研究企画が知っておかなければならないR&Dテーマ評価の基礎知識

~『木』(代表的評価法)と『森』(全体体系)を学ぶ~

セミナー趣旨

 企業の研究開発活動は、社内で「相当の経営資源を使いながら、期待された成果を出していない」と非難され、残念ながら現実にもそうであることは多いものです。この問題の根源的・共通的な原因に、テーマの評価・選択が適正に行われていないことがあります。多くの企業においてテーマの評価・選択は、担当する研究者の熱意の強さや評価する上司の属人的な思いや価値観で決められています。しかし、このような偏った視点に基づく評価は大変危険です。そこには正しい評価の仕組みが必要です。
 本セミナーにおいては、『木』(個別評価法)と『森』(全体評価体系)の両方学んでいただきます。最初に『木』の議論として、代表的な研究開発テーマの評価法について、いくつかの演習を含め、学んでいただきます。この中には、代表的な財務指標での評価法であるディスカウント・キャッシュフロー法の明確な分かり易い説明を含みます。後半では『森』の議論として、これらの研究開発テーマ評価方法を、ステージゲート・プロセスを中核のフレームワークとして、どう全体の研究開発テーマ 評価体系の中に組み込んでいくかを、それぞれの評価法の特徴とメリット・デメリットを踏まえた上で議論をしていきます。
 したがって、本セミナーは個別の評価法を学ぶだけではなく、今後皆様が企業に戻り全体の研究開発テーマの評価体系を考える上で大変役立つ知識を習得していただきます。

受講対象・レベル

研究開発企画および研究開発に実際に携わっている以下を含めた方々を対象とします。
 ・研究開発企画・技術企画部門に新たに配属になったので、テーマ評価の方法を学びたい管理者
 ・きちんとしたテーマ評価を行う仕組み構築の指示を受けた研究開発企画・技術企画部門の管理者
 ・自社の研究開発テーママネジメントの仕組みに危機意識を持つ経営幹部 など

セミナープログラム

1.研究開発テーマ・マネジメントを取り巻く環境
 1)21世紀の日本企業が置かれている現実
  -アジアの新興国企業の追撃(化粧品、航空機の事例)と彼らの戦略「日本に学び、日本を抜く」
  -アジアの新興国企業の脅威:「Low Hanging Fruit (低い所にぶら下がっているおいしい果実)」
  -アジアの新興国企業の更なる脅威:「High Hanging Fruitでも台頭」
  -革新的なテーマの創出・評価の必要性
 2)日本企業の研究開発マネジメントの現状
  -研究開発テーマを創出・評価する仕組みに目が向けられてこなかった
  -対象テーマは顧客、業界や競合が提示してくれた
  -革新的テーマ(High hanging fruit)について革新的テーマは不確実性高く、そもそも評価できないというあきらめ
  -そのため、熱意を過度に重視
  -「Garbage in, Garbage out.(どんなに研究開発者が強い熱意をもっていても、テーマが悪ければ悪い成果しか生まれない)」
 3)日本企業の研究開発テーマ・マネジメントに必要なこと

2.日本企業の研究開発テーマの適性の見極めのマネジメントの3つの代表的問題
 1)評価者の属人的な評価尺度(化学会社の例)
 2)研究者の熱意を過度に重視する(無線機器メーカー・食品メーカーの例)
 3)不確実性を軽視した評価(オフィス機器メーカーの例)

3.『木』の議論:様々な研究開発テーマ評価法:具体的内容、特徴、良い点・悪い点
<非財務法>
 1)直感法(スティーブ・ジョブズ、井深大、シャープの例)
 2)対話法(化学会社の例)
 3)スコア法
    a. BMO(Bruce Merrifield & Ohe)法
    b. リスク-リターン法
    c. STAR(Strategic Technology Assessment Review)法
    d. 演習1:スコア法演習(「AテーマーBテーマ、どちらのテーマを選ぶべきか?」)
<財務法>
 4)ディスカウント・キャッシュフロー法
    a. NPV(正味現在価値)法
    b. IRR(内部収益率)法
    c. 演習1~5(NPV・IRRの算定と意思決定)
  ディスカウント・キャッシュフロー法を使う上での注意点・前提
 5)回収期間法
 6)ECV(期待経済価値)法(演習6)

4.『森』の議論(1):良い研究開発テーマ評価システムの要件
 1)個別の研究開発テーマ評価法の限界:「一つの評価法では、正しい評価はできない!」
 2)研究開発テーマ評価の基本フレームワーク:不確実性・複雑性を所与とした評価システム
 3)良い研究開発テーマ評価システムの要件
    a. 不確実性・複雑性に対処しながらも分かり易い評価体系
    b. 評価者・担当者の間で納得感・信頼感がある
    c. 事業・製品で成功するための重要なポイントをきっちりおさえている
    d. 革新的なテーマを正しく判断し意思決定ができる:多数決は機能しない

5.『森』の議論(2):全体評価体系としてのステージゲート・プロセス
 1) ステージゲート・プロセスとは?
  -良い研究開発テーマ評価システムの要件に対処したプロセス
  -ステージゲート・プロセスは方法論ではない!ステージゲート法という命名は誤り!
  -皆さんの会社のプロセスを含め、全てのプロセスは、そもそもゲートとステージのあるプロセスになっている!
 2) ステージゲート・プロセスの11の工夫
 3) ゲートでの評価体系・評価項目例
 4) ゲートでの正しい意思決定法

6.最後に

【質疑応答】


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セミナー講師

ベクター・コンサルティング(株) 代表取締役社長 浪江 一公 氏
 ※元 日本工業大学大学院技術経営研究科(MOT) 教授

【略歴】
 大手電機メーカー、アーサー・D・リトル(ジャパン)㈱、等を経て、現在ベクター・コンサルティング(株) 代表取締役社長。
 技術マネジメントおよび経営に関するコンサルティングにおいて30年の経験を有す。
 日本工業大学大学院技術経営研究科(MOT)教授を歴任。
 北海道大学工学部、米国コーネル大学経営学大学院(MBA)卒。

【著書】
 「プロフィット・ピラミッド超高収益を実現する14のシンプルな法則」(ダイヤモンド社)
 (韓国語及び中国語でも出版)
 「高収益革命のデザイン」(ダイヤモンド社)
 「製造業の高収益革命」(同上)
 「全図解 戦略参謀マップ」(同上)

【訳書】
 「ステージゲート法―製造業のためのイノベーション・マネジメント」(英治出版)
 「エマソン 妥協なき経営」(ダイヤモンド社)
 「会社の不文律」(同上)

その他、技術マネジメント、事業戦略、ビジネスモデル等のテーマで雑誌への寄稿多数。

セミナー受講料

49,500円(税込、資料付)
■ セミナー主催者からの会員登録をしていただいた場合、1名で申込の場合44,000円、
  2名同時申込の場合計49,500円(2人目無料:1名あたり24,750円)で受講できます。
(セミナーのお申し込みと同時に会員登録をさせていただきますので、
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講師のプロフィール

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

浪江 一公

専門家専門家A なみえ かずきみ / 東京都 / ベクター・コンサルティング株式会社

ベクター・コンサルティングは、Bridging technologies and markets toward creating innovationsを目指し、クライエント企業様に技術と市場との間の橋渡しによりイノベーションの...続きを読む

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10:30

受講料

49,500円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

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開催場所

全国

主催者

キーワード

技術マネジメント総合   BMO法   ステージゲート法

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