「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

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「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

【目次】

    製品トラブルの解決において、目に見える現象だけを追っても根本的な解決には至らない。今回は、特定の個体で繰り返された電話機の接点不良と、長期保管中に発生した製品腐食の二つの事例を引く。最新のガスクロマトグラフ質量分析装置等を用いた科学的検証に加え、日々の清掃習慣や梱包材の材質といった現場の微細な変化を徹底的に調査することで、いかにして「真の原因」を突き止め、再発防止へと繋げたかを解説する。

     

    1. キーボードの接触不良

    (1)背景

    交換機システムを納入した大手企業の部長様から「使い始めて半年で電話機のダイヤルキーが効かなくなった」とクレームが入った。直ぐに新品の電話機と交換したが、やはり半年で同じ症状が発生した。納入した企業様には同じ電話機を100台以上設置しているが、他の電話機は1年以上経過しても問題はなかった。

     

    (2)調査・解析

    障害品のダイヤルキー接点を観察したところ、異物が見られたのでガスクロマトグラフ質量分析装置で解析を行った。結果は図1.1に示すように、シロキサンによる接点障害と判明した。電子製品のスイッチやキーボードなどを家庭用洗剤(シリコーン系界面活性剤)などで清掃すると、表面に付着した界面活性剤のケイ素(Si)と酸素(O)が化学結合してシロキサンが発生し、接点不良を生じてしまうことから、現場の利用状況に...

    「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

    【目次】

      製品トラブルの解決において、目に見える現象だけを追っても根本的な解決には至らない。今回は、特定の個体で繰り返された電話機の接点不良と、長期保管中に発生した製品腐食の二つの事例を引く。最新のガスクロマトグラフ質量分析装置等を用いた科学的検証に加え、日々の清掃習慣や梱包材の材質といった現場の微細な変化を徹底的に調査することで、いかにして「真の原因」を突き止め、再発防止へと繋げたかを解説する。

       

      1. キーボードの接触不良

      (1)背景

      交換機システムを納入した大手企業の部長様から「使い始めて半年で電話機のダイヤルキーが効かなくなった」とクレームが入った。直ぐに新品の電話機と交換したが、やはり半年で同じ症状が発生した。納入した企業様には同じ電話機を100台以上設置しているが、他の電話機は1年以上経過しても問題はなかった。

       

      (2)調査・解析

      障害品のダイヤルキー接点を観察したところ、異物が見られたのでガスクロマトグラフ質量分析装置で解析を行った。結果は図1.1に示すように、シロキサンによる接点障害と判明した。電子製品のスイッチやキーボードなどを家庭用洗剤(シリコーン系界面活性剤)などで清掃すると、表面に付着した界面活性剤のケイ素(Si)と酸素(O)が化学結合してシロキサンが発生し、接点不良を生じてしまうことから、現場の利用状況について確認を行った。

       

      「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

      図1.1 異物解析

       

      電話機のダイヤルキーではスパークなどの故障発生は考えられないので、「普段、家庭用洗剤などでお掃除していますか」と問い合せると、「そのような物は使用してない」との回答であった。不振に思い現地調査を行ったところ、部長様の机が特別に綺麗になっていたので、部事務の女性に聞いたところ「毎朝、部長さんが出勤する前に掃除をしている」とのお話しであった。そこで普段使用している掃除用品を見せてもらったら、図1.2に示すような、成分に界面活性剤と表示してある家庭用洗剤があり、毎朝部長様の電話機もこれで掃除をしていることが判明した。

       

        「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

      図1.2 家庭用洗剤

       

      今後は、図1.3に示すような、界面活性剤を含まない情報機器専用クリーナーの使用して頂くようにお願いして、部長様にも理解して頂けた。

       

      「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

      図1.3 情報機器専用クリーナー

       

      2. 長期保存製品の腐食

      (1)背景

      段ボールで梱包した製品を空調設備のない倉庫に長期間保存した場合、その間庫内が高温状態になると梱包材(ダンボール)から硫化系アウトガスが発生して、製品を腐食する場合がある。また海外に生産工場を持ち、製品をコンテナ船で国内に輸送する際、長期間の船旅で熱帯地域を通過すると、使用した梱包材(ダンボール)から発生したアウトガスで製品に悪影響を与える事がある。この現象は再生紙を利用した梱包材(ダンボール)に発生するケースが多い。

       

      (2)定性/定量分析

      電子材料や製品などに含まれる微量不純物の成分分析を行う。製品の品質に悪影響を及ぼすようなガス分析はガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を使って分析する。図2.1のようなガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)は、GCでカラムを通過し、成分を分離定量でき、MS内部で質量スペクトルを測定する事によりその分離されたピークの定性を行う。質量数を選択して検出が行えることから高感度測定が可能で、揮発性化合物の分析に非常に有効な装置である。

       

      「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

      図2.1 ガスクロマトグラフ(GC/GC-MS)  

       

      使用している梱包材(ダンボール)から発生する硫黄系アウトガス分析により、梱包された製品への影響の有無を確認する。従来、梱包材(ダンボール)から発生する硫黄系ガスは硫化水素と二酸化硫黄と言われ、硫化水素がごく微量でも発生すると腐卵臭がする。しかし、再生紙などの材料からダンボールを使用した場合などで、そこから発生したアウトガスが硫化カルボニルであると臭気は少ないため、腐卵臭を感じない場合があり気が付かない事がある。図2.2にガスクロマトグラフ化学発光検出器GC/SCDを使用してダンボールのアウトガス分析を行ったグラフを示す。

       

      「真の原因」を追求する品質管理、接点障害と腐食問題から学ぶ現場調査と科学分析の要諦

      図2.2 ダンボール材のガスクロマトグラフ分析

       

      3. まとめ

      問題の直接的現象と真の原因は同じとは限らない。目先の現象に惑わされずに発生状況から1つ1つ要因を辿っていけば、必ず「真の原因」に行き着ける。そのためには商品の品質がしっかり確保されている事が基本となる。

       

       

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      この記事の著者

      芥 正二郎

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事


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