
金属材料の基礎知識として欠かせないのが、合金の「状態図」です。状態図は、合金の組成と温度に応じてどのような相(液体や固体など)が存在するかを示す地図であり、材料の性質や加工法を理解するための基盤となります。特に、冷却や加熱の過程で、液相と固相といった二つの相が共存する領域を通過する際、それぞれの相がどれだけの「量」存在し、その「組成」がどうなっているのかを知ることは非常に重要です。この量的割合を正確に導き出すために利用されるのが、「てこの原理(Lever Rule)」として知られる巧妙な計算手法です。今回は、全率固溶型の二元合金を例に取り、特定の温度における液相と固相の量的割合、そしてそれぞれの相に含まれる成分(組成)を、状態図とてこの原理を用いて具体的に計算する方法を、段階を追ってわかりやすく解説していきます。これは、合金の微細構造と特性を深く理解するための第一歩...










