顧客と競合と市場のサプライチェーン三角関係

 重要なのは顧客のデマンドチェーンやバリューチェーンである、と説くまでならよいですが、サプライチェーンは供給者の論理にすぎないとの行き過ぎた説を見かけることがあります。しかしデマンドチェーン概念の意味自体に疑問を持たざるをえません。これは同じ物をどちらから見るかの問題であり、デマンドとサプライはコインの両サイドだからです。

 需要(デマンド)の連鎖は発注情報伝達の連鎖だけです。一方、供給業務の連鎖は意味が明確で、デマンドを連鎖させずに最終ユーザーに直結させる重要な点があります。

 勝ち残りの手段は、競合相手より高い満足度で市場における顧客のデマンドを、どんなもの(製品戦略)をどんな方法でどんな価格で供給するか(サプライチェーン)について決定することにあります。一律に定義できないものが経営のベストプラクテスなのです。

 生き残る企業でも無限のライフサイクルをもつことは決してあり得ません。サプライチェーン上において物流量が限られているか、もしくは減少する時代、すなわちGNPが増大し続けることが当然ではなくなった現代において、生き残れるかどうかの分かれ目に必要な認識は、自社に物と金が流れるかどうかということです。

 サプライチェーン上におけるベストプラクテスの「ベスト」の定義は、市場でゲームに参加しているプレーヤーの技の相対的優位性で決まります。サッカーや野球のゲームで競争相手よりも下手であれば、以前よりうまくなっても勝てないのと同じです。財務ベンチマーキングに表示される、財務状態に最終的な企業の勝敗が表されます。

 サプライチェーン上で三角関係になっている競争相手と顧客と自社を右図に示しま...

した。最近のインターネットなどの情報ネットワーク技術を駆使することで実行可能となるサプライチェーン時代に対応したスピード経営が求められています。経営戦略の出発点は、どんな製品をどんな方法で提供できるかを、わがままで気まぐれな顧客(読者は御自身のことを考えれば納得されるでしょう)を対象に検討するところにあります。
◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』

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