コンプライアンス意識を持とう:下請法

投稿日

SCM

 

◆ 下請法を意識しよう

 物流会社が協力会社に仕事を委託する際に、気を付けなければならないことがあります。それは下請法で規定されている内容です。

 物流会社は一定規模の下請会社に仕事を発注する際「発注書」を発行しなければなりません。電話一本で発注することは問題となります。荷主会社が物流会社に輸送業務を発注する際にも似たようなしばりがありますが、こちらは下請法ではなく独占禁止法で規定されています。

 いずれにも共通していることは、発注側が強い立場を利用して、下請会社に無理難題を強いてはならないという思想です。俗にいう下請いじめは許されない、ということです。

 その下請法ですが、知らない人にとっては「ここまで細かく見られているのか」と驚くほどの制約があります。しかしこれは当然に義務として認識しなければならないのです。参考までに同法における親会社の4つの義務と11の禁止事項を挙げておきます。詳しくは公正取引委員会のホームページでご確認下さい。

 

◆下請法における親会社の4つの義務と11の禁止事項

【親会社の4つの義務】

  1. 書面の交付義務:発注の際は直ちに3条書面を交付すること
  2. 支払期日を定める義務 :下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること
  3. 書類の作成・保存義務: 下請取引の内容を記載した書類を作成し2年間保存すること
  4. 遅延利息の支払義務: 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと

 

【親会社の11の禁止事項】

  1. 受領拒否(第1項第1号):注文した物品等の受領を拒むこと
  2. 下請代金の支払遅延(第1項第2号):下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。
  3. 下請代金の減額(第1項第3号):あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
  4. 返品(第1項第4号):受け取った物を返品すること。
  5. 買いたたき(第1項第5号):類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
  6. 購入・利用強制(第1項第6号):親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
  7. 報復措置(第1項第7号):下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
  8. 有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号):有償で支給した原材料等の対価を当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。
  9. 割引困難な手形の交付(第2項第2号):一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認...

SCM

 

◆ 下請法を意識しよう

 物流会社が協力会社に仕事を委託する際に、気を付けなければならないことがあります。それは下請法で規定されている内容です。

 物流会社は一定規模の下請会社に仕事を発注する際「発注書」を発行しなければなりません。電話一本で発注することは問題となります。荷主会社が物流会社に輸送業務を発注する際にも似たようなしばりがありますが、こちらは下請法ではなく独占禁止法で規定されています。

 いずれにも共通していることは、発注側が強い立場を利用して、下請会社に無理難題を強いてはならないという思想です。俗にいう下請いじめは許されない、ということです。

 その下請法ですが、知らない人にとっては「ここまで細かく見られているのか」と驚くほどの制約があります。しかしこれは当然に義務として認識しなければならないのです。参考までに同法における親会社の4つの義務と11の禁止事項を挙げておきます。詳しくは公正取引委員会のホームページでご確認下さい。

 

◆下請法における親会社の4つの義務と11の禁止事項

【親会社の4つの義務】

  1. 書面の交付義務:発注の際は直ちに3条書面を交付すること
  2. 支払期日を定める義務 :下請代金の支払期日を給付の受領後60日以内に定めること
  3. 書類の作成・保存義務: 下請取引の内容を記載した書類を作成し2年間保存すること
  4. 遅延利息の支払義務: 支払が遅延した場合は遅延利息を支払うこと

 

【親会社の11の禁止事項】

  1. 受領拒否(第1項第1号):注文した物品等の受領を拒むこと
  2. 下請代金の支払遅延(第1項第2号):下請代金を受領後60日以内に定められた支払期日までに支払わないこと。
  3. 下請代金の減額(第1項第3号):あらかじめ定めた下請代金を減額すること。
  4. 返品(第1項第4号):受け取った物を返品すること。
  5. 買いたたき(第1項第5号):類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めること。
  6. 購入・利用強制(第1項第6号):親事業者が指定する物・役務を強制的に購入・利用させること。
  7. 報復措置(第1項第7号):下請事業者が親事業者の不公正な行為を公正取引委員会又は中小企業庁に知らせたことを理由としてその下請事業者に対して取引数量の削減・取引停止等の不利益な取扱いをすること。
  8. 有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号):有償で支給した原材料等の対価を当該原材料等を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に相殺したり支払わせたりすること。
  9. 割引困難な手形の交付(第2項第2号):一般の金融機関で割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。
  10. 不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号):下請事業者から金銭労務の提供等をさせること。
  11. 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号):費用を負担せずに注文内容を変更し又は受領後にやり直しをさせること。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 以上が下請法における親会社の4つの義務と11の禁止事項です。もしかしたら皆さんも思い当たる点があるかもしれません。そうであれば直ちに改善しましょう。お役所の調査が入ることも想定されますので、きちんとした対処が必要です。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCMの適切な評価指標 SCM最前線 (その11)

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...


サプライチェーン時代の歴史認識と戦略

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...


物流管理編 物流改善ネタ出し講座 (その11)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライチェーンマネジメントとは:物流実力値把握の重要性(その3)

  ◆ サプライチェーンという領域  サプライチェーンマネジメント、通称SCMですが、トラックでの輸送や倉庫での在庫保管という物流の重要機能から範...

  ◆ サプライチェーンという領域  サプライチェーンマネジメント、通称SCMですが、トラックでの輸送や倉庫での在庫保管という物流の重要機能から範...


物流現場での現場発信型改善は、考えさせ、変えさせる!  

  1. 物流現場の不便をすくい上げよう 物流現場を良くしていくためには作業者の方が普段感じていることをすくい上げることから始めるべきで...

  1. 物流現場の不便をすくい上げよう 物流現場を良くしていくためには作業者の方が普段感じていることをすくい上げることから始めるべきで...


パレット管理と容器管理、容器類を流出させるな、レンタルパレットとは

  1. 容器類を流出させるな 製品は容器に入れられていますし荷役時にはパレットを使うことが多いものと思います。物流というと輸送や倉庫に...

  1. 容器類を流出させるな 製品は容器に入れられていますし荷役時にはパレットを使うことが多いものと思います。物流というと輸送や倉庫に...