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QUESTION 質問No.584

配合計画における解釈

設計・開発品質工学(タグチメソッド) |投稿日時:
5種類程度の原料の配合し、配合後に測定される3個の特性値を同時最適化する問題に対応しています(静特性として解こうとしています)。

この時、5種類合計の重量が設計から決まっているので、5種類全てを直交表へ割り付けることができず、4種類を割り付けました。また、列がもったいなかったですが、交互作用も大きいと想定されるので、L18へ割り付けて実験しました。

この時、残りの1種類の重量は、設計総重量-Σ(4種類の原料)で計算されることとなりますが、こうするとそもそも直交にならないため、仮に交互作用がなかったとしても、要因効果が主効果によるものか、従属変数となった残原料重量によるものかが分離できないと思ったため、対応に困っています。
(なお、原料同士の交互作用の事前情報は持ち合わせていない前提です)

質問1
この場合、自分だと以下の進め方と考えますが、問題点や認識違い等ありますでしょうか?
 1、予備実験で残原料を振り、特性値への影響を確認。影響を無視できるのであれば無視して通常の直交表解析を行う
 2、残原料が特性値へ影響するのであれば、残原料の交絡は否定できず、
  (残原料の寄与度にもよるが)、要効果図は参考程度にする。
 3、残原料含め、全原料でいずれかの特性値に影響がある場合、直交は確保できないので、完全な直交計画の適用は諦める。

質問2
基本機能や動特性が思いつかず、また、ロバストネス性もあまり求められない系なので、質問1の手順を踏む代わり、交互作用を加味して残原料も含めた線形モデルを作って変数選択して各特性値を予測するモデルを構築し、
このモデルから数値解析して全スペックを満足する設計条件を見つけるのが、手順として早いと考えましたが、その場合、どういったデメリットがありますでしょうか?

補足1 投稿日時:2022/05/19 10:18

こういう解析の場合、主原料とその他の原料を分けて解析する方法を以前アドバイスいただいたことがあるのですが、各原料はそれぞれに役割があり、それぞれの役割が各特性値に紐付いているイメージです。

補足2 投稿日時:2022/05/19 11:48

>村島先生
早速ご回答ありがとうございます。

>直交表を使う限り(完備配置型実験も含める)、必ず直交します。
変数1〜4は直交するが、従属変数となる変数5は変数1〜4と直交しない、という意図で、直交は確保できない(変数1〜4vs変数5)と表現しましたが、その認識でも誤りでしょうか?


>交互作用を加味した線形モデルは作れません。
言葉足らずで申し訳ありません。線形モデルというのは、
y=Xb + e
のモデルを作るイメージで(y,b,eはベクトル、Xは行列)、このXにはx1*x2といった交互作用も加えた行列になるイメージです。Xにはx1*x2などの項目がありますが、モデル自体はy=Xb+eと線形になるので線形モデルと呼びました。

今回、4つの独立変数をL18を割り付けており情報が多いと思っため(対象となる主効果が少ないので交互作用との交絡が少ない)、感覚的ですが、x1*x2などを入れてもモデル成立するのでは?と思った次第です。

補足3 投稿日時:2022/05/20 10:58

>村島様
アドバイスありがとうございます。なるほど、x1*x2項は交互作用(非線形)のモデリングの1つという考え方なんですね。
勉強になります。


>変数1~4も直交しますが、直交表に割りつけた限り、従属変数5を追加しても必ず直交します。
>よって、その認識は間違っています。
この点について、どうしても自分が理解できず、また、質問の本質だったので、可能であれば改めて確認させてください。

因子が5つだと多いので、因子を3つにして、制御因子A/Bを完全配置に割付け、従属変数となる因子Cは100-A-Bで計算したとします(各単位は%)。

実験番号:因子A:因子B:因子C(=100-A-B)
   #1:10:30:60
   #2:20:40:40
   #3:10:40:50
   #4:20:30:50

この時、制御因子Aと従属変数である因子Cで相関をとっても0にならず直交は確保されていませんし、例えば、#1と#3の特性値の違いが、因子Aによるのか因子Cによるのか判定できず(交絡しており)、数学的な観点だけでなく、実用上も解釈に困るという状況です。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

実験計画法、品質工学、多変量解析等によるデータ解析専門で、技術士の村島です。
 まず、ご質問にはないのですが、大きな勘違いがあるようですので、そこから、説明させてください。
 それは、本Q&Aで、他の人も、おおきな勘違いをなさっていることの一つに、直交することと交互作用の関係です。直交表を使う限り(完備配置型実験も含める)、必ず直交します。交互作用があってもです。たとえば、割り付けた直交表の水準に対して、相関行列をとってみてください。エクセルですぐできますが、対角成分は1でそれ以外は全部ゼロのはずです。よって、どんな水準を割り付けても、相関係数が列間でゼロになるので、直交しているわけです。交互作用というのは、直交して、主効果と思われる列でも、別名(別の見方という意味)では、交互作用になっているということです。これがL27ですと、特定の列に出てくるし、L18だと、特定列にならない、(1列と2列のみ独立計算可能)ということです。

ですから、交互作用有無に関係せず、直交実験では各列間直交はしているので、全く問題はないのです。
 次に、質問の1についてです。
 進め方の1については、問題ありません。が、L18でも構いません。
進め方の2については、必ず、交絡すると思っていたほうがいいわけで、L18を使うという、意思決定したのであれば、交絡してきても、大丈夫な組成の追求になります。そうでないなら、交互作用が特定列に入る直交表を使うべきです。
進め方の3については、全原料での特性値への影響があることと、直交が確保できないことは、全く別物ですので、間違った認識になります。

質問の2についてです。基本的には、間違っていません。ただ、交互作用を加味した線形モデルは作れません。これが、最大のネック、デメリットといえます。交互作用が、線形モデルで表現できた時、その刹那に、それを交互作用とはいいません。線形モデルで表現できないからこそ、交互作用というわけです。よって、現実的な解決方法にはならないと考えられます。

 以上ですが、具体的な実験計画が分からないので、基本的な説明の範疇で推測、解説させて頂きました。
当方の誤解もあるかと思いますが、ご検討ください。お役に立てれば幸いです。







ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

村島です。補足2での質問に対しての回答です。
変数1~4も直交しますが、直交表に割りつけた限り、従属変数5を追加しても必ず直交します。よって、その認識は間違っています。

線型モデルである限り、交互作用とはいいません。たとえば、x1とx2に掛算効果があったとして、それを交互作用とは言いません。対数をとれば加法モデルに変わるからです。式で表現できるようなものなら、それを変換して、線形に持ち込める限り、交互作用とは言いません。交互作用とは、ズバリ、式では表現できない、誤差みたいなもの、と解釈しておけばいいと思います。ちなみに、交互作用と、非線形モデルとは同義語です。線形モデルでの交互作用というのは存在しません。
 よく、市販のテキストに交互作用ある場合の直交展開の式が載っていますが、それは交互作用を掛算モデルと仮定したというだけのことで、その式が真の交互作用として正しいかどうかはわかりません。正しいのならば、さっさと、対数変換すればいいのにと思います。それは、交互作用にはなりませんが。

最後の、x1*x2を入れること自体は、間違っていません。重回帰式に入れる場合には注意が必要です。ご存じと思いますが。

以上です。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

まぐさん、村島です。今、質問の真意がやっとわかりました。結論から言えば、直交しません。よって、そういう意味なら、直交しないということです。
 ただし、注意しないといけないのは、そもそも因子C=100-A-Bを割り付けてはいけないということです。因子CはAとBで決定されるので、直交用の列に割り付けること自体が間違いです。
この場合、3列目は空白(誤差列)になります。あるいは、AとBの交互作用列になります。他の制御因子を割り付けると、交絡しますが直交はします。いずれにせよ、3列目にA-Bをもってくることはできません。もってくるから直交しないというわけです。
 ただ、まぐさんの実験では、どうしてもこの3列目に因子Cが入ってくるという状況でしょうね? 決定されるのだから、空列とも違うわけですね?
 ということは、そもそもは実験計画法で解くのは場違いで、重回帰分析で攻めたらどうですか? ちょっと計算してみましたが、この例の場合、A、BもともにCと相関係数が0.71程度ですから、やってみる価値あります。A,B,Cともに単位が同じなら、偏回帰係数そのもので、単位が違うなら標準化された偏回帰係数で効果を判断します。
 又、連絡ください。




ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

QE Compassの細川と申します。 

 私の経験からコメントさせていただきます。3つの特性値とも加法性があり、4つの制御因子間の交互作用が十分に小さければ、どのような実験でも最適条件を把握することは可能です。ただし、特性値間のトレードオフがあり、3つの特性とも目標をクリアできるバランス点がなかった場合は新たな制御因子を追加する必要があると思いますが、その場合は今回のL18実験から新たな制御因子を発想する技術情報を得ることが重要になります。そのために中間的な特性を追加して3つの目的特性との因果関係を把握することが有効です。その方法がCS-T法です。CS-T法については以下を参考にしていただければと思います。
https://qecompass.com/
「タグチメソッドによる技術開発:基本機能を探索できるCS-T法」 日科技連出版社

 仰る通り、材料系の実験では制御因子間の交互作用が避けれないケースが多々あります。特に収率などを特性値にすると交互作用の影響が大きくなり、要因効果図の傾向が不自然な山谷や、第1水準や第3水準の値だけが大きくなるなどの結果となります。私の経験では要因効果図の傾向から交互作用の影響を判断することは可能と考えています。もちろん確認実験を実施して、交互作用の影響を把握することは次への方針を決定するために必須のプロセスですが、今回は空き列があるので、そこから交互作用の影響を把握できます。

 交互作用が無視できない場合の対応方法はいくつかあります。最も大胆な方法は最適行を暫定最適条件にする方法です。ある材料開発で、約10種類の添加物の種類と添加量の合計で約20個の制御因子をL54に割り付けて最適行を見つける実験を実施し、大成功したことがあります。複数の制御因子の水準の特定の組み合わせでよい条件が存在することを予想して、直交表の網羅率の高さを活用したのです。多くの特性値があったのですが、機能の考え方で6つにまとめました。ここは品質工学的なアプローチです。直交表を解析ツールではなく、改善加速ツールとして扱う方法ですが、現在であればCS-T法を使って直交表にわりつけた制御因子よりも利用価値の高い技術情報を同時に得る方法を採用します。

 利用価値の高い技術情報とは制御因子と目的特性の間に位置する中間特性です。例えば物性データや分析データ、センシングデータなどです。これらの情報から改善メカニズムを把握することで、新たな制御因子を考案する確実性が高まります。また、本質的な制御因子を再定義してCS-T法を実施することも有効です。例えばTbFeCoという磁気記録材料があるのですが、Tb組成とFe組成の二つを制御因子にしてCoを従属にしてしまうと、3つの組成の組み合わせ条件をみつける実験になってしまい、要因効果図から技術情報を得ることが難しくなります。特定の組み合わせ条件で値が大きく変わることは交互作用と同じ悪影響となるので。この場合、例えばTb/(FeCo)やFe/Coなどの比を新たな制御因子として再定義して目的特性との因果関係をCS-T法で把握します。最適化に加えて、このような活動を実施し、技術を蓄積することが中長期的な競争力になると思います。

状況がわからない中でにコメントですので的を得てないところもあるかもしれませんが、お役に立てれば幸いです。

CS-T法の詳細は上記した参考文献を参照していただければと思います






ANSWER
回答No5 | 投稿日時:

先達のご意見を拝見し勉強さていただいております。

参照すると参考になる配合計画の実施例に第3版実験計画法(丸善)p-362(タイルの釉薬配合最適化)にあります。7成分A-Gを割り付けております。総量から(A-G)量を引いた値は、バインダー(支持成分)と呼ばれる最大重量の成分(S)で合わせます。(S)は直交表と関連(直交)しませんが、その(S)の大小は特性に大きく影響しないと仮定しております。解析は要因効果図ですが、3特性に調整しやすい実験Noを仮(暫定)最適として、次に実験計画をこの仮最適の近傍で行いながら進めるのが一般的です。組成に主従関係があるときには、独立の水準にせずに従を主の比でとります。
まぐさんは、技術力がおありのようですから、この釉薬割付を眺めることでノウハウを習得できます。

配合計画は、交互作用が強い実験ですが、要因効果図の最適水準と実験ベストNoの水準比較をして異なっている因子が関連していると想定してください。(交互作用がないと要因効果の水準と最適条件と一致します)。3特性はの調整が容易ではないので要因効果でなく実験ベスト(仮最適)を基準として次の計画をお薦めします。頑張ってください。