「共有データサーバ」の活用法

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1.テレワークで注目集める “共有データサーバ”

 現在、中国武漢市を発端としてコロナウイルスの猛威が全世界を襲っています。それに伴い、感染拡大の防止のために「在宅勤務」(テレワーク)の必要性が急激に高まっています。安倍内閣が出した緊急事態宣言によれば「人との接触を最低7割、極力8割削減する」という目標を掲げています。そうなってくると、公共交通機関(電車やバス等)を用いた通勤はできず、会社の事業所に人が集まるのも無理ということになり、仕事の選択肢は「テレワーク」のみになります。「テレワーク」に関して注目を浴びているのが「オンライン会議システム」(ZoomやSkype等)であり、パソコンに据え付けるビデオカメラが入手困難になる程の注目度となっています。この「オンライン会議システム」と同じように注目を集めているのが「共有データサーバ」です。「共有データサーバ」は「データ共有サービス」や「オンラインストレージ」等の様々な呼び名があります。基本的には、場所を選ばずにチームのメンバーが共同作業するための「データ共有」を行えるクラウドサービスを意味します。

2.「共有データサーバ」の仕組み

 「共有データサーバ」と聞くと難解そうに思えるかもしれません。文字通りに「データを共有するためのサーバ」です。一般的には「共有データサーバ」はインターネット上で稼動している「クラウドサーバ(クラウドサービス)」を指します。「データ共有サービス」や「オンラインストレージ」等の名称でクラウドサービスを提供している事業者と契約することで「共有データサーバ」をすぐに利用開始することができます。難しいITの知識は不要です。

 「共有データサーバ」の基本的な利用方法としては、自分が仕事で使うファイル(他のメンバーと共有したいファイル)をインターネット上のクラウドサーバにアップロードすることで、他のメンバー達とクラウドサーバ越しにデータ共有できるようにします。

図 1 「共有データサーバ」の仕組み

 「共有データサーバ」の大きなメリットはインターネット接続さえできれば、時間や場所や端末(パソコン、スマートフォン、タブレット等)を問わずにファイルにアクセス可能であるということです。「共有データサーバ」を上手く活用することで、自宅での「在宅勤務」や出張先は勿論のこと、究極的には、会社の物理的なオフィスすら撤廃してしまう「ノマドワーキング」(ノマドは"遊牧民"を意味する)という働き方すら実現可能です。

3.五大「ファイル共有サービス」

 「共有データサーバ」の需要が高まるにつれて「雨後の筍」の如く、多種多様なクラウドサービス事業者が「ファイル共有サービス」の市場に乗り出してきており、現在も熾烈な競争を繰り広げています。世間一般では、5億人を超えるユーザ数を誇る最大手の「Dropbox」[1]を筆頭格として「Amazon drive」[2]、「Microsoft OneDrive」[3]、「Apple iCloud」[4]、「Google Drive」[5]の五大サービスの人気が高いです。

図 2 五大「ファイル共有サービス」

 「ファイル共有サービス」の市場競争における差別化要因は、主に「利用コスト」と「データ保存容量」です。競争が熾烈な分野であるが故に、各社のサービス提供内容に差がつかなくなりつつあります。「小さい容量は無料にしておいて、ある容量を超えたら有料にする」といった「フリーミアム」モデルや「他のユーザーを紹介してくれたら、データ保存容量を増加する」といった「紹介」モデルを駆使する事業者も居ます。

4.「データ共有」に関する課題

 「共有データサーバ」に限らず、公に開かれたインターネット回線を前提とするクラウドサービスに付きものの大きな課題は「セキュリティの脆弱性」です。「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」と辞世の句を詠んだのは石川五右衛門ですが、まさに「ハッキングの種は尽きまじ」なのです。当然、クラウドサービス事業者はセキュリティ事故を出せば致命傷を負うのでセキュリティ対策にベストを尽くしています。しかしながら、悪党も同じ位にベスト(ワースト?)を尽くしているのです。「ハッカーの脅威」以外に「ユーザーの過失」と言えるような下記の課題が考えられます。対策は「ユーザーが気をつける」しかありません。

  • ユーザーの誤操作 (例:ファイルの上書き更新や削除を誤って行う)
  • 不適切なアクセス権限 (例:機密ファイルが誰でも閲覧可能になっている)
  • 不意の情報漏洩 (例:出先で端末操作中に背後からファイル内容を覗き見られる)

5.結論

 「共有データサーバ」は「働き方改革」を推進する強力なツールとなり得ます。いわゆる「9時5時」の仕事のために長時間の通勤を強いられるサラリーマンの日常は生産性の低い苦行にしか過ぎませんでした。日本人の仕事の生産性が低いと言われている理由の一つには、出社前に通勤(痛...

1.テレワークで注目集める “共有データサーバ”

 現在、中国武漢市を発端としてコロナウイルスの猛威が全世界を襲っています。それに伴い、感染拡大の防止のために「在宅勤務」(テレワーク)の必要性が急激に高まっています。安倍内閣が出した緊急事態宣言によれば「人との接触を最低7割、極力8割削減する」という目標を掲げています。そうなってくると、公共交通機関(電車やバス等)を用いた通勤はできず、会社の事業所に人が集まるのも無理ということになり、仕事の選択肢は「テレワーク」のみになります。「テレワーク」に関して注目を浴びているのが「オンライン会議システム」(ZoomやSkype等)であり、パソコンに据え付けるビデオカメラが入手困難になる程の注目度となっています。この「オンライン会議システム」と同じように注目を集めているのが「共有データサーバ」です。「共有データサーバ」は「データ共有サービス」や「オンラインストレージ」等の様々な呼び名があります。基本的には、場所を選ばずにチームのメンバーが共同作業するための「データ共有」を行えるクラウドサービスを意味します。

2.「共有データサーバ」の仕組み

 「共有データサーバ」と聞くと難解そうに思えるかもしれません。文字通りに「データを共有するためのサーバ」です。一般的には「共有データサーバ」はインターネット上で稼動している「クラウドサーバ(クラウドサービス)」を指します。「データ共有サービス」や「オンラインストレージ」等の名称でクラウドサービスを提供している事業者と契約することで「共有データサーバ」をすぐに利用開始することができます。難しいITの知識は不要です。

 「共有データサーバ」の基本的な利用方法としては、自分が仕事で使うファイル(他のメンバーと共有したいファイル)をインターネット上のクラウドサーバにアップロードすることで、他のメンバー達とクラウドサーバ越しにデータ共有できるようにします。

図 1 「共有データサーバ」の仕組み

 「共有データサーバ」の大きなメリットはインターネット接続さえできれば、時間や場所や端末(パソコン、スマートフォン、タブレット等)を問わずにファイルにアクセス可能であるということです。「共有データサーバ」を上手く活用することで、自宅での「在宅勤務」や出張先は勿論のこと、究極的には、会社の物理的なオフィスすら撤廃してしまう「ノマドワーキング」(ノマドは"遊牧民"を意味する)という働き方すら実現可能です。

3.五大「ファイル共有サービス」

 「共有データサーバ」の需要が高まるにつれて「雨後の筍」の如く、多種多様なクラウドサービス事業者が「ファイル共有サービス」の市場に乗り出してきており、現在も熾烈な競争を繰り広げています。世間一般では、5億人を超えるユーザ数を誇る最大手の「Dropbox」[1]を筆頭格として「Amazon drive」[2]、「Microsoft OneDrive」[3]、「Apple iCloud」[4]、「Google Drive」[5]の五大サービスの人気が高いです。

図 2 五大「ファイル共有サービス」

 「ファイル共有サービス」の市場競争における差別化要因は、主に「利用コスト」と「データ保存容量」です。競争が熾烈な分野であるが故に、各社のサービス提供内容に差がつかなくなりつつあります。「小さい容量は無料にしておいて、ある容量を超えたら有料にする」といった「フリーミアム」モデルや「他のユーザーを紹介してくれたら、データ保存容量を増加する」といった「紹介」モデルを駆使する事業者も居ます。

4.「データ共有」に関する課題

 「共有データサーバ」に限らず、公に開かれたインターネット回線を前提とするクラウドサービスに付きものの大きな課題は「セキュリティの脆弱性」です。「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」と辞世の句を詠んだのは石川五右衛門ですが、まさに「ハッキングの種は尽きまじ」なのです。当然、クラウドサービス事業者はセキュリティ事故を出せば致命傷を負うのでセキュリティ対策にベストを尽くしています。しかしながら、悪党も同じ位にベスト(ワースト?)を尽くしているのです。「ハッカーの脅威」以外に「ユーザーの過失」と言えるような下記の課題が考えられます。対策は「ユーザーが気をつける」しかありません。

  • ユーザーの誤操作 (例:ファイルの上書き更新や削除を誤って行う)
  • 不適切なアクセス権限 (例:機密ファイルが誰でも閲覧可能になっている)
  • 不意の情報漏洩 (例:出先で端末操作中に背後からファイル内容を覗き見られる)

5.結論

 「共有データサーバ」は「働き方改革」を推進する強力なツールとなり得ます。いわゆる「9時5時」の仕事のために長時間の通勤を強いられるサラリーマンの日常は生産性の低い苦行にしか過ぎませんでした。日本人の仕事の生産性が低いと言われている理由の一つには、出社前に通勤(痛勤?)で消耗しきっているからでしょう。「共有データサーバ」は「テレワーク」や「ノマドワーキング」を実現するために避けて通れない道です。「共有データサーバ」の活用に関しては課題が大きいのも事実です。しかし、新しいチャレンジに課題は付きものなのです。「共有データサーバ」を契機とした「テレワーク」や「ノマドワーキング」の普及によって、日本人の仕事の価値は「労働の時間」から「労働の質」に転換するでしょう。

 

参考文献
[1] 「DropBox」, (https://www.dropbox.com/)
[2] 「Amazon drive」, (https://www.amazon.co.jp/)
[3] 「Microsoft OneDrive」, (https://www.microsoft.com/ja-jp/office/homeuse/onedrive-about.aspx)
[4] 「Apple iCloud」, (https://www.apple.com/jp/icloud/)
[5] 「Google Drive」, (https://www.google.com/intl/ja_ALL/drive/)

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この記事の著者

坂東 大輔

技術士(情報工学部門)と通訳案内士(英語)の二刀流のEngineering SAMURAIが貴社のお悩みを一刀両断致します。

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