アクセス解析をビジネスに生かすには

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【連載目次】

 

 


 製造業のWebマーケティングの検証にアクセス解析は必須のスキルです。アクセス解析というとツールの操作方法や用語・テクニックに注目が集まりがちですが、ビジネスにアクセス解析を生かすには操作方法の習熟よりもっと大切な要点があります。
 

1. 求められるのはビジネスに詳しい人材

 
 「インターネットやPCに詳しい人をWeb担当にする」…。完全に時代遅れの考えです。ITに詳しい人よりビジネスに強い人がこれからのWeb担当の必須条件です。それが前提条件です。その上でビジネスにアクセス解析を生かす要点を解説します。
 

2.アクセス解析を理解する3つの質問

 
 参考書を読んでも専門用語が多くなかなか頭に入らない…、専門家に依頼する予算もない…。マーケティングの専門スタッフのいない中小製造業にはハードルが高いと思われがちですが実はそうではありません。アクセス解析はとても簡単。まずWebサイトを使って何がしたいのか?目標を決めることが第一歩。目標が曖昧な時は次の3つの質問に答えれば目標が定まります。
 
  • Q1.誰に見て欲しい?
  • Q2.何を伝えたい?
  • Q3.どんな行動をして欲しい?
 ◆以上、3つの質問でWebサイトの役割を明確にすればアクセス解析は簡単です。
 
 3つの質問への対応としては以下のとおりになります。
  • Q1.誰に見て欲しい      →ユーザー分析
  • Q2.何を伝えたい       →コンテンツ分析
  • Q3.どんな行動をして欲しい  →コンバージョン分析
 
   さらに【+one】として
 
  • Q4.ユーザーはどこから来たのか→トラフィック分析
 ◆3つの質問+oneでアクセス解析の基本が押さえられます。
 

3.データ分析の秘訣は「比較」

 
 3つの質問でアクセス解析の基本を押さえたら次はデータ評価です。秘訣は「比較」です。一つのデータだけでは、良いのか悪いのかを評価することは困難です。複数のデータを比較することで初めて評価でき、何をすればよいか判断が下せるのです。比較は「現在」「過去」「未来」が基本です。そして「ライバル」との比較でより実践的なデータ分析が行えます。図1、参照。
 
                                          web11
図1.データ分析
 
(1)現在
 まずは現状把握が肝心です。製造業をはじめとしたBtoBのサイトでは1年間のデータを使います。時系列で1か月ごとのデータを分析して季節変動や景気動向など自社特有の傾向があるかどうかトレンドをチェックします。
(2)過去
 1年間のデータを前年同期で比較します。その方が季節要因による誤差が少なくWebサイトの健康状態を把握するのに便利です。そうして数値の変化からサイトが成長しているのか?停滞しているのか?ユーザーの行動に変化が起こっていないか?など様々な考察を行います。
(3)未来(目標)
 目標との比較も重要です。目標未達ならば原因を探り対策を検討することもできます。Webサイトの目標がなければデータを見る視点も定まりません。アクセス解析をするにはコンバージョン設定を行い、数値目標を設定が必要です。
(4)ライバル
 「現状」「過去」「未来(目標)」の比較は社内で確実に行えます。しかし、ライバルとの比較は困難です。専門会社に依頼してライバルをモニタリングする必要があります。ライバル企業のアクセスデータの入手は不可能ですが、一般的なBtoBサイトのアクセス傾向ならば経験豊富な専門業者に教えてもらうことが可能。そして、社名やブランド名での検索回数と主要キーワードでの検索順位Googleインデックスページ数、会社情報(社員数や売り上げデータなど)を参考にライバルのアクセス傾向を推測します。

  現状のアクセスデータだけでは評価・分析はできません。過去データとの比較、目標とのギャップからはじめて課題がみえてくるのです。

 

 4.データ+生情報で良質な仮説を立てる

 
  生産財取引はWebサイトだけで完結することはありません。アクセス解析のデータだけでは課題解決のヒントは見つからないことがあります。だから現場の声に耳を傾ける必要があるのです。第一線の営業マンの生の声。お客様からの問合せに応対する営業事務の人の声。製品...

【連載目次】

 

 


 製造業のWebマーケティングの検証にアクセス解析は必須のスキルです。アクセス解析というとツールの操作方法や用語・テクニックに注目が集まりがちですが、ビジネスにアクセス解析を生かすには操作方法の習熟よりもっと大切な要点があります。
 

1. 求められるのはビジネスに詳しい人材

 
 「インターネットやPCに詳しい人をWeb担当にする」…。完全に時代遅れの考えです。ITに詳しい人よりビジネスに強い人がこれからのWeb担当の必須条件です。それが前提条件です。その上でビジネスにアクセス解析を生かす要点を解説します。
 

2.アクセス解析を理解する3つの質問

 
 参考書を読んでも専門用語が多くなかなか頭に入らない…、専門家に依頼する予算もない…。マーケティングの専門スタッフのいない中小製造業にはハードルが高いと思われがちですが実はそうではありません。アクセス解析はとても簡単。まずWebサイトを使って何がしたいのか?目標を決めることが第一歩。目標が曖昧な時は次の3つの質問に答えれば目標が定まります。
 
  • Q1.誰に見て欲しい?
  • Q2.何を伝えたい?
  • Q3.どんな行動をして欲しい?
 ◆以上、3つの質問でWebサイトの役割を明確にすればアクセス解析は簡単です。
 
 3つの質問への対応としては以下のとおりになります。
  • Q1.誰に見て欲しい      →ユーザー分析
  • Q2.何を伝えたい       →コンテンツ分析
  • Q3.どんな行動をして欲しい  →コンバージョン分析
 
   さらに【+one】として
 
  • Q4.ユーザーはどこから来たのか→トラフィック分析
 ◆3つの質問+oneでアクセス解析の基本が押さえられます。
 

3.データ分析の秘訣は「比較」

 
 3つの質問でアクセス解析の基本を押さえたら次はデータ評価です。秘訣は「比較」です。一つのデータだけでは、良いのか悪いのかを評価することは困難です。複数のデータを比較することで初めて評価でき、何をすればよいか判断が下せるのです。比較は「現在」「過去」「未来」が基本です。そして「ライバル」との比較でより実践的なデータ分析が行えます。図1、参照。
 
                                          web11
図1.データ分析
 
(1)現在
 まずは現状把握が肝心です。製造業をはじめとしたBtoBのサイトでは1年間のデータを使います。時系列で1か月ごとのデータを分析して季節変動や景気動向など自社特有の傾向があるかどうかトレンドをチェックします。
(2)過去
 1年間のデータを前年同期で比較します。その方が季節要因による誤差が少なくWebサイトの健康状態を把握するのに便利です。そうして数値の変化からサイトが成長しているのか?停滞しているのか?ユーザーの行動に変化が起こっていないか?など様々な考察を行います。
(3)未来(目標)
 目標との比較も重要です。目標未達ならば原因を探り対策を検討することもできます。Webサイトの目標がなければデータを見る視点も定まりません。アクセス解析をするにはコンバージョン設定を行い、数値目標を設定が必要です。
(4)ライバル
 「現状」「過去」「未来(目標)」の比較は社内で確実に行えます。しかし、ライバルとの比較は困難です。専門会社に依頼してライバルをモニタリングする必要があります。ライバル企業のアクセスデータの入手は不可能ですが、一般的なBtoBサイトのアクセス傾向ならば経験豊富な専門業者に教えてもらうことが可能。そして、社名やブランド名での検索回数と主要キーワードでの検索順位Googleインデックスページ数、会社情報(社員数や売り上げデータなど)を参考にライバルのアクセス傾向を推測します。

  現状のアクセスデータだけでは評価・分析はできません。過去データとの比較、目標とのギャップからはじめて課題がみえてくるのです。

 

 4.データ+生情報で良質な仮説を立てる

 
  生産財取引はWebサイトだけで完結することはありません。アクセス解析のデータだけでは課題解決のヒントは見つからないことがあります。だから現場の声に耳を傾ける必要があるのです。第一線の営業マンの生の声。お客様からの問合せに応対する営業事務の人の声。製品開発や製造効率の改善に取り組む技術者の声。これらの声をなるべく多く聞くことが大切です。そうすることで糸口が見つかることが多いのです。マーケティング担当者は営業や技術の担当者とコミュニケーションを取り、ワンランク上のアクセス解析を目指すべきです。データ+生情報で良質な仮説を立てることができます。
 
 

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この記事の著者

宮本 栄治

製造業、特に生産財専門のWebマーケティングコンサルタント

製造業、特に生産財専門のWebマーケティングコンサルタント


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