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QUESTION 質問No.591

SN比の選び方

設計・開発品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
航空機の最適設計を品質工学の観点から行おうとしています.

季節により気象条件が異なる中,航空機にあるミッションをシミュレーション上で行わせます.結果は成功or失敗の1or0の形式です.
設計したいのは機体の形状パラメータ(翼面積や,重量など)で,直交表に従い割り付けたパラメータの組み合わせに対応する機体で順番にシミュレーションを行います.シミュレーションは,5年間のそれぞれの日の気象データ上で行います.各月ごとに成功回数をカウントします.
当然,季節によって気象条件に偏りがあるので,成功回数が多い月,少ない月が存在しますが,私はこれについて,「どの月でも同等程度の回数で,かつ多い回数で成功する機体形状」を設計することが目的です.

そこでまず,機体形状パラメータのうち,どのパラメータが成功回数を大きく左右するのか,しないのかということをSN比を計算することで見出そうとしています.
しかし,この場合どのSN比の算出方式を採用するのが適切なのかわかりません.

現在私は3通りのSN比の算出方式を考えています.
①各月の成功回数を望目特性(目標値は"毎日"成功)とし,信号因子(入力)が定義できない静特性として扱う(望大特性は好ましくないとここで見たhttps://www.monodukuri.com/gihou/article/985)→最近のタグチメソッドを応用した設計は動特性のものが多く,静特性による判断は古い?
②①の方法で,各月の日数に対する成功日数の割合で評価し,望目特性を100%とし,さらにこれをω変換する.
③「何月に行うか」ということを信号因子(入力)とし(例えば,2πを月番号で割った無次元角度),これに対し動特性のSN比を求める.→しかし,結果は当然周期的なものになるので,1月→12月の並びでは比例式のSN比が上手く求まるのかわからない.(最悪の月→最良の月と並び変えればよい?)

どれが適切な手法か,またはほかに適切な手法があれば教えて頂きたいです.

品質工学の勉強を始めたばかりで,まだ理解が浅い部分や,勘違いしている部分などあるかもしれませんが,何卒よろしくお願いします.

参考にしている書籍は,
田口玄一ほか『品質工学講座1~4』日本規格協会
立林和夫『タグチメソッド入門』日経文庫
広瀬健一ほか『Excelでできるタグチメソッド解析法入門』同友館
です.

よろしくお願いします.

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

品質工学のコンサルティングをしております対馬と申します。

ご質問のSN比の算出方式については、
②の各月の日数に対する成功日数の割合で評価し、望目特性を100%とし,さらにこれをω変換する。でよいと思います。

n回のシミュレーション中、成功したものを1、失敗したものを0とし、その変数をy1, y2, ‥‥, yn(yiは0または1)とすると、r回成功したときの信頼度pは、
p=(y1+y2+‥‥+yn)/n
そして、最終的なSN比ηは、オメガ変換により、
η= -10log(1/p-1) (db)
となります。

詳細については、
田口玄一ほか、ベーシック オフライン品質工学「付録8 デジタルデータの誤り・誤動作の評価」、日本規格協会
にありますので、参照してください。

以 上




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

航空機は安定性が極めて大事ですからSN比で評価することは非常に有効です。シミュレーションとの相性も良いので、方針に誤りはありません。

ただしパラメーター設計には多様なやり方があり、評価特性を「OK/NG」にしてしまうと得られる情報が非常に限定されてしまいます。

何をもってNGと判断されますか?
例えば目標進路に対して1%以上ずれたらNGだとするならば、このずれ量を評価特性にすれば、同じOKでも0.0から±0.99まであり、NGでもー1.0%からー∞、+1.0から+∞まで情報量が広がります。是非連続量を評価特性としてください。

ご存じのように、品質工学ではまず技術システムの「基本機能」を評価することを検討します。航空機には複数の機能があり、重要なものとしては「進む」「止まる」「曲がる」「上昇する」「下降する」あたりと考えられます。それぞれについて入力/出力を考えてください。

「進む」であれば、消費エネルギーが入力で、進んだ距離が出力という考えもあり、基準気象で進む距離を入力、実際の気象で進む距離を出力とみることもできます。これらの入出力関係が気象条件によらず一定で直線に近ければSN比が大きくなり、良いシステムとするわけです。
いくつか試してみて、結果が最も妥当だった基本機能を使うのが良いでしょう。

また誤差因子として実際の気象を使うようですが、同じような気象が繰り返され、無駄な工数が増えるだけでなく、過去になかった想定外の組み合わせへの安定性評価が抜けてしまいます。
気象を気圧、風向き、風速、気温、湿度、天候などの要素に分解して、それぞれを目一杯振ってた3水準もしくは2水準を直交表に配置して誤差因子とすることで、少ない実験数で漏れのない気象耐性を評価しましょう。

追加の質問があれば、なんでも相談してください。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

そうです。
航空機のどの機能がまずくてNGなのかを考えて、機能ごとに最適化することを考えてください。
自動車なら、操舵の機能(操舵角と横加速の関係をロバストにする)、サスペンションの機能(道路から発生する縦方向の力を吸収する機能)、ブレーキの機能(油圧発生の機能、油圧をブレーキトルクに変換する機能、ブレーキトルクを停止距離に変換する機能)などです。機能はハードの場合はエネルギー変換です。制御システムも同じ考え方で最適化します。そして、それぞれの機能の理想機能を定義してノイズを振ってロバスト性を最適化するべきと考えます。多機能が交絡した状態でGoodとNot Goodで評価するのはまずいやり方です。
以上です。




ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

付け足します。
自動車の場合、他にも機能はあります。
>エンジン(化学反応、トルク発生とエミッション低減は一つのSN比)
>トランスミッション(回転エネルギーの変換)
>室内温度調節
>自動運転の各機能(センサーの機能、予測機能、等)
>Etc.

もっと言えば、サスペンションが何をしているかは、操舵機能のノイズ因子で。操舵が何をしているかは、サスペンション機能のノイズ因子です。

以上、付け足しました。




ANSWER
回答No5 | 投稿日時:

QE Compassの細川と申します

OK/NGによる結果系の特性は対象システムをトータルに評価できるというメリットがありますが,皆様がアドバイスされているように技術的な意味のない特性のため,質の高い技術情報を得にくいというデメリットがあります.それと,もう一つより現実的な問題は,良品率やOK/NGという結果系の特性は加法性がなく,交互作用の影響を受けやすいというデメリットがあることです.もちろん,ω変換で改善はするでしょうが,複数の制御因子のバランス点でOK/NGの最適解があるようなケースでは対応しきれません.交互作用の影響が無視できなくなると,直交表実験で得られた要因効果図の傾向が本来の主効果の傾向からずれてしまい,正しい技術情報が得られなくなってしまいます.

とは言っても全体評価が可能で,かつ加法性の良い基本機能を考案することは簡単ではありません.そこで,メカニズムに関係する中間的な特性をたくさん取り上げて,ご提案のOK/NG評価の結果との因果関係を把握し,そこから基本機能を探索するアプローチもあります.
https://www.monodukuri.com/gihou/article/3701
ただし,こちらにあるCS-T法を活用する場合でも,OK/NGではなく目的機能を使う方が解析精度は向上します.

参考になれば幸いです