QFDを考える(その4) 全体最適を実現するQFD

1.「鳥の目」と「虫の目」とQFD

 「鳥の目」は、 鳥が高い場所から広い範囲を見渡す目で、「俯瞰」とか「鳥瞰」ともいわれています。それに対して「虫の目」は、虫が近くの対象物を詳しく見る目という意味で用いられます。「鳥の目」はマクロの見方、 「虫の目」はミクロの見方と言えます。

 QFD(品質機能展開の立場で見れば、「鳥の目」は開発する製品全体を見渡す目であったり、経営全体を見渡し全体最適を考える視点であったりします。「虫の目」は製品開発の肝になる技術について詳細に論じたり、現場を分析し具体的な問題点を明らかにする視点などと考えられます。

 まず、「鳥の目」で製品や企業内外の情報をチェックし、その関連性から全体最適を勘案します。その後、「虫の目」を使い、現場をファシリテートしながら製品や業務を分析し理想的な解を導き出します。
 システム開発の分野では、開発の全体像を理解している方は少ないのが現状です。ソフトウエアという成果物が目に見えないことに加え、サブシステムやモジュール間のつながりを理解していない状態での開発が、どれだけメンバー間のコミュニケーションを膨大なものにするかお分かりでしょう。開発メンバーにアーキテクチャを説いて回るよりも、顧客要求と仕様の関連を示した品質表を用いて全体の共有化を図った方が実践的であることは、QFDがシステム開発でも使われていることが証明しています。

 QFDは全体を俯瞰する右脳と、部分を深堀りする左脳とを同時に使う、本来の脳の活動にマッチした使い方が可能で、いろいろな業種の企業で活用されています。
 

2.「全体最適」と「部分最適」とQFD

QFDで設計したJAXAロケットエンジン
 いまでは世界のあらゆるモノづくりの現場で「KAIZEN」を耳にします。しかし「やってはいるけれど、効果が薄い」との声を耳にすることもあります。近年のモノづくりは、高度の専門性を必要とし、プロセスやステップも複雑になってきました。以前のQC活動のような現場レベルでの改善案だけでは、効果のある結果が期待できません。かつては部分的にでも変化を加えれば効果が上がっていましたが、現在それでは通じなくなりました。つまり、「部分最適」から「全体最適」を目指さなければならない時代になっているのです。

  “選択”と“集中”を行なう場合でも、まず全体を見渡さなければなりません。その上でどの部分が重要かを選択し、そこにリソースを集中させます。QFDは、その意味でも“全体”と“部分”をいつでも行き来できる優れた方法です。

 例えばこのところ連続して打ち上げに成功しているJAXAでは、ロケットエンジン(ターボポンプ)の独自技術開発に関して、QFDが “技術の展開”に使われました。

QFD


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この記事の著者

國枝 麿

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