クリーンワイパーの選定について

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 クリーン化ワイパーとは、拭くもののことです。辞書を見るとワイプ ダウンという言葉があり、雑巾がけを意味します。クリーンルーム内の作業では、製品を拭いたり、作業台や設備を拭くなど様々な拭き作業にワイパーが使われます。一言にワイパーと言っても色々な種類があります。材質やゴミの出方などそれぞれ違うので、使うもの、使う作業によって使い分けていると思います。
 

1.ポリエステルワイパー

 ポリエステル素材を中心にしたワイパーの話をします。ポリエステルは防塵衣にも使われていますが、耐熱性、耐薬品性に優れ、伸縮が少ないなどの特徴があります。もちろん、高熱や薬品の付着で溶ける場合があるので完全ではありません。ただ、ナイロンなどと比較するとその違いは顕著です。
 
 このワイパーは、不織布と比べると繊維が切れ難く、発塵も少ないため設備のチャンバー内のクリーニングや、製品の鏡面の汚れの拭き取りなど、品質に直接影響しそうな作業に使われることが多いようです。使い方によって製品品質に影響することもありますので、本来はきちんと評価がされている。あるいは自分達でも評価して、納得して使うということが求められます。評価項目としては、乾式、湿式の発塵テスト、溶出イオン、溶出金属、静電気、周囲の綴じ方(ワーパーは周囲からの発塵が最も多い)、使ってみた感触、併せて価格です。
 
 使用時繊維が固いと感じたら、製品に傷がつく可能性があります。使用内容によっては、評価項目はこんなに多くなくても良いと思います。国内のメーカーは、きちんと評価しているところが多いですが、代理店によっては海外から直接輸入、販売している場合、評価されていなかったり、評価の有無が不明なものがあります。単に価格を購入の判断基準にしないことです。品質とコストは同時に評価したい。
 

2.ポリエステルワイパー使用事例

 このポリエステルワイパーの使い方の事例を紹介します。東南アジアのある工場でクリーン化指導した時、製品の表面に付着する汚れの除去で悩んでいるとの話がありました。この工場はパネル製造していましたが、その表面に付着する汚れをワイパーで拭いてもなかなか取れない。そのため製品の廃棄が多い。良いワイパーはないか、汚れ除去の良い方法はないかと聞かれました。現場の作業を観察してみたところ、パネルの表面、つまり鏡面に付着した汚れの拭き取り作業で、いくら擦っても、汚れが落ちないと言って、表面をごしごしと音がするくらい強く擦っていました。
 
 あまり強く擦ると表面に傷がつき不良品となります。また、こういう汚れの付着の仕方は、黒い汚れが広がるだけで綺麗にならず、やはり廃棄されます。製品が何層も重なっているものは、強く擦ることで製品に歪が発生し、組立途中、あるいは完成後の検査で不良になるものもあります。これをどうするかということです。
 
 私は、山形県の工場に赴任していた時、品質保証部門に籍を置き分析担当と一緒に仕事をしていました。その担当と連絡を取り、情報交換やアドバイスを得ながら、最終的にはポリエステルでも極細タイプのものに変更しました。極細というのは細い繊維で織ってあるものです。
 
 例えば、眼鏡拭きなどもそうですね。拭いたら傷がついてしまっては困りますから。その細い繊維で絡めて取るということです。繊維の細いものは、その1本、1本で絡めたり、剥がし取る。つまり繊維の1本1本が仕事をするということです。
 
 また、太い繊維で織ってあるものは、繊維の集合体、つまり布としてゴミ、汚れを取るということです。付着ゴミや汚れを良く確認しワイパーや作業方法を変える。これによってコストも変わる可能性がありますが、拭きの精度を要求されない作業で、極細の高価なものを使っている。反対に高い拭き精度を要求する作業で、汚れの落ちにくいタイプを使い、ワイパーを沢山消費したり、廃棄品がたくさん出てしまうという使い方では、かえって逆効果...
 クリーン化ワイパーとは、拭くもののことです。辞書を見るとワイプ ダウンという言葉があり、雑巾がけを意味します。クリーンルーム内の作業では、製品を拭いたり、作業台や設備を拭くなど様々な拭き作業にワイパーが使われます。一言にワイパーと言っても色々な種類があります。材質やゴミの出方などそれぞれ違うので、使うもの、使う作業によって使い分けていると思います。
 

1.ポリエステルワイパー

 ポリエステル素材を中心にしたワイパーの話をします。ポリエステルは防塵衣にも使われていますが、耐熱性、耐薬品性に優れ、伸縮が少ないなどの特徴があります。もちろん、高熱や薬品の付着で溶ける場合があるので完全ではありません。ただ、ナイロンなどと比較するとその違いは顕著です。
 
 このワイパーは、不織布と比べると繊維が切れ難く、発塵も少ないため設備のチャンバー内のクリーニングや、製品の鏡面の汚れの拭き取りなど、品質に直接影響しそうな作業に使われることが多いようです。使い方によって製品品質に影響することもありますので、本来はきちんと評価がされている。あるいは自分達でも評価して、納得して使うということが求められます。評価項目としては、乾式、湿式の発塵テスト、溶出イオン、溶出金属、静電気、周囲の綴じ方(ワーパーは周囲からの発塵が最も多い)、使ってみた感触、併せて価格です。
 
 使用時繊維が固いと感じたら、製品に傷がつく可能性があります。使用内容によっては、評価項目はこんなに多くなくても良いと思います。国内のメーカーは、きちんと評価しているところが多いですが、代理店によっては海外から直接輸入、販売している場合、評価されていなかったり、評価の有無が不明なものがあります。単に価格を購入の判断基準にしないことです。品質とコストは同時に評価したい。
 

2.ポリエステルワイパー使用事例

 このポリエステルワイパーの使い方の事例を紹介します。東南アジアのある工場でクリーン化指導した時、製品の表面に付着する汚れの除去で悩んでいるとの話がありました。この工場はパネル製造していましたが、その表面に付着する汚れをワイパーで拭いてもなかなか取れない。そのため製品の廃棄が多い。良いワイパーはないか、汚れ除去の良い方法はないかと聞かれました。現場の作業を観察してみたところ、パネルの表面、つまり鏡面に付着した汚れの拭き取り作業で、いくら擦っても、汚れが落ちないと言って、表面をごしごしと音がするくらい強く擦っていました。
 
 あまり強く擦ると表面に傷がつき不良品となります。また、こういう汚れの付着の仕方は、黒い汚れが広がるだけで綺麗にならず、やはり廃棄されます。製品が何層も重なっているものは、強く擦ることで製品に歪が発生し、組立途中、あるいは完成後の検査で不良になるものもあります。これをどうするかということです。
 
 私は、山形県の工場に赴任していた時、品質保証部門に籍を置き分析担当と一緒に仕事をしていました。その担当と連絡を取り、情報交換やアドバイスを得ながら、最終的にはポリエステルでも極細タイプのものに変更しました。極細というのは細い繊維で織ってあるものです。
 
 例えば、眼鏡拭きなどもそうですね。拭いたら傷がついてしまっては困りますから。その細い繊維で絡めて取るということです。繊維の細いものは、その1本、1本で絡めたり、剥がし取る。つまり繊維の1本1本が仕事をするということです。
 
 また、太い繊維で織ってあるものは、繊維の集合体、つまり布としてゴミ、汚れを取るということです。付着ゴミや汚れを良く確認しワイパーや作業方法を変える。これによってコストも変わる可能性がありますが、拭きの精度を要求されない作業で、極細の高価なものを使っている。反対に高い拭き精度を要求する作業で、汚れの落ちにくいタイプを使い、ワイパーを沢山消費したり、廃棄品がたくさん出てしまうという使い方では、かえって逆効果です。このようなことを考えながら、良いものを選択しましょう。
 
 国内のワイパーメーカーは、評価データを提示できたり、営業マンからもきちんと説明、アドバイスを貰えるところもあります。もちろん鵜呑みにせず、納得して導入すべきです。
 

3.クリーンワイパーの維持管理

 クリーンワイパーの維持管理をまとめますと、汚れは何かを確認する。それが浮遊異物や人から発生したゴミなど鏡面に対し、突起状態の付着ゴミなら、普通の太さの繊維のワイパーで良いと思います。
 
 また、鏡面に沿うような密着性の高い汚れの付着なら極細タイプの方が良さそうです。ただし、ワイパーを使う目的を考え、それに合ったワイパーや使い方を考え、試行を繰り返して、本当に良いかをしっかり確認しましょう。大量に使うものですから、担当が変わったり、過去の経緯を知らないと、元に戻ってしまう場合があるので導入経緯の文書化や作業方法の標準化をしておきましょう。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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