【快年童子の豆鉄砲】(その122)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(9)

 

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その121)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(8)からの続きです。

 

3.3ラウンド(3R:自主自立活動)の進め方

1)はじめに

このラウンドは、QCサークル活動スパイラルアップ戦略の最終段階、即ち、サークルが、自主自立体制の下での活動が出来ている状態で、その結果、図97-3が示すように「機能する職場の分担」が成立している状態です。この図のポイントは、職場のアウトプットを担当する作業者の担当域(白色部分)は、決められた通りに出来ない時の修正作業( 部分)があって初めてクリアでき、その修正作業は、作業者で形成されるQCサークルが担当するのが最もふさわしいことを示している点です。そして、作業者が担当業務をきちんと実施すれば、職場の日常業務に問題が起こらないので、職場の現場責任者やスタッフ・管理者は、本来業務である職場の維持改善に専念できますので、機能する分担が成立することを示しているのです。

 

図97-3.機能する分担

 

2)サークルの自主自立活動体制成立の要件

3Rの活動は、サークルが自主自立活動体制にあることが必須なのですが、その体制が成立する要件は、サークルに「実力向上サイクル」が存在することです。

 

どういうことかと言いますと、2Rのレベルの高い活動の中で、職制から受けた指導内容が活動を劇的に効果あるものにした経験を通じて「知識の重要性を認識」し、知識習得のための「勉強の大切さ」を知ることにより「勉強する」ようになったことで「実力が付き」活動が「効果的」になり「成果が上がり」さらに「勉強する」と言うサイクルです。

 

このサイクルが軌道に乗って来ると、職場内や会社の評価では満足できなくなりますので、社外の大会に挑戦したり、社外の研修に参加したりする機会を設けることにより「実力向上サイクル」のレベルアップを図るのがいいと思います。

 

3)目標の設定

3Rの活動が軌道に乗ってきますと、QCサークル活動が、職場の改善活動の一翼を担うことが出来るようになりますので、活動目標については、常に職制と相談の上、設定するようにします。

 

4.QCサークル活動スパイラルアップ戦略のまとめ

以上、100年企業を目指す中小企業にとって、QCサークル活動がいかに必要かについて、トップマネジメント、ミドルマネジメント、社員の立場から...

、そして、経営の核心ともいえるTQM推進という観点から、ご説明したのですが、一番重要な点は、QCサークル活動を通じて“社員の働き甲斐”、その延長線上で“生き甲斐”を担保しようとしている点です。

 

これは、中小企業が抱える喫緊の課題の中でも深刻な「離職率が高い」について「自己実現を実感できる場がない」という観点から取り組んだ結果だからと言えます。

 

特に重要な点は、このような理由での退職者は、非常に優秀な人材と言えますので、そのような社員が、このQCサークル活動を通じて、企業の改善・改革の一翼を担う中で、働き甲斐、ひいては、生き甲斐を感じ、自身の成長を実感することが出来ることを目指しているということです。

 

これは非常に重要なことであるにもかかわらず、体系的な活動体制設計がなされてこなかったように思って挑戦した結論ですので、ぜひ取り組んで頂ければと思います。ご説明した内容は、実体験をベースにしたものですが、実際に取り組まれる場合、各企業独自の問題もあると思われますので、その都度ご相談頂ければと思います。

 

 

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