付帯設備の診断-2 クリーン化について(その73)

 

 

付帯設備もいろいろなものがあります。これらはクリーンルームや生産設備を支える重要なものですが、ともすると忘れがちな部分です。これも正常に機能しているかをチェック、診断しておく必要があります。今回は、付帯設備の診断の続き、③蝶番について説明します。

 

1.エアシャワーの診断着眼点

 

(1)ドアについて

 

③蝶番

ドアの開閉は蝶番(Hinge)を軸にして行われます。

 

 

上図により、解説します。使用頻度の多い、つまり人通りの多いところのドアの蝶番は劣化が速い。設備診断のところで触れたが、これも摺動部発塵である。ものが擦れるところでは発塵があるということ。

 

そして上図のように蝶番の反対側に傾くことが多い。逆に傾くことは稀である。ドアによっても違うが、蝶番の数は2個から5個ついている。

 

ドアが傾くとドアの角と枠が擦れ、金属粉や塗装粉が落下する。これらは重いので落下する。エアシャワー内やドアの外にも落ちる。さらにドアを開閉することで発生する風により広範囲に拡がる。さらに、台車の車輪や靴底に付着し運ばれる。

 

劣化が進むと、蝶番の中にある軸も変形し、蝶番から金属粉やグリスの粉が発生し、落下、飛散する。

 

【事故事例】

ドアの劣化が進み、傾きが大きくなってきた。そろそろ修理しないといけないと言っていた矢先、ある作業者がドアを開けようとしたところ、ドアごと落ちて来た。ドアを開けるつもりだったので、ドアごと落ちてくることは予想外、本人はかなりびっくりしたと、という例です。幸いにも足の上に落ちなかったので、大事には至らなかった。

 

ドアが取れてしまうと、そちら側にエアシャワーの風が吹き出し、ゴミも吹き出す。従ってエアシャワーも停止させなければいけない。日ごろから大勢の人が見ているので、ドアの劣化に気が付いている人も多いだろう。しかし、気が付いていても、“このまま放置しておくとどうなるのか、その先を考える”人が少なかった。

 

作業者だけでなく、管理、監督者も通行の機会はあるはずなので、いずれも問題意識が足りなかったか、気が付かなかったのかという問題もある。付帯設備は、生産設備ではないので重要だという意識が低いが、それぞれ重要な役割を担っていることを認識したい。現場に入る時は、色々なことに着眼して欲しい。

 

気が付くかどうかは、日頃からどのように現場を見ているのかにもよる。気がついても誰かが言うだろう、やるだろうというひとごとで済ませているのかも知れない。危機意識、当事者意識を持つように心がけたい。それができて初めて、予防保全に繋がるのです。

 

二次更衣室のドア、クリーンルームの中の設備にも蝶番が付いている。同じ目で他を見る、水平展開してみると多くのことに気づくでしょう。そして観察する行動に繋げて欲しい。

 

現場だけでなく、事務室、会議室などにもドアはある。これらは大丈夫かという風に拡げてみることができる。そんな想像力も養っておきたい。会社に行った時だけでなく、日常の生活の中にもその機会は多々ある。いろいろな気づきを養う場にしたい。

 

例えば、自宅には三面鏡(化粧台)をお持ちの方も多いでしょう。これは、前面を両側に開くと正面の鏡も含め三面になる。先ほどのドアの絵のように、蝶番と反対側に傾く傾向がある。すると、閉じる時、鏡の上部同...

士がぶつかるようになる。下には隙間があるが、上に行くに従い隙間が少なくなる。そして一番上は擦れている。ということはないでしょうか。

 

キッチンにも同じような扉を持つものが多い。なお、上と下の2点で挟み回転させているタイプもある。比較的重い扉の開閉に使われているが、扉の重量により、徐々に下がり、床に接触することがある。その場合、床に扉の開閉の跡(丸い跡)が付くが、足元であり気づくのが遅れることもある。色々なことを考えながら行動すること、つまり考動である。

 

次回に続きます。

 

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