TRIZにおける技術進化トレンド

1. 技術進化トレンドとは

 TRIZのサブツールの一つに、すべての技術システムが客観的な法則に従って進化するというものがあります。Altshullerらは、一見無秩序なプロセスのように見える技術にも、図1のように規則的な進化のパターンがあることを見出しました。これらの法則は、技術システムの要素間、システムと環境との間で基本的に、安定して繰り返される相互作用の反映となっています。これらの相互作用は、技術システム進化の過程で現れます。 技術システム進化の法則は説明的な性格が強く、手段として用いるには不十分かもしれません。技術進化トレンドは、これらの客観的な法則に従い、システム要素の一般的な進化の方向を表します。図1には「1.新しい物質の導入」「3.モノ・バイ・ポリ・同質物」「8.可動性の向上」の3つの代表的進化トレンドを絵で示しました。

技術進化のトレンド
図1 Altshullerらの技術進化トレンド
 

2. 技術進化トレンド活用のポイント

 この法則は、商品の寿命サイクルやS字カーブと同じように、あるパターンに沿って進化していきます。技術進化のトレンドの方向性を把握することで、自分が開発している技術が現在はどの段階にあり、今後はどうなるか予測も可能となります。そしてそれをヒントとして、さらに新しい発明に結びつけることができるようになります。まだ現在は不可能な技術であっても、ブレイクスルーによって実現可能性が高くなります。それが革新的な技術につながれば良いわけです。

 進化パターンを構築する際には、情報の抽象化の度合いを判断することが大変重要です。あまり具体化し過ぎると、互いにほとんど差のない解決策となってしまいます。一方抽象化し過ぎて、あまりにも曖昧な解決策になってしまう傾向も見受けられます。
  

3. 技術進化トレンドの事例紹介

 例えば技術進化のトレンドの分かり易い事例として、「可動性の向上」を紹介します。ここでは建物の扉を切り口として、1枚戸、観音開き扉、アコーディオンドア、巻き上げドア、エアーカーテン、光カーテンへ進化するとしています。それをヒントに新しいアイデアを創出すればよいわけです。ただし、それらの進化トレンドが実際の商品化と一致しているかというと、必ずしもそうではないようです。ここで、図2のプリンターの進化トレンドを見てください。多くの人が違和感を覚えるのではないでしょうか。インクジェットプリンターが、レーザープリンターよりも早い時期に位置づけられています。これは、商品化時期と特許を考えた時期が異なるためと思われます。ということは、これらの進化トレンドの中に、まだ商品化されていない技術があるという可能性を示しているのかもしれません。

プリンター技術の進化トレンド

図2 プリンターの進化トレンド

 なおDarrell Mannらは、技術進化トレンドを拡張して次のような31種類を発表しています。

<Darrell Mannらの技術進化トレンド>

  1. 賢い適応性のある材料
  2. 空間の分割
  3. 表面の分割
  4. オブジェクトの分割
  5. マイクロからナノスケールへ
  6. 網目とファイバー
  7. 密度の減少
  8. 非対称性の強化
  9. 境界の除去
  10. 幾何学的進化...

1. 技術進化トレンドとは

 TRIZのサブツールの一つに、すべての技術システムが客観的な法則に従って進化するというものがあります。Altshullerらは、一見無秩序なプロセスのように見える技術にも、図1のように規則的な進化のパターンがあることを見出しました。これらの法則は、技術システムの要素間、システムと環境との間で基本的に、安定して繰り返される相互作用の反映となっています。これらの相互作用は、技術システム進化の過程で現れます。 技術システム進化の法則は説明的な性格が強く、手段として用いるには不十分かもしれません。技術進化トレンドは、これらの客観的な法則に従い、システム要素の一般的な進化の方向を表します。図1には「1.新しい物質の導入」「3.モノ・バイ・ポリ・同質物」「8.可動性の向上」の3つの代表的進化トレンドを絵で示しました。

技術進化のトレンド
図1 Altshullerらの技術進化トレンド
 

2. 技術進化トレンド活用のポイント

 この法則は、商品の寿命サイクルやS字カーブと同じように、あるパターンに沿って進化していきます。技術進化のトレンドの方向性を把握することで、自分が開発している技術が現在はどの段階にあり、今後はどうなるか予測も可能となります。そしてそれをヒントとして、さらに新しい発明に結びつけることができるようになります。まだ現在は不可能な技術であっても、ブレイクスルーによって実現可能性が高くなります。それが革新的な技術につながれば良いわけです。

 進化パターンを構築する際には、情報の抽象化の度合いを判断することが大変重要です。あまり具体化し過ぎると、互いにほとんど差のない解決策となってしまいます。一方抽象化し過ぎて、あまりにも曖昧な解決策になってしまう傾向も見受けられます。
  

3. 技術進化トレンドの事例紹介

 例えば技術進化のトレンドの分かり易い事例として、「可動性の向上」を紹介します。ここでは建物の扉を切り口として、1枚戸、観音開き扉、アコーディオンドア、巻き上げドア、エアーカーテン、光カーテンへ進化するとしています。それをヒントに新しいアイデアを創出すればよいわけです。ただし、それらの進化トレンドが実際の商品化と一致しているかというと、必ずしもそうではないようです。ここで、図2のプリンターの進化トレンドを見てください。多くの人が違和感を覚えるのではないでしょうか。インクジェットプリンターが、レーザープリンターよりも早い時期に位置づけられています。これは、商品化時期と特許を考えた時期が異なるためと思われます。ということは、これらの進化トレンドの中に、まだ商品化されていない技術があるという可能性を示しているのかもしれません。

プリンター技術の進化トレンド

図2 プリンターの進化トレンド

 なおDarrell Mannらは、技術進化トレンドを拡張して次のような31種類を発表しています。

<Darrell Mannらの技術進化トレンド>

  1. 賢い適応性のある材料
  2. 空間の分割
  3. 表面の分割
  4. オブジェクトの分割
  5. マイクロからナノスケールへ
  6. 網目とファイバー
  7. 密度の減少
  8. 非対称性の強化
  9. 境界の除去
  10. 幾何学的進化(線形):
  11. 幾何学的進化(体積的):
  12. 可動性の向上
  13. 作用の調整
  14. リズムの調整
  15. 非線形
  16. モノ・バイ。ポリ(類似物)
  17. モノ・バイ。ポリ(多様物)
  18. モノ・バイ。ポリ(差異の増大)
  19. 減衰の減少
  20. 諸感覚の利用
  21. 色彩の利用の向上
  22. 透明性の増大
  23. 顧客の購入の焦点
  24. 市場の進化
  25. 設計の観点
  26. 自由度の増大
  27. トリミング
  28. 制御性
  29. 人間の関与の減少
  30. 設計方法論
  31. エネルギー変換回数の減少


参考文献

Darrell Mann 他、TRIZ実践と効用(1)体系的技術革

◆関連解説『TRIZとは』

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この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

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