広告の安全監査は、誰の責任か

製品安全
 広告を使用者に伝達する手段として色々なメディアがあります。新聞、テレビ、雑誌、交通広告、映画スクリーン広告、WEB広告、スマートフォンなど、私たちの日常生活は、歴史あるメディア、新たに台頭してきたメディアなどが充満していますが、マス媒体を二つに分ければ印刷媒体と電波媒体になります。それではどちらがPL上の広告表示で、製品の使用者に危害を及ぼす可能性が高いか、となれば電波媒体です。そして、電波媒体の中でもテレビが一番危険性が高いと思います。

 それに比べて印刷媒体である新聞、雑誌などは、製作した広告が読者に届くまでに、数度の校閲、校正を受けます。最後には媒体社である新聞社、雑誌社の広告審査もあります。この手間と時間が掛かるシステムが機能するのも、新聞社、雑誌社の営業収入の半分強が販売収入で賄われていることにあります。つまり、掲載する広告に対して、関係のない第三者である読者に対するオンブズマンとしての責任が、印刷の媒体社に課せられています。

 一方、電波媒体は、紙媒体と異なり、営業収入の全てを広告収入から得ているという違いがあります。先述で引用した様に、広告業界に広告審査のシステムがないわけではありませんが、最も重要なのは広告を出す広告主(クライアント)の安全観念です。CF(コマーシャルフィルム)の全責任は広告主にあることを自覚して、CF制作会社の提案を吟味できる安全に対する知見を持つことが重要と考えています。

 特に重要なことは広告表現の監査をするということです。テレビは映像と音声と文字からなる三元媒体ですから、この三つの媒体の全てで危険性を判断することです。ともすると、テレビの主体である映像表現にだけ注力し、「音声は効果を盛り上げる補助的なもの」という感覚が危険を招きます。
 映像でしてはいけないことをそのまま表現し、音声では反対に「このようなことを絶対にしないでください」。という表現は逆の効果を招くことがあります。言葉や文字がまだ理解できない子供たち、老人や聴力に障害を持つハンデキャッパーには「行動の指示」をされたのと同じ効果になるからです。そこで、表現の監査は映像、音声、文字それぞれ独立して監査し、単独のメッセージでも危険性のないことを確認することが、広告表示でPL抵触事故を起こさない方法です。

 ニュースで見聞きする最近の犯罪の傾向は、突発的で劇画やコミックの実演の様に思えます。犯罪心理に対して、ゲーム機器というメディアによるリセット世代が、常に戦闘シーンのゲームから受ける影響なども大きいと思います。そんな環境で生きている私たちは、深層心理を行動で表現しやすいことになりますから、先述した15条の安全観念を持って広告に接することが求められます。


この記事の著者

村田 一郎

R-MapⓇで、企業の存亡を左右するリスクマネジメントを診断し、安全を安価に安定してコンサルします。

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