物流サプライヤーの要望とは:物流購買の勘所(その11)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆物流サプライヤーの要望

物流サプライヤーへの委託業務の場合、共同改善すべき分野は購買側の効率化だけとは限りません。「共同改善」ですから、お互いにメリットがあることを実施していくべきと考えられます。

 

発注業務が輸送業務だと考えてみましょう。その場合、物流サプライヤーが望む典型的な改善とは顧客構内での「待ち時間」であると思われます。この「待ち時間」、数分、数十分のレベルではなさそうです。1時間や2時間などはざらにあると聞いています。

 

顧客の構内で待たされて、さらに輸送先の構内で待たされて、ということが発生しています。つまり両端末で2時間~4時間の待ち時間が発生しているわけです。皆さんが飛行機や列車に乗るケースを考えてみて下さい。何かしらの事情が発生して、皆さんが空港や駅に到着が遅れたとき、飛行機や列車は皆さんの到着を待ってくれていますでしょうか。

 

答えは明確ですよね。一方で運送事業者を待たせることに問題意識を持たないことはいかがなものでしょうか。仮に待たせてしまうことがあったとしても、それに対する対価を支払うことはビジネスを行っている以上、当たり前のことではないでしょうか。

 

今回物流購買のプロセスの一環として共同改善を行うに当たっては、物流サプライヤーの改善要請に対しても真摯に取り組むことが重要です。結果的に物流サプライヤーの効率が向上したとすれば、巡り巡って購買側の購入価格の低減につながることもあるわけです。購買活動では「単価低減」は当然の行為として行われます。これを否定する人はいないでしょう。購買側はより安く購入したいのです。要求品質をキープできる範囲で。

 

一方で価格を安くするためには、サプライヤー側のコストを下げる必要があります。仮に1時間の待ち時間を両端末で無くしたとしたら、2時間分のコストダウンにつなが...

サプライチェーンマネジメント

 

◆物流サプライヤーの要望

物流サプライヤーへの委託業務の場合、共同改善すべき分野は購買側の効率化だけとは限りません。「共同改善」ですから、お互いにメリットがあることを実施していくべきと考えられます。

 

発注業務が輸送業務だと考えてみましょう。その場合、物流サプライヤーが望む典型的な改善とは顧客構内での「待ち時間」であると思われます。この「待ち時間」、数分、数十分のレベルではなさそうです。1時間や2時間などはざらにあると聞いています。

 

顧客の構内で待たされて、さらに輸送先の構内で待たされて、ということが発生しています。つまり両端末で2時間~4時間の待ち時間が発生しているわけです。皆さんが飛行機や列車に乗るケースを考えてみて下さい。何かしらの事情が発生して、皆さんが空港や駅に到着が遅れたとき、飛行機や列車は皆さんの到着を待ってくれていますでしょうか。

 

答えは明確ですよね。一方で運送事業者を待たせることに問題意識を持たないことはいかがなものでしょうか。仮に待たせてしまうことがあったとしても、それに対する対価を支払うことはビジネスを行っている以上、当たり前のことではないでしょうか。

 

今回物流購買のプロセスの一環として共同改善を行うに当たっては、物流サプライヤーの改善要請に対しても真摯に取り組むことが重要です。結果的に物流サプライヤーの効率が向上したとすれば、巡り巡って購買側の購入価格の低減につながることもあるわけです。購買活動では「単価低減」は当然の行為として行われます。これを否定する人はいないでしょう。購買側はより安く購入したいのです。要求品質をキープできる範囲で。

 

一方で価格を安くするためには、サプライヤー側のコストを下げる必要があります。仮に1時間の待ち時間を両端末で無くしたとしたら、2時間分のコストダウンにつながります。これを原資に、物流サプライヤーは荷主にいくばくかの価格低減を提供することができるようになります。

 

つまり共同改善活動は最終的には自社のメリットにつながるということです。やって損する活動はないと思われます。ぜひ共同改善のしかけを作ってスタートしましょう。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
自動車産業、モジュール部品メーカーが完成車の品質を保証する

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...


クロスドッキングとは

1. クロスドッキングの趣旨    物流センターにはDC(もしくはSC)、TC(もしくはDP)という呼び名があります。DCやSCは在庫がある...

1. クロスドッキングの趣旨    物流センターにはDC(もしくはSC)、TC(もしくはDP)という呼び名があります。DCやSCは在庫がある...


サプライチェーンマネジメントにおけるベンチマーキング

 ベンチマーキングは、米国において1980年代に日本の製造業を研究するプロセスのなかでモデル化された手法です。  日本の多くの会社は自社と同じ成功事例に...

 ベンチマーキングは、米国において1980年代に日本の製造業を研究するプロセスのなかでモデル化された手法です。  日本の多くの会社は自社と同じ成功事例に...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
倉庫や工場の安全パトロール 物流安全管理(その3)

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...


物流サービスの水準:顧客の仕事を変える物流の提供を(その1)

  ◆物流サービスの向上 顧客に提供する物流業務を物流サービスと呼びます。このサービスの水準によって物流コストや物流の価格が決まります。...

  ◆物流サービスの向上 顧客に提供する物流業務を物流サービスと呼びます。このサービスの水準によって物流コストや物流の価格が決まります。...


  ワンウエイとリターナブル:荷姿改善の重要性(その2)

  ◆ワンウエイ荷姿とリターナブル荷姿 荷姿は物流のためにあり、ユーザーにとっては無用のものです。そこでできるだけ荷姿はシンプルなもので...

  ◆ワンウエイ荷姿とリターナブル荷姿 荷姿は物流のためにあり、ユーザーにとっては無用のものです。そこでできるだけ荷姿はシンプルなもので...