.
3. Masanari Nakayama, Takeshi Matsuoka, Yuya Saito, Naoyuki Uchida, Kazuma Inoue, Hiroshi Mitani, Shuichi Akasaka, Shogo Koga, “A practically designed acoustic metamaterial sheet with two-dimensional connection of local resonators for sound insulation applications”, J. Appl. Phys., 129, 105106, (2021)
【受賞】
※講演テーマに関する受賞
1.  2021年度高分子研究奨励賞 (高分子学会, 2022年3月)
2.  応用物理学会講演奨励賞(2021秋季) (応用物理学会, 2021年11月)
3.  第30回ポリマー材料フォーラム広報委員会パブリシティ賞 (高分子学会,2021年10月)
【経歴】
2014年3月 東京大学工学部化学生命工学科卒業
2016年3月 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻修士課程修了
2018年6月-8月 Visiting Student, Nanyang Technological University
2019年3月 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻博士課程修了
2019年3月 東京大学リーディング大学院統合物質科学リーダー養成プログラム(MERIT) 修了
2019年4月 三菱ケミカル株式会社 入社

第4部 富士フイルム(株) 解析技術センター 主任研究員 白田 真也 氏
【著作】
「貫通孔を有する膜を用いた音響メタマテリアルによる低周波域の防音貫通孔を有する膜を用いた音響メタマテリアルによる低周波域の防音」 騒音制御: Vol.46, No.4 (2022) pp.171.
【受賞】
2013年 第27回 独創性を拓く先端技術大賞 産経新聞社賞
「プラズモン共鳴の制御による遮熱材料の開発と量産化」
【経歴】
・2008: 東京大学工学系研究科物理工学専攻修了
・同年、富士フイルム株式会社に入社。光メタマテリアル関係の研究開発と商品化を行った。
・2012-2014: 英国Southampton大学Nanophotonics & Metamaterials研究室客員研究員 (N Zheludev教授)。光と熱を変換するメタマテリアルの研究を行った。
・2014-: 富士フイルム株式会社において、音響メタマテリアルの研究開発に従事。

セミナー受講料

【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む) 
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。


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開催日時


13:30

受講料

55,000円(税込)/人

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開催場所

全国

主催者

キーワード

機械技術一般

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