ハニカム構造とは? 特徴・用途について解説

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ハニカム構造

 

ミツバチの巣に見られる六角形の集合体は人々の関心を集めてきました。六角形の集合体の構造をハニカム構造といい、最小の材料で、最大の体積を作り上げることができます。この巣は、ミツロウからできていますが、構造上、耐久性と貯蔵性に優れています。蜂は丸い巣を作っているだけで、隣り合う巣が増えることで、六角形になると考えられています。

 

蜂の巣が作られる過程ですが、まず、中心に巣を一つ作ります。この時の巣は丸ですが、その丸い巣に同じような巣を連結すると、周囲に6つの巣を作ることができます。そしてこの時に自然に接している部分が直線になり、結果として六角形となるのです。進化の過程でミツバチはハニカム構造を作製する能力を獲得したと考えられていますが、このような精緻な構造を、蜂がどのようにして作るのかは明らかではありません。今回は、ハニカム構造の概要を解説します。

◆関連解説

 

1.  ハニカム構造とは

ハニカム構造とは隙間なく正六角形が集まった構造体です。航空機用構造材料として開発され、その軽量・高剛性は一般産業用途にも広く用いられています。ハニカムは第2次世界大戦中のイギリスにおいて航空機の軽量化目的に初めてペーパーハニカムが開発されて、機体の尾翼に用いられました。

 

ハニカムは、一般的には表面板との接着構造によるサンドイッチ構造の芯材と して多様な要求に応えながら進化しました。炭素繊維強化プラスチックスに代表される先端複合材料等の表面板や高性能接着剤、成形加工技術の発展を背景 にハニカム構造材は、その性能を飛躍的に向上させて適用範囲を拡大してきました。

 

2.  ハニカム構造の利点

ハニカムサンドイッチ構造は、単位重量当たりの強度・曲げ剛性において他の構造よ り優れるため構造体全体の軽量化が図れます。軽量で高剛性という特性に加え、ハニカム構造には次のような利点があります。

 

【衝 撃 吸 収 性】

サンドイッチ構造は厚み方向に圧縮荷重を受けた場合、ハニカムが潰れて一定 の荷重を保ちながら座屈していくため優れた衝撃エネルギー吸収特性を示しま す。

 

【表 面 平 滑 性】

ハニカム構造は優れた表面平滑性を得ることができますが、これは、接着による一体構造のためです。また、外観も美しく高い商品性を得ることができます。

 

【疲 労 特 性】

表面板とハニカムが接着で一体化されたサンドイッチ構造は、ボルトやリベットによる機械結合に比べ部分的な応力集中がなく疲労性に優れます。

 

【断 熱 性】

ハニカムサンドイッチ構造は体積にして95%以上の空気層を内在しています。そ の空気層が一つ一つ独立した無数のセルとなっているため空気の対流が防げて結果として断熱性に優れます。

 

3. ハニカム製品の種類・利用用途

 

(1)アルミハニカム

 

アルミハニカムはアルミ箔をハニカム構造に成形したものです。特徴は、他の金属材料に比べ比重が軽く、耐食性に優れていることです。その用途は、輸送機器、航空・宇宙、反射鏡、建築材など様々な用分野に利用されています。

 

(2)ペーパーハニカム

 

ペーパーハニカムはクラフト紙などをハニカ...

ハニカム構造

 

ミツバチの巣に見られる六角形の集合体は人々の関心を集めてきました。六角形の集合体の構造をハニカム構造といい、最小の材料で、最大の体積を作り上げることができます。この巣は、ミツロウからできていますが、構造上、耐久性と貯蔵性に優れています。蜂は丸い巣を作っているだけで、隣り合う巣が増えることで、六角形になると考えられています。

 

蜂の巣が作られる過程ですが、まず、中心に巣を一つ作ります。この時の巣は丸ですが、その丸い巣に同じような巣を連結すると、周囲に6つの巣を作ることができます。そしてこの時に自然に接している部分が直線になり、結果として六角形となるのです。進化の過程でミツバチはハニカム構造を作製する能力を獲得したと考えられていますが、このような精緻な構造を、蜂がどのようにして作るのかは明らかではありません。今回は、ハニカム構造の概要を解説します。

◆関連解説

 

1.  ハニカム構造とは

ハニカム構造とは隙間なく正六角形が集まった構造体です。航空機用構造材料として開発され、その軽量・高剛性は一般産業用途にも広く用いられています。ハニカムは第2次世界大戦中のイギリスにおいて航空機の軽量化目的に初めてペーパーハニカムが開発されて、機体の尾翼に用いられました。

 

ハニカムは、一般的には表面板との接着構造によるサンドイッチ構造の芯材と して多様な要求に応えながら進化しました。炭素繊維強化プラスチックスに代表される先端複合材料等の表面板や高性能接着剤、成形加工技術の発展を背景 にハニカム構造材は、その性能を飛躍的に向上させて適用範囲を拡大してきました。

 

2.  ハニカム構造の利点

ハニカムサンドイッチ構造は、単位重量当たりの強度・曲げ剛性において他の構造よ り優れるため構造体全体の軽量化が図れます。軽量で高剛性という特性に加え、ハニカム構造には次のような利点があります。

 

【衝 撃 吸 収 性】

サンドイッチ構造は厚み方向に圧縮荷重を受けた場合、ハニカムが潰れて一定 の荷重を保ちながら座屈していくため優れた衝撃エネルギー吸収特性を示しま す。

 

【表 面 平 滑 性】

ハニカム構造は優れた表面平滑性を得ることができますが、これは、接着による一体構造のためです。また、外観も美しく高い商品性を得ることができます。

 

【疲 労 特 性】

表面板とハニカムが接着で一体化されたサンドイッチ構造は、ボルトやリベットによる機械結合に比べ部分的な応力集中がなく疲労性に優れます。

 

【断 熱 性】

ハニカムサンドイッチ構造は体積にして95%以上の空気層を内在しています。そ の空気層が一つ一つ独立した無数のセルとなっているため空気の対流が防げて結果として断熱性に優れます。

 

3. ハニカム製品の種類・利用用途

 

(1)アルミハニカム

 

アルミハニカムはアルミ箔をハニカム構造に成形したものです。特徴は、他の金属材料に比べ比重が軽く、耐食性に優れていることです。その用途は、輸送機器、航空・宇宙、反射鏡、建築材など様々な用分野に利用されています。

 

(2)ペーパーハニカム

 

ペーパーハニカムはクラフト紙などをハニカム構造にしたものです。特徴は、低価格で、リサイクル性に優れ、軽量なため取り扱いが簡便、用途により選択できるセルサイズが豊富なことです。用途は、建築材、家具材、梱包用品の芯材など幅広く利用されています。

 

(3)アラミドハニカム

 

アラミドハニカムはアラミド紙をハニカム構造に成形したものです。特徴は、衝撃に強く、耐久性や耐火性・耐薬品性・柔軟性にも優れていることです。用途は、輸送用機器、航空宇宙、スポーツ用品などです。特に航空機分野ではアルミハニカムに替わって需要が伸びています。

 

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この記事の著者

二川 真士

民生品から半導体製造装置まで幅広い分野の開発・設計経験を基に、様々な製造方法に適した製品開発と製造工程の課題解決をお手伝いします!

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