経営に資する内部監査のスタンダード

理論と実務で説き明かす!
企業組織に貢献する監査業務と監査報告事項の標準化

セミナー趣旨

 近年、企業の不祥事対策や経営管理への貢献と言う点から内部監査への期待が高まる中で、従来からの準拠性中心の監査が見直され、監査の指摘や改善提案への取組みに関心が高まっています。
これはルール違反のダメ出しの監査から内部統制の核心に迫る監査の高度化の道です。もう一つの監査の高度化の方向は業務監査に止まらず企業のガバナンスやリスクマネジメントあるいは戦略や企業風土までカバーして経営を支援する経営監査への取り組みです。
一方、内部監査の価値は、成果物としての監査報告書でどれほど経営に価値のある指摘と改善提案を提示できるかで決まります。こうした内部監査の付加価値は、会計士監査のような外部監査に比べると企業のガバナンス体制や経営層の目指す方向性によって大きく左右されるため、共通の監査基準への準拠というよりも、IIA(内部監査人協会)などの欧米の基準や指針を参考にしながらも自社の経営管理や業務慣行の実態に即した監査業務や成果物としての監査報告書の標準化が重要です。
こうした各社の取り組みを通してたどり着くのが経営に資する内部監査であって、それを具体化するためのベースとなる監査報告書の構成や指摘と改善提案および監査意見の書き方及び経営監査の進め方のスタンダードを理論的にかつ事例によってわかりやすく提供するのがこのセミナーのねらいです。
その中でもとりわけ重要な課題として、監査体制の制度設計のあり方(第1章)、監査報告書の全体構成と監査意見の書き方および内部監査人の心構え(第2章)、監査の指摘・改善提案の標準化(第3章)、対応が急がれる経営監査への取り組み(第4章)を中心に解説し、最後に監査全般のまとめと日本独自の三様監査を踏まえた留意点を説明いたします。 

受講対象・レベル

経営に資する内部監査の向上に向けて、内部監査の実務及び報告書の改善・高度化を目指されている内部監査の管理者・実務家の方々

セミナープログラム

第1部: 経営に資する監査体制をデザインする検討項目
欧米企業とは監査制度やガバナンス体制が異なる日本企業にふさわしい内部監査の機能と制度設計の検討

1.企業の組織体制と経営の意向を踏まえた内部監査機能を設計するための検討事項
【講師より】企業ガバナンス上の内部監査の位置づけと法定監とは一線を画する内部監査の経営志向を概観して、監査体制を整備する際の検討項目を解説します。これで自社にふさわしい内部監査の役割と監査報告のあり方を意識していただきます。

2.経営に対する説明責任を果たすリスク・ベース監査の仕組み作り
【講師より】内部監査におけるリスク評価から年次計画の策定、個別監査の実施の流れの中で、意外とできていないリスクベースの仕組みづくりと経営に対する内部監査の責任解除のプロセスについて実務対応を紹介します。   


第2部: 監査報告書の全体構成と経営志向の内部監査人の心得

1.内部監査報告書の全体構成と記載項目の標準様式と実務論点
【講師より】参考書式の確認というよりも、それが監査のプローチの違いにどうつながるかという視点が大事です。

2.監査目的と状況に合わせて書き分ける積極的ないし消極的アシュアランスの監査意見の標準モデル
【講師より】知らないところでアシュアランスの基本ルールを踏み外していないか、標準的な文言と考え方を習得してください。

3.上空30メートルから俯瞰する内部監査プロフェッショナルの視点
【講師より】監査のプロにふさわしい監査報告書における問題の取り上げ方や指摘や提案を書く際の心構え、並びに被監査部署と監査人との責任分担や協調の在り方を意識した現場との付き合い方についてお話します。


第3部: 内部統制の核心にせまる監査の指摘事項と改善提案の書き方

1.ダメ出しに終わらない、監査のプロが捉えるコントロールの不全を押さえる3つの改善提案
【講師より】ルール違反のダメ出しに終始しがちな実効性の乏しい監査を見直して、内部統制に軸足を据えて組織に付加価値を与える改善提案を洗い出す視点や切り口と報告書上の記載項目を具体的に解説します。この構造をはっきりと認識することでメタボな文章をスリム化したり説明不足を補うための内部監査のプロとしての目的意識と方向感覚が生まれます。

2.指摘事項、リスク記載および改善提案の記載内容の事例検討
【講師より】これらの記載項目について記載方針となる考え方を事例(良い例、悪い例)を見ながら理解を深めます。

3.ケーススタディを通して実感する指摘・改善提案をめぐる実務論点と注意したい用語や言葉遣い
【講師より】さまざまな事例を通して指摘や提案のパターンを理解し、指摘の内容とサンプリングやリスク・アッペタイトとの関連性等の実務論点ならびに監査報告にふさわしくない非論理的な言い回しの改善事例などを紹介します。


第4部: 対応が急がれる経営監査への取り組み
ガバナンス・リスクマネジメント、戦略および企業風土への監査対応
【講師より】ガバナンスやリスクマネジメントを含んだいわゆる経営監査は、経営にインパクトが大きく貢献度の高い重要分野ですが、この領域の指摘や改善提案では業務監査とは違ったアプローチが必要となります。こうした経営監査対応のさわり部分をIIAの指針および良い例、悪い例を交えて解説し、企業風土への対応も含めて実践的なあり方を紹介いたします。


第5部: 終わりに 監査報告から振返る監査アプローチと三様監査への対応
【講師より】監査報告書を改善するには、本来、その成果物をもたらす監査アプローチを計画・実施の段階から考えることが必要です。
この視点から監査アプローチの合理化モデルの例と日本独自の三様監査への対応等を簡単にポイント解説いたします。

≪質疑応答&意見交換≫ 個別のご質問・ご相談にも対応いただきます。

※内容は若干変更する場合もあります。予めご承知おき願います

セミナー講師

藤井範彰公認会計士事務所 公認会計士・公認内部監査人・米国公認会計士(現在inactive) 藤井範彰 氏

30余年の監査法人勤務の内、約20年は会計監査に従事する中、E&Yから移ったアンダーセンでは監査アプローチの研修・普及活動や公認会計士協会本部の委員会活動(国際委員会副委員長、会計制度委員会副委員長、監査基準委員会委員他)にも専念。続く10余年は、内部監査、内部統制、リスクマネジメント、不正調査に特化し、アンダーセン消滅時に朝日監査法人代表社員を辞してPwC(中央青山監査法人)に移り代表社員も務めるが、その後J-SOXの制度化を前に招聘に応じて復帰した新日本監査法人(E&Y)で内部統制支援本部統括部長、ビジネスリスクサービス部長、FIDS(不正対策・係争サポート)部長等を歴任。2012年、シニアパートナーを辞任し、ボルボ・グループで日本の内部監査統括を務め、同グループ会社UDトラックス㈱の監査役を7年間務めた後、現在は、内部監査や不正対応・ガバナンス関連の講演や研修・執筆・アドバイザリー業務に従事。
最近の著書『内部監査のプロが書く監査報告書の指摘事項と改善提案』(同文舘出版2016年11月)で2017年度日本内部監査協会青木賞受賞。2019年9月同書第2版出版。他にも著書「経営者と会社を動かす内部監査の課題解決法20」税務経理協会2012年、論文「経営に資する内部監査のリスク対応~理論と実務で解き明かすリスクベースの監査対応」日本内部監査協会月刊監査研究2020年7月号、「内部監査のアシュアランスの本質論~ゼロベースで考える内部監査の監査意見の書き方」同誌2018年7月等多数。

セミナー受講料

会員 41,800円(本体 38,000円)
一般 46,200円(本体 42,000円)

※会員価格適用については、企業研究会会員が対象となります。
(所属先の会員登録有無がわからない場合、
お申込みの際に備考欄へ「会員登録確認希望」とご記入ください。)
※最少催行人数に満たない場合には、開催を中止させて頂く場合がございます。
※お申込後のキャンセルは原則としてお受けしかねます。
お申込者がご出席いただけない際は、代理の方のご出席をお願い申し上げます。


※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:00

受講料

46,200円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込

開催場所

東京都

MAP

【千代田区】企業研究会セミナールーム

【地下鉄】麹町駅・赤坂見附駅 【JR・地下鉄】四ツ谷駅

主催者

キーワード

企業法務   財務マネジメント   コンプライアンス

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