内容が明確に伝わる技術文書の書き方(その6)

 

【この連載の前回:内容が明確に伝わる技術文書の書き方(その5)へのリンク】 

下図の「内容が明確に伝わる技術文書の書き方第1原則」は、技術文書を書くうえで最も重要な原則です。そこで、3回にわたって、書き方の第1原則の考え方に関係したことを解説します。今回は、書き方の第1原則の考え方に関する解説の3回目です。

 

 

1.「自分は大丈夫だ」と思う考え方

私の叔母は、振り込め詐欺の被害に遭いそうになりました。危うく大金を騙し取られるところでした。以前から、「私は、騙されない」と家族に言っていたそうです。また、知人の高齢のお父さんは、運転免許証の自主返納に対する家族の説得を無視していました。しかし、軽微な接触事故を起こしたことから運転免許証を自主返納しました。

 

どちらにも共通しているのは「自分は大丈夫だ」と思う考え方です。

 

私の叔母は、「自分は振り込め詐欺の被害などには遭わない」という「自分は大丈夫だ」と思う考え方でした。知人の高齢のお父さんは、「自分は交通事故など起こさない」という「自分は大丈夫だ」と思う考え方でした。これらは、私の叔母や知人のお父さんの「一方的な思い込み」です。

 

2.一方的な思い込み

例えば、業務報告書を書いたときにはその内容を確認します。このとき、「業務の成果をすべて書いているか、抜けていることはないか、誤字はないか」のように書き手の立場で業務報告書の内容を確認すると思います。読み手の立場で、「この業務報告書で読み手に業務報告書の内容が明確に伝わるか?」のような確認はしないと思います。

 

これは、業務報告書を書く人(書き手)が、「業務報告書を読む人(読み手)も業務報告書の内容を自分と同じように理解するだろう(理解できるだろう)」ということを一方的に思い込んでいるからです。また、「書き手とは“知っている人”、読み手とは“知らない人”」を認識していないからです。

 

このような一方的な思い込みは、私の叔母や知人の高齢のお父さんのように、「自分は大丈夫だ」と思う一方的な思い込みと共通した考え方です。

 

繰り返しになりますが、書き方の第1原則は、内容が明確に伝わる技術文書を書くうえで最も重要な原則です。技術文書を書くときには、読み手のことを頭の中に浮かべ、知らない人...

(読み手)の立場に立ち、知らない人(読み手)の立場で読むことを考えて技術文書を書いてください。

 

次回に続きます。

 

【参考文献】

森谷仁著、「マンガでわかる技術文書の書き方」、オーム社、令和4年3月25日

 

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