【SDGs取り組み事例】働きやすい職場づくりと環境保全や社会貢献に努める

SDGs活動の意味や効果を共有、サステナブルな企業へ

美濃工業株式会社(岐阜県中津川市)

目次

1.アルミダイキャストのリーディングカンパニー
2.CSRを通じた取り組みからSDGs宣言へ
3. 早い段階からの育成教育を実施、人材層に厚みを
4. “健康経営”:従業員の健康管理と健康づくりを目的に
5. SDGs 2030年に向けて:エネルギー使用量を減らし、CO2排出量削減に取り組む

 

1. アルミダイキャストのリーディングカンパニー

1950(昭和25)年、家電製造から始まり昨年、創業70年を迎えた美濃工業(岐阜県中津川市・杉本潤社長)では、アルミダイキャスト手法を使った、エアバック制御のコンピューターを組み付けるケースのほか、ハイブリッドや電気自動車に使用されるECU(エレクトロニックコントロールユニット)用ケースやEPS(電動パワーステアリング)用ギアボックスなどの鋳造から加工、組立を一貫して行っています。
来年夏には同市内に新工場が竣工予定。坂本工場と坂本第二工場を合わせた3拠点で電気自動車用部品ほか昨今、需要の増す車載カメラやセンサー類などに使用されるアルミダキャスト製品などの製造を進めるそうです。また今年からは、これまで外注で行っていた金型製作からメンテナンスなどについても内製化を行っています。

PCUカバーとコンバータ

写真説明】ハイブリット自動車でモーター駆動用バッテリーの出力を管理するパワーコントロールユニット(PCU)カバー㊧とEV用コンバータ

同社のSDGs(持続可能な開発目標)宣言は昨年8月と始まったばかりですが、それ以前からSDGsにつながるCSR(企業の社会的責任)活動は行われており、それらを起点にSDGsの枠に取り入れながら、事業活動を通じた取り組みを継続するため、行動宣言に至ったそうです。同社も「これまで取り組んできた活動が、SDGsにつながっていることに気付くきっかけとなった」と話しています。
その社会貢献の一つとして、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では、年1回の工場周辺の清掃活動(2002年~)ほか、同市内で開かれる祭りへの参加があります。特に祭りでは「地域の伝統行事を守り、次世代に継承する活動」として、同社が神輿(みこし)を出し、町中を練り歩きながら祭りを盛り上げています(昨年、一昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止)。また、同社では現在、約150人のタイ人労働者(技能実習、特定技能合わせ)を雇用していますが、彼ら彼女らも祭りに参加するなど、地域コミュニティづくりの発展に寄与しています。
目標4「質の高い教育をみんなに」では、地元小中高生対象の工場見学(自治体主催の見学含む)や従業員家族を招いた「家族参加日」を実施。同参観日では、参加者が父親や母親らそれぞれの仕事の様子を見学した後、社員食堂で昼食を楽しむ機会を設けています。また、同社では現在17人の障害者を雇用しており、養護学校生を対象とした工場見学や就業体験も行われています。

清掃活動のようすと祭りに参加する従業員

写真説明】2002年から続く清掃活動㊧と中津川市内の祭りに参加する同社従業員

小中高生を対象とした工場見学の様子

写真説明】地元小中高生を対象とした工場見学も開かれている

環境保全面の「目標7、11、12、13、14」[1]ではアルミニウム材料のリサイクル性が高いことから、不良品などを溶解した再利用のほか、水質汚染対策として工場排水をろ過し、排水量の削減に努めています。また、カーボンニュートラルといった面からも、CO2削減に向けた取り組みやアルミ溶解の際、発する熱を再生可能エネルギーとして活用する方法を模索中とのことです。
安全衛生面の目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標8「働きがいも経済成長も」では、社内に安全衛生委員会を設け、安全衛生に関するルールなどについて協議が行われています。また各課で毎年、計画が作られ、計画(目標値)に対する進捗状況以外に同委員会事務局(総務部)から出された指示事項に対する実施状況の報告が行われるなど、安全・安心な職場に向けた環境づくりに努めています。
人財育成面(目標8)では新人研修をはじめ、フォロー研修(2年目)ほか、入社3~5年目の社員に対し基礎的な教育以外に一部、マネジメントに関する教育を行い昇進(班長や主任クラス)させるといった教育体系を確立していますが、現在はこれらクラスに昇進する前に、より実践に役立つ設備管理や品質保証、原価、作業教育、労務管理などすべての部門に関連する考え方などについて、早い段階からの育成教育を実施し、人材層に厚みを持たせることを目標に、教育体系の見直しも進められています。
同社もこれら教育を行う事で「上流から下流に流れる生産工程の中で、関わる従業員それぞれが広い視野を持ち、気付きや改善などが行え、さらに各部署が他の部署にも配慮できる仕組みを作り上げたい」と話しています。

同社の育成教育(研修会)

写真説明】人材層に厚みを持たせるため、早い段階からの育成教育が行われている(2019年の新入社員研修)

ワークライフバランス面の目標8「働きがいも経済成長も」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」では、2017(平成29)年度に岐阜県から、仕事と家庭の両立支援などに取り組む「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進企業」の中で、特に優良で他社の模範となる独自の取り組みを行う企業として、同推進エクセレント企業の認定を受けています。
また、2020(令和2)年には従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目的とした「健康経営優良法人2020」(経済産業省)にも選ばれています。主な取り組みは、従業員の健康管理と健康づくりが重要となることから、社員食堂ではカロリーを抑え、栄養バランスを考慮した選択式のメニューが提供されているほか、社内自動販売機内の飲料についても健康に配慮したものが置かれているそうです。
また、部署内外の連携や親睦を深めるため、社内運動会も実施されています。ただ同社も「 “健康経営”といってもまだ社内での認知度は低いため、社内周知する一方、従業員からの要望なども取り入れながら、意識向上と活性化を図っていきたい」と話しています。
さらに女性活躍推進法に基づいた取り組み(2021年6月現在)では、育児休業取得率は女性100%(男性21%)と高いほか、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントにかかわる社内規定の制定と相談窓口の設置やフレックスタイム制の導入などが行われています。また、管理監督職などに占める女性従業員は3名ですが「まだまだ少ないため、積極的な女性採用と昇進を進めていきたい」としています。

2030年のゴールに向け、同社でも「環境保全に関するセミナーなど受講しながら対策を進めていますが、まだまだこれから。現在、エネルギー使用量(原油換算)を減らすことでCO2削減に向けた取り組みを行っていますが、これらを見える化し、目標値を設け、各課題に対応していきたい」とし「従業員にも、日々の業務がSDGsにつながっているという“活動の意味や効果”を理解してもらうため、周知と活動の継続に努めていきたい」と話しています。


記事中解説

[1]…目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標12「つくる責任つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」


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