アイデアは手書きで洗い出す 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その73)

 

 数多くの先人達が手書きの効果を示している事例を見聞きしたことはありませんか?

 私の経験から、頭の中にぼんやり浮かんだアイデアは、手書きすることをおすすめします。この「ぼんやり」という状態は、まだ本人も言語化できていない、つまり消化できていない状態を示します。

 特に新商品の企画や前例がほとんどない開発の方針など、ルーチンワークではない想像力を働かせなくてはならない業務には、あえて紙に手書きタスクを入れることで、良いアイデアを構築できる可能性が高まるでしょう。

 

 先日、あるTV番組でやり手経営者が、手書きで経営計画を作成していましたが、赤の他人の私から見るとお世辞にも字はきれいとはいえず、ランダムな走り書きが連続していました。しかしご本人はいたって真面目です。

 番組の中における会話でも、その事業ストーリーが分かりやすく、表現されていました。

 

 私たちの日常では、スマホやパソコンといった手書きではない便利なツールが当たり前に存在しています。報告書やプレゼンテーションといった他人に伝えることを目的とした資料を清書するためにツールを使い、きれいに理路整然と表現することが求められます。

 しかし清書できるレベルになる前、アイデア構想段階における手書きには、次のような効果があるということを忘れてはいけません。

 

 手で文字を書くという動作は、パソコンやスマホなどキーボード入力よりも脳を刺激し、その結果、脳の複数の領域を同時に活性化することで記憶を深めることができるそうです。

 日常で起こりやすい「やる気がおきない」、「なんとなくアイデアはあるけれどまとまっていない」、「他人に伝える段階ではない」などと考えていることがあれば、思いつくまま書き出すことから始めましょう。

 

 「書き出すだけでは意味がない!」と断固拒否する方も中にはいらっしゃいますが、ものはお試しあれ。

 

 書き出すことで「私のアイデアは一言でいうと何なのか?」、「実現するためには何が課題なのか?」、「なんで自分はこんなにやる気が出ないのか?」、「なんで企画がやり...

直しになってしまったのか?」といったモヤモヤ・ぐるぐると頭を悩ます課題の解決プランが、いくつか出てくるはずです。

 

 手書きによる書き出しは、アイデアワークのみでなく、自身のキャリアプランやライフプランの悩み、目標実現にも適用できます。最近の閉塞感を吹き飛ばすためにも、もし「解決策なんて思いつかない!」と悩んでいることがあれば、手書きによる書き出しを積極的に行ってみましょう。

◆関連解説『技術マネジメントとは』

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