トライボロジーとは?省エネ・省資源に貢献する重要なキーワード

トライボロジー

 

省エネ・省資源が重要なキーワードである現代において、摩擦や摩耗を減らすことはエコロジーと直結した切実な課題です。摩擦や摩耗の低減は、トライボロジーという分野で研究されています。この解説では、省エネ・省資源に貢献するトライボロジーの概要について述べます。

 

1.トライボロジーとは

 

トライボロジーとは潤滑、摩擦、摩耗、焼付き、軸受設計などを包括した「相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう二つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学と技術」です。トライボロジーの科学と技術は機械や部品の低摩擦、低摩耗、表面損傷の低減を実現し、私たちの社会の省エネルギーおよび省資源に貢献しています。

 

 語源:トライボロジー“tribology”とは、“擦る”を意味するギリシャ語“tribos”と、学問を意味する“ology”とをつなぎ合わせた造語。英国教育科学省による、英国における潤滑に起因する経済的損失の調査と産業界へのその必要性の提案を行うための報告書の中で、1966年3月9日に始めて提唱された(引用:一般社団法人 日本トライボロジー学会、ホームページから)。

 

2.トライボロジーの研究

 

トライボロジーは、機械部品が直接、あるいは液体、気体の膜を介して接触する場合の現象を対象とする工学の学際的分野です。歴史的には機械の摩耗による損失が大きな金額になることが報告されることにより、その重要性が認識されました。

 

対象となる具体的な部品は軸受、カム、歯車、車、エンジン部品、各種ロールなど多岐にわたりますが、その様々な解法開発において、計算によって解ける分野は限られています。ピッチング、スポーリングなどの表面破壊にいたるメカニズム、転動荷重による急激な断熱圧縮による流体膜の相転移による影響などは、解明されていない分野のものです。

 

3.トライボロジーと潤滑

 

トライボロジーは極めて広い分野を含んでいる概念です。対象となるのは機械に限らず、自然現象や生体まで広い範囲に及んでいます。一方、潤滑という言葉は、機械の摩擦を低減させる技術という機械工学に関連した分野にとどまった概念です。

 

技術としてのトライボロジーの基本的な無次元パラメータは、圧力×速度のPV値と粘度×回転速度/圧力のゾンマーフェルト数S であり、パラメータとして速度以外が決定されているとき、PV値が速度を上げていったときに材料が損傷し始める速度の上限を与え、ゾンマーフェルト数Sが流体潤滑が維持できる速度の下限を与えます。

 

これらに関連する事柄は多くあり、接触状態、雰囲気、材料特性、運動状態、潤滑状態などに考慮が必要です。対象材料は、流体潤滑における自己潤滑材料や金属、セラミックス、樹脂材料などが領域となります。

 

特に過酷な条件下にさらされるトライボロジーとしては、金型・切削加工で、工具鋼を加工材質として、鉄鋼・非鉄金属などの被加工材を造形する加工が上げられます。

 

4.トライボロジー試験とは

 

金属材料の摩擦摩耗を評価する指針の一つに摩擦係数がありますが、これは、2つの部材をこすりあわせた時の摩擦の度合いを示す値です。一般的に鉄と鉄をこすると摩擦係数は約0.8と高い値を示しますが、氷とスケートの金具間では0.01以下と低い値を示します。

 

このように摩擦する材料が変わると摩擦係数も変化します。摩擦係数の低い組合せを選択することで摩耗による損傷を減らすことができるため、企業などでは製品設計時に摩擦係数の試験データを利用します。

 

ボールオンディスク型の...

トライボロジー

 

省エネ・省資源が重要なキーワードである現代において、摩擦や摩耗を減らすことはエコロジーと直結した切実な課題です。摩擦や摩耗の低減は、トライボロジーという分野で研究されています。この解説では、省エネ・省資源に貢献するトライボロジーの概要について述べます。

 

1.トライボロジーとは

 

トライボロジーとは潤滑、摩擦、摩耗、焼付き、軸受設計などを包括した「相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう二つの表面の間におこるすべての現象を対象とする科学と技術」です。トライボロジーの科学と技術は機械や部品の低摩擦、低摩耗、表面損傷の低減を実現し、私たちの社会の省エネルギーおよび省資源に貢献しています。

 

 語源:トライボロジー“tribology”とは、“擦る”を意味するギリシャ語“tribos”と、学問を意味する“ology”とをつなぎ合わせた造語。英国教育科学省による、英国における潤滑に起因する経済的損失の調査と産業界へのその必要性の提案を行うための報告書の中で、1966年3月9日に始めて提唱された(引用:一般社団法人 日本トライボロジー学会、ホームページから)。

 

2.トライボロジーの研究

 

トライボロジーは、機械部品が直接、あるいは液体、気体の膜を介して接触する場合の現象を対象とする工学の学際的分野です。歴史的には機械の摩耗による損失が大きな金額になることが報告されることにより、その重要性が認識されました。

 

対象となる具体的な部品は軸受、カム、歯車、車、エンジン部品、各種ロールなど多岐にわたりますが、その様々な解法開発において、計算によって解ける分野は限られています。ピッチング、スポーリングなどの表面破壊にいたるメカニズム、転動荷重による急激な断熱圧縮による流体膜の相転移による影響などは、解明されていない分野のものです。

 

3.トライボロジーと潤滑

 

トライボロジーは極めて広い分野を含んでいる概念です。対象となるのは機械に限らず、自然現象や生体まで広い範囲に及んでいます。一方、潤滑という言葉は、機械の摩擦を低減させる技術という機械工学に関連した分野にとどまった概念です。

 

技術としてのトライボロジーの基本的な無次元パラメータは、圧力×速度のPV値と粘度×回転速度/圧力のゾンマーフェルト数S であり、パラメータとして速度以外が決定されているとき、PV値が速度を上げていったときに材料が損傷し始める速度の上限を与え、ゾンマーフェルト数Sが流体潤滑が維持できる速度の下限を与えます。

 

これらに関連する事柄は多くあり、接触状態、雰囲気、材料特性、運動状態、潤滑状態などに考慮が必要です。対象材料は、流体潤滑における自己潤滑材料や金属、セラミックス、樹脂材料などが領域となります。

 

特に過酷な条件下にさらされるトライボロジーとしては、金型・切削加工で、工具鋼を加工材質として、鉄鋼・非鉄金属などの被加工材を造形する加工が上げられます。

 

4.トライボロジー試験とは

 

金属材料の摩擦摩耗を評価する指針の一つに摩擦係数がありますが、これは、2つの部材をこすりあわせた時の摩擦の度合いを示す値です。一般的に鉄と鉄をこすると摩擦係数は約0.8と高い値を示しますが、氷とスケートの金具間では0.01以下と低い値を示します。

 

このように摩擦する材料が変わると摩擦係数も変化します。摩擦係数の低い組合せを選択することで摩耗による損傷を減らすことができるため、企業などでは製品設計時に摩擦係数の試験データを利用します。

 

ボールオンディスク型のトライボメータはトライボロジー試験機器の中でも、日本工業規格に採用されている一般的な試験機です。この試験機は、一定荷重F(1~10N)でφ6mmのボール材と試験片を接触させて母材側に半径rの円を描くように一定速度で回転させます。このことでボールとの抵抗力を測定して摩擦係数を算出します。ボールオンディスク型のトライボメータのボールは、焼入鋼・ステンレス鋼・アルミニウム合金を標準で準備していますが、それ以外のボールも対応可能です。

 

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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

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