質問するスキル 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その79)

 

♦ VUCAの時代、潜在ニーズを引き出す質問力

 今回は「質問するスキル」というタイトルで解説します。

 顧客への営業活動や部下の育成、はたまた子供への教育を行う上で、避けて通れないコミュニケーションに重要なことは何だと思いますか?答えは、今回のタイトルとなっている「質問」です。

 特に昨今は「VUCA(ブーカ)」の時代と称され「Volatility(激動)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(不透明性)」という予測困難な状況下で企業が生き残り、勝ち続けるためには、ターゲットである顧客の潜在ニーズを引き出すための質問スキルを持つことが必要です。

 潜在ニーズとは、顧客自身が気づいていない、課題として認識していない潜在的な欲求を示します。

 市場ニーズをとらえるために、社内において営業やマーケティング部隊と一緒に討議する活動も必要です。しかし、売りたい・開発したい商品企画といった、自社にとって都合がいい仕様ありきで進んでしまう危険が潜んでいます。

 これを回避するためには、社内での検討だけではなく、顧客が自覚していないニーズを目に見える課題として引き出す活動として「質問」が重要となります。

 

 質問には大きく2つの手法があります。それは「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」です。

 クローズドクエスチョンとは、質問相手がYes(イエス)、No(ノー)で回答できる質問です。

 例えば「このプロジェクトは計画通り、進んでいますか?」や「A、B、Cの3つの中で一番気になる商品はどれですか?」といった取捨選択を促す質問です。クローズドクエスチョンは、顧客との対話により引き出した潜在ニーズをまとめ「~という課題があると捉えているということですね?」と確認する際に使うとよいでしょう。

 反対にオープンクエスチョンとは、質問相手に自由に回答してもらうための質問です。

 例えば「新商品について、どんな感想を持ちましたか?」や「~業界の今後をどのようにとらえていますか?」といった具合に、制約を設けず回答してもらうための質問です。

 

 オープンクエスチョンの注意点ですが、相手の考えがまとまっていない状況で「どう思いますか?」といったフリーな質問は答えづらいというものがあります。この場合は「いつ・どこで・何を・誰が・なぜ・どのように」といった5W...

1Hを活用した質問するとよいでしょう。

 潜在ニーズを顧客から引き出すためにはオープンクエスチョンを使い、顧客の不満・不快をキーワードとして吐き出してもらうことから始め、キーワードをつなげてまとめることで、潜在ニーズをとらえる商品へとつながります。

 

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 質問力は一朝一夕には獲得できません。日々の業務の中でそれを高めて、顧客の潜在ニーズを引き出す質問スキルを強化して、VUCA時代を勝ち残りましょう。

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