人に教えることで物流を学ぶ

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1. 物流知識を教える  

 自分の学びに一番役立つこととして「人に教える」ということがあります。自分があることを勉強しているときに、理解度をチェックするには、人にそれを教えてみるということです。きちんと理解してれば相手に伝えることは容易です。一方であいまいな理解度では正しい情報を伝えることは難しいでしょう。そこで会社で物流を担当し始めたばかりの人にはこの方法がお勧めです。同僚でも後輩でも、あるいは先輩社員でもよいでしょう。  
 
 物流について教えてあげるのです。その過程を通して自分自身の理解度を振り返り、不足部分をさらに勉強するというステップを踏めばよいでしょう。最初は基本知識で十分です。下図のように物流には5つの機能があります。その5つとは何なのかについて教えてあげるのです。物流5機能といっても、物流に携わっていない人にとっては何のことかはわかりません。物流を学び始めた人もこの5つの意味合いについてすらすらと語ることは大変勉強になると思います。 
 
SCM
 
 そしてこの5つに加えて最近は「情報」も物流重要機能として位置付けられたことを語ることができればベターです。どんどん学びが深くなっていくことは間違いありません。繰り返しになりますが、人に教える第一歩は物流知識についてです。物流5機能や輸送契約の基本パターン、保管契約の基本パターンなど基本中の基本知識です。自分で物流知識を学び人に教える、また別の知識を学んで人に教える、これをとことん繰り返していくのです。これができれば次のステップに進むことができます。それは物流改善の領域です。  
 

2. 物流改善アドバイス

 物流知識を教えることを通して自分自身のスキルが向上します。しかし、物流知識だけではなくもう一歩踏み出した行動が求められます。それは物流改善のアドバイスをするという行動です。これは相手に非常に喜ばれますし、自分の力量が大幅に向上するビッグアイテムです。物流を本業としている、していないに関わらず、物流改善はビジネスを展開していくには必須アイテムです。一方で皆さんご存知の通り物流知識を持った人はそれほど多くありません。ですからここで物流改善をアドバイスできる人はとても重宝にされるのです。ただし物流といっても大変範囲が広いですから注意が必要です。
 
 そこで物流改善のできる範囲は徐々に広げていく必要があります。人によって感じ方は異なるかもしれませんが、比較的容易なところとして「輸送」から始めてみたらどうでしょうか。まずは自分の知りうる範囲から始めることで問題ありません。しかし「輸送」をお勧めするのは物流コストに占める輸送費の比率が高いことが挙げられるからです。一般的に物流に対する認識の一番は「コスト」という位置づけです。コストを下げたいと思っている人に対して輸送改善はよいテーマであることに間違いありません。物流コストの6割を占める輸送費は重要テーマです。ですから輸送に注目させていくことはとても大切なのです。
 
 ここで一歩踏み込んで学んでおくことがあります。それは「荷姿」です。輸送費を下げていくためには荷を縮めることが重要なのです。この荷姿ですが、知識を持った人は多くはありません。荷姿を知るためには本来であれば実際に荷姿設計を行うことが一番です。しかしそこまでできないのであれば、荷姿における問題点をどこかで学ぶことが最低限やっておくことです。輸送改善だからといって、単純に荷をまとめるとか納入回数を減らすとかいったアドバイスは逆効果です。この点については理解しておく必要があります。
 

3. 教える人の成長

 いつも申し上げていることですが、物流は単純な運搬や輸送だけにとどまりません。むしろ物流は何かしらの結果であるため、その要因をつぶすことが改善につながる性質を持ちます。これは在庫でも同様です。在庫も物流の重要機能ですから、その要因を把握して一つひとつつぶしていくことが求められます。物流の場合はどちらかというと工程設計が要因の多くを占めることになります。保管場所をどこにするのか、その場所によって輸送の大きさは変わってきます。生産現場では工程と工程を離してレイアウトするとその間の運搬が発生します。物流エリアが広すぎたり狭すぎたりすることで物流工数に影響が出ます。このようなことを「にわか知識」でもよいので知ったうえで人に話をしてみましょう。物流を単純なオペレーションだと考えている人たちにとっては大きなインパクトがあるはずで...

1. 物流知識を教える  

 自分の学びに一番役立つこととして「人に教える」ということがあります。自分があることを勉強しているときに、理解度をチェックするには、人にそれを教えてみるということです。きちんと理解してれば相手に伝えることは容易です。一方であいまいな理解度では正しい情報を伝えることは難しいでしょう。そこで会社で物流を担当し始めたばかりの人にはこの方法がお勧めです。同僚でも後輩でも、あるいは先輩社員でもよいでしょう。  
 
 物流について教えてあげるのです。その過程を通して自分自身の理解度を振り返り、不足部分をさらに勉強するというステップを踏めばよいでしょう。最初は基本知識で十分です。下図のように物流には5つの機能があります。その5つとは何なのかについて教えてあげるのです。物流5機能といっても、物流に携わっていない人にとっては何のことかはわかりません。物流を学び始めた人もこの5つの意味合いについてすらすらと語ることは大変勉強になると思います。 
 
SCM
 
 そしてこの5つに加えて最近は「情報」も物流重要機能として位置付けられたことを語ることができればベターです。どんどん学びが深くなっていくことは間違いありません。繰り返しになりますが、人に教える第一歩は物流知識についてです。物流5機能や輸送契約の基本パターン、保管契約の基本パターンなど基本中の基本知識です。自分で物流知識を学び人に教える、また別の知識を学んで人に教える、これをとことん繰り返していくのです。これができれば次のステップに進むことができます。それは物流改善の領域です。  
 

2. 物流改善アドバイス

 物流知識を教えることを通して自分自身のスキルが向上します。しかし、物流知識だけではなくもう一歩踏み出した行動が求められます。それは物流改善のアドバイスをするという行動です。これは相手に非常に喜ばれますし、自分の力量が大幅に向上するビッグアイテムです。物流を本業としている、していないに関わらず、物流改善はビジネスを展開していくには必須アイテムです。一方で皆さんご存知の通り物流知識を持った人はそれほど多くありません。ですからここで物流改善をアドバイスできる人はとても重宝にされるのです。ただし物流といっても大変範囲が広いですから注意が必要です。
 
 そこで物流改善のできる範囲は徐々に広げていく必要があります。人によって感じ方は異なるかもしれませんが、比較的容易なところとして「輸送」から始めてみたらどうでしょうか。まずは自分の知りうる範囲から始めることで問題ありません。しかし「輸送」をお勧めするのは物流コストに占める輸送費の比率が高いことが挙げられるからです。一般的に物流に対する認識の一番は「コスト」という位置づけです。コストを下げたいと思っている人に対して輸送改善はよいテーマであることに間違いありません。物流コストの6割を占める輸送費は重要テーマです。ですから輸送に注目させていくことはとても大切なのです。
 
 ここで一歩踏み込んで学んでおくことがあります。それは「荷姿」です。輸送費を下げていくためには荷を縮めることが重要なのです。この荷姿ですが、知識を持った人は多くはありません。荷姿を知るためには本来であれば実際に荷姿設計を行うことが一番です。しかしそこまでできないのであれば、荷姿における問題点をどこかで学ぶことが最低限やっておくことです。輸送改善だからといって、単純に荷をまとめるとか納入回数を減らすとかいったアドバイスは逆効果です。この点については理解しておく必要があります。
 

3. 教える人の成長

 いつも申し上げていることですが、物流は単純な運搬や輸送だけにとどまりません。むしろ物流は何かしらの結果であるため、その要因をつぶすことが改善につながる性質を持ちます。これは在庫でも同様です。在庫も物流の重要機能ですから、その要因を把握して一つひとつつぶしていくことが求められます。物流の場合はどちらかというと工程設計が要因の多くを占めることになります。保管場所をどこにするのか、その場所によって輸送の大きさは変わってきます。生産現場では工程と工程を離してレイアウトするとその間の運搬が発生します。物流エリアが広すぎたり狭すぎたりすることで物流工数に影響が出ます。このようなことを「にわか知識」でもよいので知ったうえで人に話をしてみましょう。物流を単純なオペレーションだと考えている人たちにとっては大きなインパクトがあるはずです。そこで議論が生じると思います。人によっては物流のことをオペレーションだと思っているため、あなたの意見に反対するでしょう。素直に新たな知識として受けとめる人にとって見れば、さらに詳しい情報を知りたいと思うでしょう。
 
 人それぞれの考え方でいろいろな意見が出てきます。これらの意見に対して、皆さんなりの考え方で返していく必要があります。ここで皆さんのスキルがさらに磨かれることになります。もし、もっと情報を知りたいという人がいれば、ぜひそれについて教えてあげましょう。その情報を知らなかったとしたら、皆さん自身が調べて教えてあげましょう。調べる過程を通してますます物流について詳しくなることでしょう。皆さんの物流に関する知識と技能スキルが徐々に向上していきます。結果的に会社で物流については無くてはならない存在になることでしょう。「人に教える」ということはここまで大きな影響を持つのです。勇気をもって人に物流について教えていきましょう。教えられる人のみならず、教える側の成長と会社の物流改善につながる大変よい行為だと認識していきましょう。
  

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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