オフショア開発の有効性

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1.オフショア開発とは

 ものづくりの世界で、オフショア開発(Offshoring)が注目を浴びています。オフショア開発とは、情報システムやソフトウェアの開発業務を、海外の会社に委託又は発注することです。ここで言う海外とは、主として、エンジニアの人件費単価や事業運営コストが日本よりも安い新興国です。 具体的な国名を挙げると、第一に中国、第二にインド、次に、ベトナム、ミャンマーなどです。
 
 日本企業の最大の課題は、開発コスト増大と人材難の2つです。日本人エンジニアの単価は増大の一途であり、かつ人材募集をしても即戦力レベルの人材に来てもらうことは困難です。日本国内で閉じて考えてしまうと、もはや事業の継続性すら危ぶまれる状況です。特に、余力の無い中小企業にとって切実な課題であり、オフショア開発の導入を具体的に検討しないと、生き残りが困難となるでしょう。
 

2.オフショア開発成功の鍵

 オフショア開発のポイントは「海外に丸投げしない」「意識合わせに注力する」「日本人側もスキルを向上する」ことです。海外と日本の橋渡し役を担う「ブリッジSE」という専門職を設けるのも一案です。
 
 オフショア開発の失敗は、突き詰めると異国間コミュニケーションの失敗であり、実は日本側の責任が大きいようです。例えば、外国人は空気や行間を読む習慣がないため、仕事の指示は明示的な形式で行うべきですが、日本人は曖昧な「ナアナア」で済ませがちです。また、日本人の「要件定義」や「検収」のスキルが未熟であるため、日本側からの指示が錯綜し、海外の会社が混乱に陥った事例もあります。
 
 更に、新興国のエンジニアは優秀だがプライドも高く、日本人が見下した態度を少しでも見せると、敏感に察知し反発に遭うことがあります。違う国同士なので差異は当然ありますが...

1.オフショア開発とは

 ものづくりの世界で、オフショア開発(Offshoring)が注目を浴びています。オフショア開発とは、情報システムやソフトウェアの開発業務を、海外の会社に委託又は発注することです。ここで言う海外とは、主として、エンジニアの人件費単価や事業運営コストが日本よりも安い新興国です。 具体的な国名を挙げると、第一に中国、第二にインド、次に、ベトナム、ミャンマーなどです。
 
 日本企業の最大の課題は、開発コスト増大と人材難の2つです。日本人エンジニアの単価は増大の一途であり、かつ人材募集をしても即戦力レベルの人材に来てもらうことは困難です。日本国内で閉じて考えてしまうと、もはや事業の継続性すら危ぶまれる状況です。特に、余力の無い中小企業にとって切実な課題であり、オフショア開発の導入を具体的に検討しないと、生き残りが困難となるでしょう。
 

2.オフショア開発成功の鍵

 オフショア開発のポイントは「海外に丸投げしない」「意識合わせに注力する」「日本人側もスキルを向上する」ことです。海外と日本の橋渡し役を担う「ブリッジSE」という専門職を設けるのも一案です。
 
 オフショア開発の失敗は、突き詰めると異国間コミュニケーションの失敗であり、実は日本側の責任が大きいようです。例えば、外国人は空気や行間を読む習慣がないため、仕事の指示は明示的な形式で行うべきですが、日本人は曖昧な「ナアナア」で済ませがちです。また、日本人の「要件定義」や「検収」のスキルが未熟であるため、日本側からの指示が錯綜し、海外の会社が混乱に陥った事例もあります。
 
 更に、新興国のエンジニアは優秀だがプライドも高く、日本人が見下した態度を少しでも見せると、敏感に察知し反発に遭うことがあります。違う国同士なので差異は当然ありますが、「同じ地球人だから、きっと分かり合える」という感覚くらいが丁度良いようです。海外人材の人間性を尊重し、相互の信頼に基づく対等なパートナーシップを築くことが、オフショア開発の成功の鍵です。オフショア開発の要点を下図のように、整理しました。
 
                      オフショア開発
 
 この文書は、 2016年3月31日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

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この記事の著者

坂東 大輔

技術士(情報工学部門)と通訳案内士(英語)の二刀流のEngineering SAMURAIが貴社のお悩みを一刀両断致します。

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