資源の有効活用 保管効率向上のコツ(その1)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ 倉庫容積率という考え方

 日本は国土が狭い影響を受けてか、物流に関するスペースも不足する傾向にあるようです。一時期海外との取り引きが拡大するにつれて港湾地区に集中立地する傾向にあった倉庫は、最近ではBCPの取り組みの一環として内陸部に建設されるようになる一方、都市部では多層階型の倉庫が一般的になってきました。

 高速道路のインターチェンジ付近は物流倉庫にとって一等地でもあります。なぜなら我が国にとって極力リードタイムを短縮して行う物流のニーズが高いため、トラック主体の輸送にならざるを得ないからです。

 物流倉庫のみならず、工場併設倉庫や工場建屋内倉庫についてもエリアは貴重だといえるでしょう。工場では倉庫エリアは原則として付加価値を生んでいない場所とみなされるため、エリア効率は重要ファクターとなるのです。

 先日、ある物流会社の方から相談がありました。「倉庫効率を向上させるためのKPIとして『倉庫容積率』はどれくらいが一般的か」という質問です。

 まずこのような意識の高さに驚いた次第ですが、極めて常用な考え方であるとも思いました。そうです。物流倉庫や工場倉庫ともに面積に対する使用率は気にしますが、その二次元にとどまらず、高さ方向も加味した三次元評価をしている会社はほとんど見かけません。

 倉庫の効率は「倉庫容積率」で評価することが妥当でしょう。この倉庫容積率は次の算式で求められます。

     倉庫容積率 = 保管貨物総容積 ÷ 倉庫総有効容積

 倉庫を水で満たした時の水の質量が倉庫総有効容積になります。保管貨物の容積は一つ一つの箱の容積をすべて足し合わせたものになります。この二つの比率を...

サプライチェーンマネジメント

◆ 倉庫容積率という考え方

 日本は国土が狭い影響を受けてか、物流に関するスペースも不足する傾向にあるようです。一時期海外との取り引きが拡大するにつれて港湾地区に集中立地する傾向にあった倉庫は、最近ではBCPの取り組みの一環として内陸部に建設されるようになる一方、都市部では多層階型の倉庫が一般的になってきました。

 高速道路のインターチェンジ付近は物流倉庫にとって一等地でもあります。なぜなら我が国にとって極力リードタイムを短縮して行う物流のニーズが高いため、トラック主体の輸送にならざるを得ないからです。

 物流倉庫のみならず、工場併設倉庫や工場建屋内倉庫についてもエリアは貴重だといえるでしょう。工場では倉庫エリアは原則として付加価値を生んでいない場所とみなされるため、エリア効率は重要ファクターとなるのです。

 先日、ある物流会社の方から相談がありました。「倉庫効率を向上させるためのKPIとして『倉庫容積率』はどれくらいが一般的か」という質問です。

 まずこのような意識の高さに驚いた次第ですが、極めて常用な考え方であるとも思いました。そうです。物流倉庫や工場倉庫ともに面積に対する使用率は気にしますが、その二次元にとどまらず、高さ方向も加味した三次元評価をしている会社はほとんど見かけません。

 倉庫の効率は「倉庫容積率」で評価することが妥当でしょう。この倉庫容積率は次の算式で求められます。

     倉庫容積率 = 保管貨物総容積 ÷ 倉庫総有効容積

 倉庫を水で満たした時の水の質量が倉庫総有効容積になります。保管貨物の容積は一つ一つの箱の容積をすべて足し合わせたものになります。この二つの比率を取って倉庫容積率を算出するのです。この考え方は「持ちうる資源を最大限活用できているか」という視点で見ることにあります。一方で世の中の倉庫を見てみますとそういった発想が欠けている気がしてなりません。

 有効高さ6mの倉庫に1mの高さで貨物を平置きしている倉庫をよく見掛けます。これでは資源の有効活用は全くできていないと考えられます。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
流れの速さでみる在庫時間とリードタイム

1.生産・出荷スピードと資材・製品在庫  ある電子機械メーカーでは、多品種の生産を機械部品加工、電子部品組み付け、組立て検査と別工場で行っています。検査...

1.生産・出荷スピードと資材・製品在庫  ある電子機械メーカーでは、多品種の生産を機械部品加工、電子部品組み付け、組立て検査と別工場で行っています。検査...


サプライチェーンにおけるポジショニング

 製造業再編の発生理由は、サプライチェーン上での存在意義をどうするかという、企業のポジショ二ングのし直しといって良いでしょう。   これまでの...

 製造業再編の発生理由は、サプライチェーン上での存在意義をどうするかという、企業のポジショ二ングのし直しといって良いでしょう。   これまでの...


レイアウトの考察 物流改善ネタ出し講座 (その9)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流現場改善:物流協力会社の育て方(その3)

  ◆ 物流現場改善  物流事業者の物流現場を取引開始前に見ておくことは重要です。さらにその会社の経営層の話を聞いておくことも必要な要素...

  ◆ 物流現場改善  物流事業者の物流現場を取引開始前に見ておくことは重要です。さらにその会社の経営層の話を聞いておくことも必要な要素...


物流作業の標準化 物流現場改善の成功のポイント(その2)

        物流現場の改善ノウハウ習得の前に必ず取り組んでいただきたいことがあります。それが「物流作業の標準化」です。残念ながらほとんどの物流現...

        物流現場の改善ノウハウ習得の前に必ず取り組んでいただきたいことがあります。それが「物流作業の標準化」です。残念ながらほとんどの物流現...


トラックの積載能力をフル活用 保有能力を目いっぱい使おう(その1)

        物流現場で、保有する能力を使いきっていないために本来得られるべき効率をムダにしてしまっている...

        物流現場で、保有する能力を使いきっていないために本来得られるべき効率をムダにしてしまっている...