自社の存在価値 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その116)

 

ここまでずっと、「思考を構成する2つの要素」のうちの「思い付く」、そしてさらにその「思い付く」の2つ要素の内の知識や経験を「整理するフレームワーク」を解説してきました。今回からは「思い付く」のもう一つの要素、整理された知識や経験に基づき発想を行う「発想のフレームワーク」を解説します。

◆関連解説記事『技術マネジメントとは』

 

1.「発想のレームワーク」のイノベーション創出における位置づけ

「整理するフレームワーク」は、それまで蓄積してきた知識や経験を一度分割し、それを再構成、すなわち整理・構造化をする際に利用するためのフレームワークでした。今回から議論する「発想のフレームワーク」は、その整理・構造化された知識から、イノベーションを発想するために使われるものです。

 

2.イノベーションとはの再確認

この連載の中で定義しているイノベーションについて、再度確認をしておきたいと思います。ここではイノベーションを、新しい(顧客)価値を生む、既存の(顧客)価値を新しいより効率的な方法で生む、の2点と考えます。

 

なぜこの定義と言うと、まずイノベーションをなんらかの価値を生むもの、すなわち世の中に役に立つものであることは必須と考えます。加えて、民間企業においてはなんと言っても、収益を挙げることを一義的な目的としているので、民間企業にとって収益の源泉を提供(支払って)くれる、「顧客」に対する「顧客」価値が最重要です。

 

一方で、近年SDGsという言葉で議論されているように、顧客だけでなく社会全般にとっての価値も忘れるわけにはいきませんので「顧客」部分を括弧付きとして「(顧客)価値」を対象としています。 

 

またなぜこの2つなのかですが、イノベーションについては日本語では革新、中国語では創新ということばが充てられているように新しくなければなりません。上述の前者については、その創出する価値が新しいということです。

 

後者については、既存の(顧客)価値をより効率的な新しい方法で生み出すことも、自社を含めて関連するステークホルダーに何等かの益を与えるものですので、イノベーションの定義に含めるべきと考えます。

 

3.「発想のフレームワーク」を使ってイノベーティブなアイデアを発想する手順

「発想のフレームワーク」を使ってイノベーティブなアイデアを発想する手順についてですが、以下の2つのステップが必要と思います。

 

◆「整理するフレームワーク」で整理・構造化した知識の中で焦点を当てる、重要部分を切り取る

「整理するフレームワーク」で整理・構造化した知識の中には、イノベーションを...

生み出しそうな重要部分とそうでない部分があると思います。ここでは、重要ではない部分を捨て去り、イノベーション創出活動で焦点を当てるべき重要部分を切り取る作業を行います。

 

◆ 切り取った知識の重要部分を「発想するフレームワーク」を使って、イノベーションを発想する。

その次に、切り取った重要部分に焦点を当て、今後議論していく「発想するフレームワーク」を使ってイノベーティブなアイデアを創出します。

 

次回に続きます。

 

 

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