契約の委託内容とは 物流会社と荷主会社の役割(その3)

更新日

投稿日

 

◆ アウトソースで変わる役割

 荷主会社側の業務効率を向上させるためには、物流会社がタスクの幅を広げて対応するものだと考えても良いでしょう。例えば物流センターで荷主の棚別、そして陳列順に荷をそろえることが物流会社のタスクになることがあります。これは本来荷主がやるべき業務をアウトソースされていると考えれば良いでしょう。

 一方で契約内容があいまいなまま、荷主の構内に到着したトラックから荷主の建屋内にある棚に製品を入れる作業はいかがでしょうか。

 一般的な考え方ですが、荷降ろしとは荷主に到着したらトラックポートのそばに荷降ろしして終わり、と定義されるのではないでしょうか。その範囲を越えて棚入れ作業などを行う作業は、荷主会社の役割だと考えられると思います。もちろん、棚入れまでをアウトソース範囲と決め、その対価を払っている場合は物流会社の役割に変わることは言うまでもありません。

 スーパーのバックヤード業務や食品の加工業務などは荷主の役割ですが、これらも物流会社にアウトソースすることで物流会社の対応に役割が変わることになります。

 そもそも本来は物流会社と荷主会社のどちらがやるべきかを考えてみる必要があります。上記の様に役割が変わるということは、単に仕事をお金を払ってアウトソースしたからだと考えることができそうです。

 今後ビジネスを伸ばしていこうと考えられている物流会社は、このような「アウトソース対象」となりうる荷主のタスクを洗い出し、それを自社に取り組むことを考えていけば良いのです。肝心なことは荷主が本来やるべき業務を無償で物流会社にやらせることは避けなければならない、ということです。

 

 独占禁止法で荷主が物流会社に対して「やってはならないこと」が明示されています。荷主会社は自社がやるべきタスクについて認識しておく必要がありそう...

 

◆ アウトソースで変わる役割

 荷主会社側の業務効率を向上させるためには、物流会社がタスクの幅を広げて対応するものだと考えても良いでしょう。例えば物流センターで荷主の棚別、そして陳列順に荷をそろえることが物流会社のタスクになることがあります。これは本来荷主がやるべき業務をアウトソースされていると考えれば良いでしょう。

 一方で契約内容があいまいなまま、荷主の構内に到着したトラックから荷主の建屋内にある棚に製品を入れる作業はいかがでしょうか。

 一般的な考え方ですが、荷降ろしとは荷主に到着したらトラックポートのそばに荷降ろしして終わり、と定義されるのではないでしょうか。その範囲を越えて棚入れ作業などを行う作業は、荷主会社の役割だと考えられると思います。もちろん、棚入れまでをアウトソース範囲と決め、その対価を払っている場合は物流会社の役割に変わることは言うまでもありません。

 スーパーのバックヤード業務や食品の加工業務などは荷主の役割ですが、これらも物流会社にアウトソースすることで物流会社の対応に役割が変わることになります。

 そもそも本来は物流会社と荷主会社のどちらがやるべきかを考えてみる必要があります。上記の様に役割が変わるということは、単に仕事をお金を払ってアウトソースしたからだと考えることができそうです。

 今後ビジネスを伸ばしていこうと考えられている物流会社は、このような「アウトソース対象」となりうる荷主のタスクを洗い出し、それを自社に取り組むことを考えていけば良いのです。肝心なことは荷主が本来やるべき業務を無償で物流会社にやらせることは避けなければならない、ということです。

 

 独占禁止法で荷主が物流会社に対して「やってはならないこと」が明示されています。荷主会社は自社がやるべきタスクについて認識しておく必要がありそうです。

 繰り返しになりますが、荷主会社が自分たちのタスクを物流会社にやらせる場合には「対価」が必要だということです。発注者として優越的地位を乱用することは許されません。契約に委託内容を明記し、それに単価を設定することが求められるのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・

 いかがでしょうか。今やっている業務について本来ならどこがやるべき仕事なのか、今一度点検してみましょう。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
第3のSCM: 社会変革共創を前提とした唯一の戦略 

           1. 既存と異なるSCMを考える  前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...

           1. 既存と異なるSCMを考える  前回の「第3のSCM: 複雑系・安定・利益」では、需要か制約と同期させる既存以外のSCM...


スピードこそがサプライチェーンのコア・コンピタンス

 アウトソーシング先である社外をも含む人的・物的経営資源の同期的連動の巧拙が、生産財メーカーにとってのスピードを決めると言って良いでしょう。このとき生産財...

 アウトソーシング先である社外をも含む人的・物的経営資源の同期的連動の巧拙が、生産財メーカーにとってのスピードを決めると言って良いでしょう。このとき生産財...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その8)

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
部下育成と作業観察 物流技術標準と物流作業標準を設定する(その3)

       1. 作業要件一覧表、管理項目一覧表  作業要件一覧表を作成することで、物流監督者は自身の職場にどのような仕事があり、それをこな...

       1. 作業要件一覧表、管理項目一覧表  作業要件一覧表を作成することで、物流監督者は自身の職場にどのような仕事があり、それをこな...


  物流業務の内製化とアウトソース(その2)

  ◆物流管理と物流改善 メーカーでは製造や生産管理に詳しい人はいるものの、物流管理に詳しい人は少ないと思います。そもそも物流人財を育成...

  ◆物流管理と物流改善 メーカーでは製造や生産管理に詳しい人はいるものの、物流管理に詳しい人は少ないと思います。そもそも物流人財を育成...


グローバルサプライチェーンへの貢献(その2)

 前回のその1に続いて解説します。     1.発注、生産、出荷  4PL的な位置づけを狙うことができればこのグローバル化の時代、そして競争がタ...

 前回のその1に続いて解説します。     1.発注、生産、出荷  4PL的な位置づけを狙うことができればこのグローバル化の時代、そして競争がタ...