中国工場の実状を知る、日本人駐在員について 中国工場の品質改善(その22)

 

【第2章 中国工場の実状を知る】

【設備ノウハウの落し込み】

 前回のその21に続いて解説します。

◆ ノウハウ・技術は細分化して落とし込む

 日本の工場で培ったノウハウ等を中国人に落し込むときのやり方として、技術を細分化して教えるというのがあります。一つの技術を覚えるのに長い時間かかる場合でも、日本人であれば辛抱強く我慢して習得してくれますが、中国人の場合、最後まで辛抱してくれるとは限りません。

 それへの対応として、一つの技術を細分化して教えるのです。例えば、一つの技術を4段階に分解して、1段階ずつ習得させ、そのたびに認定を与えます。そうすることで、1段階習得できたら2段階目を習得しようという気にさせるのです。

 その時にスキルマップを使うとより効果があります。スキルマップは対象者のスキル習得状況を見える化したものです。例えば、劉さんは、2段階まで習得済み。陳さんはまだ1段階だけ。申さんはすでに4段階とも習得している。ことを表などで誰にでも分かるように見える化します。スキルマップは、本人だけでなく周りの人間も見ることができますから、当人たちの面子に関わってきます。申さんは鼻高々ですが、陳さんは面子丸潰れですから、頑張らなくてはという気持ちにさせることが出来ます。

 スキルマップをうまく使って、モチベーションを刺激しましょう。こうした方法を進めるためには、教育する体制や制度が整っていることが必要です。中国工場での教育の進め方については、第4章で解説します。

◆ 常に複数化する

 ノウハウや技術を習得した中国人が育つとうれしいものです。ただし、それが1人だった場合、安心してはいけません。その人は、いつ会社を辞めるかわかりません。もし本当に辞めてしま...

ったらシャレになりません。ですから中国工場では、1人が習得出来ても常に次に出来る人を育成しておかなくてはなりません。習得した人が辞めても困らないように、複数化を進めます。

 次回は、部品・材料について、解説を続けます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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