中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その62)

 前回のその61に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 新規取引先を選ぶときのポイント

2、従業員を大事にしているか。

 経営トップの考え方や姿勢の中の一つに当たりますが、工場で働いてくれている従業員を大事にしているかも選定の重要ポイントです。確認すべき項目としては、次のようになります。

 賃金を安く抑えることで低価格を実現している企業は、生産工程での部材のムダが多くあったり、不良率が高いなど「安かろう悪かろう」の可能性があります。逆に、他社よりも賃金の高い企業は、高い賃金を払っても利益が出せている訳で、効率的な生産や不良率が低いことが考えられます。

 労働時間や労働環境、そしてどのような福利厚生があるかを見ることで会社が従業員をどのように扱っているかが分かります。もし従業員を奴隷のように扱っていたら、毒入り鮫子事件のような大問題の発生につながりかねません。

 従業員の定着を確かめることでも、その会社の状況がある程度分かります。作業者はある程度の流動があるのは避けられないと思いますが、現場の管理者の離職率が高い場合、安定した品質のものを生産できるか疑ってみてください。現場の管理者は、工場のQCDを支えるキーパーソンです。その人たちが定着していない中国工場は、日系企業の取引先としてふさわしくないと判断すべきです。定着率を教えてくれない時は、現場で管理者に「この会社で何年くらい働いているのですか?」と聞いていくとおおよその実態を掴むことができます。

【ウォルト・ディズニーの社会責任監査】

 自社ブランド品を生産している工場で働く人たちの待遇をチェックしているのが、米国のウォルト・ディズニー社です。同社は、そのキャラクター商品を数多く販売していますが、自社で生産している訳ではありません。同社がライセンスを供与した会社が自社工場、または生産委託先の工場で生産しています。その多くは中国で生産されているのが実状です。

 ウォルト・ディズニー社は、自社商品を生産している中国工場の実態を把握するため「社会責任監査」を実施しています。実態とは、そこで働く従業員の待遇や会社が決められた労働条件を遵守しているかなどです。

 などを中国の国内法に基づき、エビデンスをチェックする形で監査を行っています。監査自体をウォルト・ディズニーがやることはなく、審査機関に委託して実施しています。

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 筆者はこの社会責任監査対応を支援した経験がありますが、かなり厳しい監査だという印象です。日系中国工場であれば、指摘項目がゼロとはいかないかもしれませんが、大きく問題になるようなことはないのではないでしょう。しかし、中国企業の工場、特にキャラクター商品を生産している工場の場合、中小規模の工場が多いと思われ、そうした工場では人事・労務管理が法律通りに行われていないことも多く、監査で厳しい指摘をされ対応に苦労しています。

 次回は、3、どのような顧客を持っているか。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載

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